Kim, C. (2003). Chōsen Sōren no taizai: Yurusarezaru, sono hitobito. Tōkyō: Takarajimasha.
「おい、宋トンム(漢字では同務と書く。目下や友人に対する軽い敬意を表す)、今日は工場に行かないで俺とつきあえ」 「え、困りますよ。仕事をさぼるわけには……」 そう言いかける宋さんに、先輩はそっと耳打ちした。 「いいからつきあえ。これは工場よりもっと重要な仕事なんだ。そう言えば、お前カメラ持ってたな。持って来い」 そうして新宿の駅前の喫茶店まで行くと、知らない男が手を振り、店の一番奥にいる初老の紳士のことを指さした。 先輩はうなずくと、カウンターに陣取り、初老の紳士をちらちらと見始めた。
「おい、宋トンム(漢字では同務と書く。目下や友人に対する軽い敬意を表す)、今日は工場に行かないで俺とつきあえ」 「え、困りますよ。仕事をさぼるわけには……」 そう言いかける宋さんに、先輩はそっと耳打ちした。 「いいからつきあえ。これは工場よりもっと重要な仕事なんだ。そう言えば、お前カメラ持ってたな。持って来い」 そうして新宿の駅前の喫茶店まで行くと、知らない男が手を振り、店の一番奥にいる初老の紳士のことを指さした。 先輩はうなずくと、カウンターに陣取り、初老の紳士をちらちらと見始めた。
手を振った男がほっとした顔をして、 入れ替わりに店を出て行く。 先輩が宋さんに小声で言う。「おい、しっかり見てろよ。今日はあいつをつけ回すぞ」 「え、なぜですか」 「(総聯)中央がそうしろって言ってるんだ。工場の仕事なんかより名誉ある仕事だぜ。あっ、コーヒー注文した。 ブルジョアめ。おっ、日本のブル新聞(ブルジョア新聞。社会主義者が『朝日』や『読売』などの一般紙を蔑んで言う)なんか読んでやがる。朝鮮新報を読めよ、民族反逆者めが」 こうしてその紳士をつけ回した挙げ句、夕方に東京駅の前で若い女性と密会する現場を押さえることに成功した。
「今日なんぞは楽な方だぞ。二、三日帰れないこともあるからな」 「先輩、あの人は絶対に僕たちの尾行に気づいていたと思うのですが」 「当たり前だろう。そのためにやってるんだから」 「えっ!?」 「こうやって神経をまいらせるんだよ。あいつは陰で次期議長の金炳植副議長の悪口を触れ回っている不心得者だから、こうしてお灸をすえているのさ。しかし今日、浮気の現場を抑えたから、あいつももう終わりだ。それにしても、 お前けっこう筋がいいな。これから、もっと働いてもらうぞ」
「今日なんぞは楽な方だぞ。二、三日帰れないこともあるからな」 「先輩、あの人は絶対に僕たちの尾行に気づいていたと思うのですが」 「当たり前だろう。そのためにやってるんだから」 「えっ!?」 「こうやって神経をまいらせるんだよ。あいつは陰で次期議長の金炳植副議長の悪口を触れ回っている不心得者だから、こうしてお灸をすえているのさ。しかし今日、浮気の現場を抑えたから、あいつももう終わりだ。それにしても、 お前けっこう筋がいいな。これから、もっと働いてもらうぞ」
こうして、なし崩し的に宋さんは、 朝鮮総聯の秘密部隊「ふくろう部隊」の手下となった。 これは総聯の若手エリート集団ということになっていたが、 実態は金炳植の手先として、反主流派の幹部をつけまわし、 一挙手一投足を監視し、報告するのが主な仕事だった。 夜中に繰り返し無言電話をかけたり、匿名で脅迫状を送ったりもした。幹部本人だけではなく、その家族をつけまわしたり、脅したりした。(p.p.62-64)
最近ではあまりなくなってきたが、かつては内部告発すると必ず精神病扱いされた。妄想狂だと言うのである。朝鮮総聯の犯罪はこうした人間関係の枠組みや教育の中で守られてきたのである。(p.210)
金炳植が失脚し、「ふくろう部隊」は革命とは何の関係もない暴力集団にすぎないということが暴露されたのは、それから間もなくのことだった。それからは、「ふくろう部隊」の活動指令が来たことはない。
「人生の貴重な時間を無駄にしてしまった。二度と同じ過ちを繰り返したくない」と宋さんは当時を振り返る。(p.67)
「ふくろう部隊」はエリート部隊で、特別に選ばれた人間だということでおだてられる。…メンバーはふだんはそれぞれの職場にいて、普通に働いている。しかしいったん命令が下ると、緊急招集に従って、最優先で指定の場所に馳せ参じる。…尾行・監視などはもちろん、盗聴、脅迫、暴行などの犯罪まで行って、金炳植に敵対する総連活動家を潰していった。殺人に手を染める場合もあったとも言われる。
公安当局は「在日朝鮮人が工作員を陰で支えてきた」と見ており、実際に関与が明らかになった例が少なくない。(p.104)
…警察庁のある幹部によれば、日本には北朝鮮の工作員が少なくとも六〇〇人は活動しており、補助工作員はその三倍にのぼる。これらがさらに水面下でネズミ算式に協力者を増やしていくのだから、これはもう気が遠くなるような数になる。(p.107)
金炳植が失脚し、「ふくろう部隊」は革命とは何の関係もない暴力集団にすぎないということが暴露されたのは、それから間もなくのことだった。それからは、「ふくろう部隊」の活動指令が来たことはない。
「人生の貴重な時間を無駄にしてしまった。二度と同じ過ちを繰り返したくない」と宋さんは当時を振り返る。(p.67)
「ふくろう部隊」はエリート部隊で、特別に選ばれた人間だということでおだてられる。…メンバーはふだんはそれぞれの職場にいて、普通に働いている。しかしいったん命令が下ると、緊急招集に従って、最優先で指定の場所に馳せ参じる。…尾行・監視などはもちろん、盗聴、脅迫、暴行などの犯罪まで行って、金炳植に敵対する総連活動家を潰していった。殺人に手を染める場合もあったとも言われる。
何も問題が見つからない時は、でっち上げてでも、罪を作り上げてゆく。この時、相手の本当の日常生活について熟知していることが生きている。相手が罪を否定しても、まわりは信じてくれない。
…かつて「ふくろう部隊」に、自転車のタイヤをキリで突かれたり、カミソリで切り裂かれたりしたことが何度もあったという人が大勢いる。無言電話や脅迫状も「ふくろう部隊」の常套手段の一つだ。こうした嫌がらせの結果、精神病になるなどというのは普通で、心身をおかしくして失明や半身不随になった人もいる。一番ひどい場合には、本当に何の問題もないのに、ひたすらつけまわされ、ノイローゼの末に衰弱死してしまった。
…「ふくろう部隊」の攻撃にはこうすれば許してくれるという対応策はない。極端な話、死ぬか、金炳植の都合で中止されるまで攻撃が続く。…ふくろう部隊にとって「殺人」はけっして特別なことではないと言えよう。
しかも、昨日まで攻撃する立場だったのが、ある日突然一転して攻撃される側になることある。きっかけは大体些細なことで、これといった理由はない場合も珍しくない。(p.p.78-81)公安当局は「在日朝鮮人が工作員を陰で支えてきた」と見ており、実際に関与が明らかになった例が少なくない。(p.104)
…警察庁のある幹部によれば、日本には北朝鮮の工作員が少なくとも六〇〇人は活動しており、補助工作員はその三倍にのぼる。これらがさらに水面下でネズミ算式に協力者を増やしていくのだから、これはもう気が遠くなるような数になる。(p.107)
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『北朝鮮 やじ馬見聞記』(その一)
「オモロイ坊主の北朝鮮托鉢行」
北朝鮮のホテルには盗聴器やマジックミラーが仕掛けられているという噂がある。
俺はもし監視している人間がいるのであれば、そいつに見せつけてやろうと思って、
鏡の前でわざと丸裸になり、ベットへ入り寝る時も掛け布団をかけずに、 部屋の中では毎夜ずっと裸で過ごした。
もし本当にマジックミラーが設置されていて、
誰かが俺を監視していたらキット驚いただろうな。
その驚く顔を想像するだけで俺は笑いが噴出してきて
『見たければ、どうぞ粗末なものだがユックリ観察しろや。ザマー見ろてんだ!』と。
俺が一度、寝苦しいので“ホテル探検でもやってやるか”と夜の12時過ぎに部屋をそっと抜け出し
廊下を歩き出した途端に、何処からともなく通訳が現れ『何処へ行かれるのですか?』と聞くので
(それも背広をきちんと着てネクタイまで締めた昼間と同じ姿で)
『寝苦しいので、チョット散歩でも』と答えると『もうホテルの玄関は閉まっているし、
エレベーターも止まっているので、散歩は明日の朝にして下さい』と言って俺が部屋へ戻るまで
見守っていたし、食堂が開いていたらモーニングコーヒーでも飲むかと、 朝の5時頃に部屋を出たら、また後ろからそっと通訳が現れ『何処へ行かれますか?』と聞くのだった。
http://www.omoroibouzu.com
「シークレット・メッセージ」
日本人には知られていない「メーッセージの回路」と
でもいうべきものが、日本にはある。
たとえば・・・美空ひばりは、なぜ持ち歌の
「悲しい酒」を歌うたびに、きまって涙を流したの
だろうか・・・。
ソフトバンク社長の孫正義は、一九九六年二月の
「毎日経済人賞」の授賞式でなぜスピーチのさなかに
突然声を詰まらせ絶句してしまったのか・・・。
美空ひばりと孫正義の涙の意味を、日本人とはまったく
違う形で理解している人々が、私たちのすぐそばにいる。
それは・・・韓国・朝鮮系の人たちである・・・。
都はるみの初期の大ヒット曲に「涙の連絡船」という歌が
あった。・・・朝鮮半島に残した肉親のことや、昭和三十年代に
いわゆる「帰国船」に乗って新潟から北朝鮮へ向かったまま
離ればなれになってしまった家族のことを、暗に歌っている歌と
解釈してきた人が少なからずいるのである。
・・・原尻英樹・放送大学助教授が
「シークレット・メッセージ」と名づけたこのような
コミュニケーションが日本人には少しも気づかれることなく、
ひっそり続けられている。
野村進『コリアン世界の旅』プロローグより
~ 週刊新潮記事;「金正日の料理人」が青ざめた北朝鮮「無言の恫喝」~
上記記事に関連して、2代目引田天功さん(女性)の事件を思い出しました。
まず鮮連組員が天功さんの超ハイレグ水着やバニー姿のブロマイドをキンショーニチに贈ったところ、キンはぞっこん惚れ込み熱心な眼差しを向けるようになった。
しかし天功さんが99年にキンの個人的な誘いを断ったところ以下のような変態による犯罪が延々、続いたそうです。
・辞退以来、彼女の家には無言電話や政治的主張を一方的にまくしたてるといった内容の電話があいついだ。
・自宅に何者かが頻繁に侵入。
・お気に入りのプレミアものミッキー人形が部屋からなくなり室内の棚に本人のものではないニセモノが置かれていたり本物がまた戻ってきたりした
・ごく一部の人しか知らないはずの天功さんの宿泊してるホテルに天功さんが帰ってくると机の上に、金ショーニチの写真が置かれてあった
(『北朝鮮利権の真相』野村旗守・編)
・・などがあり盗聴、盗撮されている形跡も明らかになり自分の住まいをあちこちにかりて
誰にも当日どの家に帰るのかわからないようにしたことなどテレビで証言している。
この事件を知らなかった方は「北朝鮮、引田天功、ミッキー」で検索すると拾えます。
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