Thursday, June 12, 2025

木元寛明『気象と戦術』

 Kimoto, H. (2019). 気象と戦術 : 天候は勝敗を左右し、歴史を変える. SBクリエイティブ.

気象という名の「兵器」


「テロリストたちは、電磁波遠隔操作4により気象を変更し、地震を誘発させ、火山を噴火させるという手段で、エコタイプのテロリズムにすら手をつけている」
 ――米国防長官ウィリアム・コ―ヘンの「テロリズム、大量破壊兵器、および合衆国の戦略」に関する会議での講演
  (1997年4月28日、ジョージア大学)


目的達成のための気象・自然の軍事利用
気象・自然を「兵器」として使用する

1967年から1972年まで、米空軍気象局は、地域一帯を水浸しにしてホーチミン・ルートを泥寧化し、人や物資の移動を妨げようとしました。そのため、3機の改造型WC-130輸送機からヨウ化銀などのフレアを散布して雲の種をまき、ラオスおよびカンボジアに人工雨を降らせる作戦を行っています。
(p.150)


気象、地震、火山をコントロールする?
あながち荒唐無稽ともいえない

欧米の多くの国は第2次大戦の終了直後から、気象を変更する(=操作する)技術の実験をスタートしています。…冒頭のコ―ヘン国防長官の発言のように、気象の変更、人為的な地震の誘発、火山の噴火などが兵器として使用されるという推論は、あながち荒唐無稽ともいえないようです。(p.155)

吉田敏浩 『横田空域』

Yoshida, T. (2019). 横田空域 : 日米合同委員会でつくられた空の壁 (Saihan). 株式会社Kadokawa.

 米軍の活動を規制できるドイツとイタリア


根本的な相違点として沖縄県の「他国地位協定調査中間報告書」があげるのは、ドイツもイタリアも、「自国の法律や規制を米軍にも適用させることで自国の主権を確立させ、米軍の活動をコントロールしている」点である。

…「横田空域」と「岩国空域」での航空管制を日本政府は米軍に「事実上、委任」している。国内法である航空法には、外国軍隊に航空管制を委任できる規定はない。…密約が国内法を超越していることになる。


Wednesday, February 19, 2025

森永卓郎,et al 『日航123便はなぜ墜落したのか』

 Morinaga Takurō;Aoyama Tōko;Maeyama Midori, Morinaga, Takurō., Aoyama, T., & Maeyama, M. (2024). マンガ誰も書かない「真実」日航123便はなぜ墜落したのか. 宝島社.

日航123便の墜落からわずか41日後の1985年9月23日、先進五ヶ国の大蔵大臣、中央銀行総裁は、ニューヨークのプラザホテルに集結し、過度のドル高を是正するために為替市場に協調介入する声明を発表した。「プラザ合意」である。
…1985年に42兆円だった日本の輸出総額は、86年に35兆円、87年には33兆円と急減。
…当然、ドル安になったアメリカは逆に、国際競争力を取り戻す流れをつかんだ。(p.p.128-129)

…1986年9月2日、123便墜落の約1年後には、もう一つ、日本には明らかに不利な政策が決定された。日米半導体協定の締結である。…要するに、「アメリカに市場を開けろ。そちらの価格はアメリカが決める」という要求を日本は、なぜか呑んだのである。
1980年代半ば以降、日本の半導体産業は世界シェアの50%を占め、NEC、東芝、日立製作所と、日本企業がトップスリーを独占していた。
…日米半導体協定には「秘密書簡(サイドレター)」が存在。…日本市場で外国製品のシェアを5年以内に20%にするとの合意があった。これはGATTの協定に明確に違反する。(p.p.130-131)

オレンジ色の飛翔体
「赤い楕円」が機体の胴体腹部に付着しているように見えた、との目撃証言も。
(p.142)
現場から退去した米軍ヘリ
21時頃に到着。近くに乗組員を降ろすことは可能だった…。
(p.145)
遺物から見つかった「ベンゼン」
現場の炭化遺体の様子は、ベトナム戦争時にナパーム弾の犠牲となった人の遺体に酷似。ナパーム弾の燃料には、パーム油やゲル状にしたガソリンが含まれる。
(p.146)

[日航123便墜落当日]

19時15分 上野村住民の証言
19時半前後からヘリを多数目撃

20時30分 アントヌーチ氏証言
米軍海兵隊の救援ヘリが地上の様子を偵察するために降下中であることを視認

20時40分 落合証言
上空にヘリコプターの音、手を振る。しかしヘリコプターは爆音とともに遠く去って行った。
(p.p.153-155)

Sunday, January 19, 2025

吉田敏浩 『「日米合同委員会」の研究』

 Yoshida, T. (2016). 「日米合同委員会」の研究 : 謎の権力構造の正体に迫る (Dai 1-han). 創元社.


日米合同委員会という、名前だけは知られていても、その実態は謎につつまれた、日本のエリート官僚と在日米軍の高級軍人からなる組織(日本側代表は外務省北米局長、アメリカ側代表は在日米軍司令部副司令官)。その組織が、何十年にもわたって隔週の木曜日ごとに都心の米軍施設や外務省の密室で、日米地位協定の解釈や運用について人知れず協議を重ね、米軍の特権を維持するために数知れぬ秘密の合意=密約を生みだしている。しかもそれらの密約は、日本国憲法にもとづく日本の国内法(憲法体系)を無視して、米軍に治外法権に等しい特権をあたえている。
たとえば「横田空域」という、首都圏を中心に一都九県の上空をすっぽりとおおう広大な空域があります。そこは日本の領空なのに、日本の飛行機が自由に飛べず、米軍が戦闘機の訓練飛行や輸送機の発着など独占的に使用しています。
…つまり事実上、日本の空の主権が米軍によって奪われている。しかもそのことに国内法上の根拠がない。日米地位協定にも法的根拠が明記されていない。そのような独立国としてあるまじき状態が、独立回復後、六〇年以上も続いているのです。(p.p.1-2)

…ほかにもあります。たとえば、米軍関係者(軍人・軍属・それらの家族)の犯罪で、「日本にとっていちじるしく重要な事件以外は裁判権を行使しない」という「裁判権放棄密約」や、米軍人・軍属の被疑者の身柄をできるかぎり日本側が拘束せず、米軍側に引き渡すという「身柄引き渡し密約」などです。
これらの密約は米軍関係者を特別扱いする甘い事件処理を生みだし、米軍関係者の犯罪の起訴率がきわめて低いという現実をもたらしています。そして、この程度なら罪に問われることはないという意識を米軍関係者の間にはびこらせ、後を絶たない米兵犯罪の温床になっているのです。(p.p.2-3)

こうした日米合同委員会の合意文書や議事録はすべて原則として非公開です。国民の代表である国会議員に対しても秘密にされ、主権者である国民・市民の目からも隠されています。ごく限られた高級官僚たちが在日米軍高官らと密室で取り決めた秘密の合意(密約)が、日本の国内法(憲法体系)を侵食し、日本の主権を侵害しているのです。合意がいったいいくつあるのかさえわかりません。日米合同委員会の文書・記録として処理すれば、すべては闇の中に封印できる仕掛けになっているのです。
…日米合同委員会では、協議といってもアメリカ側の米軍人が強硬に主張したことは、日本側の官僚たちによって、ほぼすべて受け入れられているのが実態…米軍上層部から見れば、日米合同委員会は日本における米軍の特権を維持するためのリモコン装置のようなものといっていいでしょう。(p.4)


米軍が日米合同委員会の密室協議の仕組みを利用して、事実上の治外法権・特権を日本政府に認めさせるという一種の「権力構造」がつくられ、今日まで続いている。(p. 286)

Friday, December 6, 2024

中村裕美 「味覚の人為的制御」

 健康と疾患を制御する精密栄養学 : 「何を、いつ、どう食べるか」に、食品機能の解析と個人差を生む分子メカニズムの解明から迫る. 羊土社.

味覚電気刺激による味覚の制御

味覚電気刺激による味覚提示は、新たに呈味物質を口腔内に取り込むことなく、すなわち余分な成分を追加せずとも飲食物の呈味を制御できる。…また、刺激装置の構築も安価・小型・軽量で実現できること、即時性、可塑性に優れ時系列的な変化を加えられること、刺激位置によって味を感じる位置も変化することなど味覚表現のダイナミックレンジの広さが、エンターテインメント的用途での活用においても優れている点だろう。

…筆者らは2021年に、経皮電気刺激といって顎と首後ろに電極を貼り付け電気刺激を与える手法を用いて陽極刺激を与えた際に、塩味を最大3倍まで増強できることを実験で検証している。

Thursday, November 14, 2024

佐渡龍己 『テロリズムとは何か』

 佐渡, 龍己, & Sado, R. (2000). テロリズムとは何か. 文藝春秋.

正規戦とテロリズムの違い

テロリズムは自己の力が弱いため、交戦という物質的強力行為ではなく、恐怖という精神的強力行為を手段として、直接、政策決定者あるいは他の強力な力(民衆、第三国、国際世論)を利用して、自分たちの意志を強要することを目的とする。(p.87)

Tuesday, October 15, 2024

佐渡龍己 『対テロリズム戦略』

 佐渡, 龍己, & Sado, R. (2005). 対テロリズム戦略 : バグダッドでの実戦体験. かや書房.


テロリストが攻撃しようとするのは、銃、砲、戦車などの物質ではなく、人の心である。テロリストは、人々に恐怖を与えることにより、社会の秩序を破壊し、事態の鍵を握る人物の心に直接あるいは間接的に影響を与えようとする。このための手段は、必ずしも物理的暴力を使用する必要はなく、精神的暴力を手段とする。(p.40)


テロリズムの分析基本モデル

①テロリズムの基本モデル1

A(いわゆるテロリスト)が、ある事項に非常な恐怖感を抱く。その原因となるB(為政者)を脅す。Bは追い払われるか、またはその事項をやめる。この方式に相当するテロリズムが、フランス革命のテロリズムである。…

②テロリズムの基本モデル2

Aが、ある事項に非常な恐怖感を抱く。その原因となっているのはBであるがBを直接的に脅すのではなく、C(民衆)を脅し(恐怖を与える)その民衆をしてBにその事項をやめさせる。


テロリズムの分析応用モデル

①応用モデル2-2

基本モデル2のC(民衆)の要素に換えて、国際世論に働きかけるテロリズムがある。

②応用モデル2-3

Cの民衆の要素に換えて、第三国に置き換えた場合が、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)およびトゥバクアマル革命(MRTA)のテロリズムである。この場合攻撃目標は第三国の市民となる。期待する効果は第三国の圧力である。…第三国の外国人を人質にして、第三国の圧力で敵に対して彼らの要求を強要している。

③応用モデル3

AがBを攻撃し、Bに過剰な報復をさせる。さらに支配者側が理性を失い、民衆を殺害させるように工作する。この双方の結果を大きく世界へ宣伝し国際世論へ訴える。国際世論に訴えてその国際世論の圧力でBである政府あるいは支配者を追い払うあるいはある政策をやめさせる。(p.p.44-49)


今回の米中枢同時テロにおいて、果たして米国は一方的な被害者であろうか、と問い直してみる必要がある。正義は米国側にあり、米国にはまったく罪はないのであろうか。すべての悪はテロリスト側にあるのであろうか。

…具体的には次の四つの事項がイスラムの人々を苦しめてきた。一つは米国のイスラエル支援である。この結果、イスラエルとパレスチナとの戦争および紛争によって多くのパレスチナ人が家を追われ、殺害された。二つめは、米軍の聖地サウジアラビア駐留である。三つめは湾岸戦争におけるイラク市民の殺害、四つめは米国側に都合の良いように他国政権を操作する米国の政策である。・・・米国は直接的には意図しなかったが、結果的にはイスラエルの人々を苦しめ、間接的に殺害した。すなわち最初に殺人を犯していたのは米国となる。これに対してイスラム過激派テロリストは米国に対して復讐を企てた。その実行が米中枢同時テロである。

…この視点に立つと、米国は、まったくの被害者ではなく加害者でもある、という見方が成り立つ。・・・他方、一般的にいわれるイスラム過激派テロリストが完全なる犯罪者であるという批判は必ずしも当を得ているとはいえない。これは一種の仇討ちという見方が成り立つ。(p.p.176-177)


佐渡龍己『対テロリズム戦略』