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Sunday, August 17, 2025

藍原寛子 『フクシマ、能登、そしてこれから』

 Aihara, H. (2025). フクシマ, 能登, そしてこれから : 震災後を生きる 13人の物語. 婦人之友社.


「風評被害」への異議―あきらめない

今、水戸さんは、国や電力会社、行政が「風評被害」という言葉で市民の言論を封殺しようとしているのでは、と懸念する。18年8月、福島原発の汚染水海洋投棄を議論する経産省の公聴会が郡山市で開かれた。水戸さんは意見発表人として出席、主催者側が会の冒頭で使った「風評被害」という言葉を、「放射能に対する不安や議論を封じ込める言葉だ」と指摘した。(p.93)

「現場に足を運ぶこと」の重要性

福井県の敦賀、美浜の原発が林立する地域を通り、その先々で地元の人から直接、原発の話を聞いた。
興味深いことに、複数の人と一緒に会っても誰も意見を言わない。ところが1人に個別に会って話を聞くと、ボソボソと本音を話しだした。何度か通ううちに、敦賀市の僧侶で反原発運動に携わる立花正寛さんに会う。立花さんは「長い間坊主をやっているけれども、がん患者以外の葬儀はしたことがない」と語った。立花さんは夜、門徒さんたちから話を聞く機会を設けてくれた。すると、彼らは次々に「うちの息子が取られてな」「うちの息子も取られた」と悲しげに語った。「取られた」という意味を尋ねると、「電力会社に息子が殺されたという意味だ」と打ち明ける門徒さんたち。
…さまざまなことを教えてくれた立花さんも、がんのために亡くなった。
(p.p.196-197)

活断層のリスクを軽視しない

北野さんは24年5月の志賀原発廃炉訴訟の口頭弁論で、原告団長として「志賀原発周辺は大きな活断層だらけ。珠洲原発同様、建ててはいけないところに建ててしまった」と活断層評価や避難計画の問題点を指摘した。 
「…能登半島地震で、かなりの人が『もし志賀原発が動いていて事故が起こったら、閉じ込められ、見放されたまま被ばくするかもしれない』と危機感を抱いた。原子力ムラは巨大でしぶとい。でも住民が自分の問題として捉え始めている」。
(p.223)

のと、と、ふくしま、と

珠洲市狼煙町で、発災後、住民が農家のビニールハウスに集まって避難生活を送った地域を訪ねた。
…ビニールハウスで生活した1人の高齢の女性が、私の車の「福島」ナンバーを見つけて、「福島からきたの」と驚いた。
…その女性は、周りに誰もいないのに小声になった。「私はあの時、[珠洲]原発に反対したんですよ。私ら、原発に反対した人たちは、計画が凍結されてからもいっぱい嫌がらせを受けました」。元日の地震直後、この地域も孤立集落になった。(p.p.224-225)

Saturday, June 28, 2025

有馬哲夫 『一次資料で正す現代史のフェイク』

Arima Tetsuo,  (2021). 一次資料で正す現代史のフェイク. 育鵬社.
 
東条、そして日本の考えていた戦争は、いわゆる限定戦争だった。ルーズヴェルトはこれを、相手が無条件降伏を呑むまで殺戮し、破壊し続ける無制限戦争に[途中から〕変えてしまった。これによって和平のハードルを高くしてしまった。
(p.p.40-41)
一方、アメリカ諜報機関とりわけ戦略情報機関(OSS)スイス支局などが、天皇制存置さえ認めれば、ソ連の仲介なしでも、日本が降伏することを[ルーズヴェルトの無条件降伏原則を引き継いだ]トルーマンに報告していた。
これを踏まえて、五月二八日、国務長官ジョセフ・グルーは、天皇制を含め日本人に彼らの自由意志によって政体を選ぶ権利を認める降伏勧告を日本に対して出すよう求めた。
(p.p.42-43)
…[トルーマンは〕四五年四月二四日に[陸軍長官〕スティムソンから原爆が八月頃完成予定だと報告を受けていた。これによってトルーマンは日本本土上陸作戦を回避するために条件付降伏を日本に認めることで早期和平を図るよう求めてくるアメリカ軍関係者のプレッシャーに耐えることができた。…さらに、ポーランド問題でソ連と決裂していたので、ソ連にこれ以上協定違反をしないよう警告するためにも原爆を使用したいと願っていた。
天皇制存置条件付降伏支持者のスティムソンさえ、原爆の使用には積極的だった。およそ十九億五〇〇〇万ドルの巨額の予算を使って開発しただけに、使用しなければ開発責任者として責任を問われると思ったのだった。こうして、ポツダム宣言から、天皇制存置条項が削除された。これを残せば、日本は宣言が出るやいなや降伏してしまい、原爆を使用する機会が失われるからだ。
(p.p.44-45)

トルーマンは原爆で真珠湾攻撃の罰を与えたかった

[トルーマン大統領は]上院議員時代から「パールハーバーの騙し討ちをした日本を懲罰すべし」と公言していた。加えて、四月二三日にソ連外務委員長ヴャチェスラフ・モロトフとポーランド問題に関する協定違反のことで言い合いになってからは、ヨーロッパで勢力拡大をはかるソ連を威嚇するため原爆の威力を見せつける必要があるという考えを持ち始めていた。
(p.p.92-93)

スティムソンも自著『平和と戦争に力を尽くして』でこう述べている。

アメリカが天皇の地位についての見解を明確に示すのを遅らせたことが戦争を長引かせたということだ。
(p.107)

Friday, June 20, 2025

中西董『米英軍占領下の名古屋』


 日本人が進駐軍の命令に違反した場合の罰則に、死刑または銃殺刑などの極刑が盛り込まれていた…。
その注目すべき実例を次にいくつか列挙してみよう。先ず第一に「日本人は米国を尊敬すべし。日本人の車馬は米軍を追い越すべからず。違反者は射殺する事あるべし --進駐軍--」…また前文と同じような「===進駐軍命令===日本人の車馬は、米軍ジープや軍用車両の前方を通行したり、追い越すことを厳禁する。又、交差点付近で停止する場合は、必ず米軍の車両10フィート後方に下がって止まれ。違反者は射殺することあるべし。---連合軍最高司令官---」と言ったような何れも米軍の軍事行動に少しでも妨害したと見なされるようなささいな交通違反にまで極刑が科されていた。
(p.54)

そのほか最も象徴的な進駐軍の命令に報道管制のプレスコードの発動が挙げられる。…「連合国軍に対し破壊的なる批判を加へ又は同軍に対し不信若しくは怨恨を招来するが如き事項を掲載するべからず」と定められていた。(p.55)

連合国軍が7年近い日本占領期間中に、日本国内において主に米英軍将兵の不法行為によって、実に1万人にも達する多数の罪のない日本人が無残にも虫けらのように射殺されたり、また死亡には至らなかったものの身体に何らかの大きな傷害を受けたりしている。

連合国軍の日本占領期間中における不祥事件は、新聞やラジオなどのマスコミも米軍の厳重な報道規制や検閲を受けて、日本人にほとんど公表することが禁止されていた…。

昭和20年6月26日の早朝、名古屋市熱田区六野町にあった‥大同製鋼の男性職員が事務連絡で同所を訪れたところ、この工場に進駐したばかりの米軍黒人兵に、いきなり背後から頭部と腹部を自動小銃で撃たれて虫けらを殺すように無残にもその場で射殺された。この事件は、日本人の目撃者もあり犯人も分かっていたのに、実情を調査した米軍憲兵隊は、「米軍に該当する犯人(または容疑者)は存在しない」の一言で、うやむやにされてしまった。

またこの日の午後にも‥たまたま港区の港北運河を米軍が通過した際に、…食糧不足を補うため運河べりの草むらに身を潜めて魚釣りをしていた男性が軍用トラックの上から米兵に頭部を自動小銃で狙撃されて射殺された。
さらに同じ日の夕刻、…中川橋の上を上陸用戦車(舟艇)に乗って通過していた米兵が、家を空襲で焼かれ停泊中の艀で船上生活をしていた母子の二人を鳥でも狙うように撃ち殺して海中に転落させた。

それから数日経過した11月初旬の深夜には、名古屋市営路面電車の車庫になっていた港車庫構内の一番奥に停車していた修理中の電車の中で、一人の婦人が暴行された挙句に心臓をピストルで撃たれて全裸に近い姿で死んでいた。…犯行現場の車内には進駐軍の洋モク(米国製たばこ)の吸い殻や米国製ウイスキーの空きびんが散乱していた。…米第25師団兵士の中の不良分子の仕業による犯行であることは疑う余地もなかった。

特に米第25師団の本隊が名古屋に上陸してから10日間位経過した頃から、婦女子への暴行事件が続発するようになった。…ことに夜の一人歩きの女性や娼婦風の女性が基地内に連れ込まれて夜通し大勢の米兵に輪姦された挙句、朝方になって無残にも軍用ナイフで刺し殺されたり、また銃殺されたりした。その上、犯行を隠すために遺体は、基地の北側を流れている横運河に投げ捨てられていたこともあった。…運河の中から引き揚げられた遺体は、米軍の犯行と分かっていても大抵の場合は、「生活苦による入水自殺」として片づけられてしまった。(p.p.245-246)

ことに戦後の2、3年間は、名古屋港内をはじめ名古屋市内を流れる庄内川や中川運河などの河川で、若い女性の水死体がよく発見された。それらの遺体の大半は、詳しく検死したり、死亡解剖するまでもなく、一目して明らかに強姦された後に殺されて捨てられた事が歴然としている遺体も多かったのである。しかも、その犯人のほとんどが米軍兵士であった。死人に口なしの例えのように、日本の警察も米軍の犯行とわかって米憲兵隊に通報しても、返ってくる言葉はいつも決って判を押したように調査をしたが「米軍に該当する犯人(容疑者)は存在しない。恐らく〔生活苦による入水自殺〕と考えられる」の一言で簡単に処理されてしまったのである。文字通り、やりたい放題の治外法権であった。

昭和21年の五月上旬には、名古屋に短期間進駐した英連邦軍の印度兵に農夫が自動小銃で近距離から撃たれて重傷を負っている。また三菱航空機製作所大江工場では、昭和20年11月頃に約2000名以上の米軍兵士が進駐していたことがある。ここでは、日本人のコックや雑役労務者たちが大量に採用されていて、彼ら米兵たちの食堂や洗濯場で働いていた。米兵たちは、これらの日本人労務者の働きぶりが気にいらないと、すぐ殴る蹴るの暴行を加えていた。殴られた場所が急所であったような場合は、内臓破裂などの症状を起こして死亡する事件も発生した。

筆者の父(戦後、強制的に愛知県の通訳官をさせられていたが米軍の軍事異動命令を受けて昭和21年10月に神奈川県の通訳に転任になった)も、米第八軍横浜軍用図書館に勤務していた昭和26年9月に、勤務を終って単身赴任していた鶴見区生麦町の下宿に帰る途中の夜道で3人組の米軍兵士に集団で襲われた。殴る蹴るの暴行を受けて半殺しの状態になり、所持していた月給も全部奪われた。意識不明で倒れていた所を別の米兵に発見されて米軍の病院に収容された。しかし、この時、顔面と腹部に受けた強烈なパンチの傷害が原因で肋骨損傷、眼底出血と腸内出血の被害を受けた。そのため休職して名古屋に戻り治療に専念したが、病状は回復することなく次第に悪化し、ついに4カ月後の翌27年1月に他界してしまった。
…米陸軍長官宛にも協力要請の嘆願書を出してみたが、敗戦国民の訴えなんか無視されて、何の連絡もなくナシのつぶてであった。そのため父が入院していた米軍病院の証明書が提出できず、ついに一銭の補償金や見舞金も支給されず、文字通り殺され損となったまま今日に至っている。これが父の青春時代のすべてを費やして、明治から大正時代にかけて自由社会の米国に憧れ、はるばる太平洋を船で渡り皿洗い生活などを続けながら学資を稼いで十数年間も米国各地で留学生活をしていた国の軍隊行動であったのかと思うと強い憤りを感じた。しかも日本の敗戦で無理やり米軍に命令されて通訳官にさせられた父が、本業を捨てて微力ながらも自分自身では日米両国の懸け橋になるつもりで、懸命に努力を続けてきた甲斐もなく不慮の死を遂げてしまった。
(pp..247-248)

名古屋進駐当初の頃の米軍の軍用車両は、右側通行の習慣が抜け切らず道路の真ん中や右側を通行する車両も現れた。そのため市民はよく米軍の車両にはねられたり、ひき逃げされたりしたのである。しかもジープやトラックを運転していた進駐軍兵士が市民に人身事故を引き起こした場合は、そのほとんどが当て逃げやひき逃げ事件となって犯人は逃走した。米兵たちは、幼い子供が道路上で遊んでいる所をひき殺したり、田舎へ食料を買い出しに出掛けるため名古屋駅前を歩いていた2人連れの主婦たちを大型トラックで跳ね飛ばして死亡させても、何ら謝罪せずにそのまま走り去ってしまった。もちろん見舞金なども米軍は支払わなかった。文字通りやりたい放題の切り捨て御免であった。たとえひき逃げの犯行がばれても米軍兵士たちは日本人が米軍の進路を妨害したために起きた事件と報告すれば、ほとんどが不可抗力の事件として軍法会議でも無罪になってしまった。
(p.249)

このような進駐軍の犯罪を全国的に見た場合、やはり日本本土で最初の地上戦となった沖縄では、死亡事件を筆頭に各種凶悪犯罪事件が最も多く発生している。次いで関東、関西、東海地方の順に多発している。それに米軍は最後まで進駐軍の不法行為の実態を正確に公表しなかったので、その事件内容や件数も定かではなかった。しかし日本側の調査資料としては、全国調達庁職員労働組合が1958年の時点で実施した調査では、「占領期間中に犠牲となられたお気の毒な方の数を調べた所、全国で1万人から居られることが判明した」と公表している。

…これに対して日本の進駐軍被害者の遺族たちは、敗戦国の悲しさで日本人の人権は全く無視されて、何一つ進駐軍に抗議する事も許されず、ただ何事も黙って泣き寝入りするばかりであった。…ようやく昭和34年前後から日本各地で各県別単位の進駐軍被害者連盟を結成して機関紙も発行されるようになった。だが機関紙の紙面に掲載されている被害者や家族たちの悲しい手記を読んでも、依然として進駐軍の影におびえたり進駐軍を極端に意識していることが歴然としていた。なぜなら本当の感情をぶちまけた手記を書いたために、何時なんどきまた不都合な事態が発生して米英軍の報復のあることを憂慮して、心の底から米英軍兵士たちの犯罪行為を痛烈に批判したり、抗議したりすることを差し控えていたのが、余りにも哀れであり惨めであった。

また敗戦当時、日韓併合で日本国籍にあった在日韓国・朝鮮人たちの被害者には、同じような占領軍の迫害を受けたにもかかわらず、〔米軍に代わって遺族へ補償をさせられた]日本政府からは何らの連絡もなく補償もされなかった。
(p.p.251-252)

米英軍将兵が引き起こした数々の暴行事件や悪質な不法行為も戦後史の中に記述されておらず、すべて欠落している…これはその当時、政府機関をはじめ各地方公共機関が編纂した各種の行政年報や報告書等でも明確に実証されている。…進駐軍の厳しい言論の検閲を怖れた結果、占領軍の不法行為に関する実態の記述については、すべて‥自ら削除してしまったからである。(p.255)

占領軍は…昭和20年12月に米軍の占領政策を日本人や特に日本のマスコミが批判することを厳禁してしまったのである。
…特に米軍は進駐当初、人類史上最大の悲劇をもたらした広島、長崎の原子爆弾の被害に関する報道は、日本人の大きな憎しみと反感を買うのを恐れて、米軍が公表する場合を除いて絶対に記事にする事を禁止し厳重な報道規制を実施した。またB29の空襲で被害を受けた名古屋の詳細な人的被害の実態調査や報道も厳禁してしまった。そのため戦時中に190回あまり(米軍極秘統計報告書に拠る)にわたり爆撃された名古屋大空襲の正確な戦争被害は確認されないままになっている。
(p.259)

****************

昭和21年8月3日に岐阜県の陸軍各務原航空隊に進駐していた米第25師団第27連隊の下士官が、空襲で焼失した名古屋城に現われ、金鯱の鱗が溶けて固まった推定300グラム(米軍側の判断)の残骸を接収した…。米軍が押収した金鯱の数量は、秤で正確に計量することも許されなかった。実際には推定の300グラムよりも、はるかに多い2倍以上の分量の金塊であったようだ。当時、名古屋に駐留していた米極東第5空軍司令部内の将校たちの間では、押収された金鯱の溶解した残骸のすべては、小牧飛行場(現・名古屋空港)から直接アメリカ本国へ戦利品として空輸された話題でもちきりであった。

…このようにして各地から集められた日本の貴重な文化財の山は、普通の価値しかない昭和軍刀などと一緒にされて、名古屋港の埠頭桟橋倉庫に運び込まれた。ここで更に選定仕分けされて、上物と思われる逸品だけを米統合参謀本部や米国防総省へ戦利品として空輸されたり、また米軍の高級将校用の土産品として、入港してくる艦船で次々に米国へ送り届けられた。更にその他の普通の軍刀やサーベル、日章旗などは、下級兵士達が本国に帰還する際に、戦利品や記念品として大きな雑嚢袋に入れて持ち帰ってしまったのである。このように敗戦後の日本から持ち去られた貴重な文化財や美術品の中には、その後アメリカのボストン美術館やイギリスの大英博物館などの米英諸国に密かに持ち込まれた収蔵品もあり、その数は相当の量にのぼっていることは、美術専門家や学者の間で周知の事実となっている。しかもこれらの美術品の秘蔵については、今日ではご丁寧にも明治初年の神仏分離令によって起きた廃仏毀釈運動で、日本の庶民が二束三文の安値で手放したものを収集したというまことしやかな理由や説明までつけられている有様だ。
(p.p.134-135)

名古屋周辺地区では、戦災を免れたり野積みにされたままの軍需物資が未だ大量に残されていた。また田舎に工場を疎開したために、機械をはじめ原材料とも無傷のまま終戦を迎えた軍需工場も多数存在していた。

戦後米軍の指示により、これらの軍需工場や陸軍造兵廠等から没収された軍需物資の内訳は、ジュラルミン板、アルミのインゴット、鉄鋼、ゴム靴、合板、玄米、大麦、板ガラス、綿布、紡績機、各種工作機械、旋盤、軍用トラック、硫安、セメント、鉄道用レール等の多品種に及んでいた。その何れの物資も焼け野原と化した敗戦国の日本では、再建のため喉から手が出るほど欲しい必需品ばかりであった。だが米軍は無情にも、これらの物資を連合国の現物賠償物資に指定し、日本人の民需用に転換して平和利用することを一切禁止してしまったのである。ことに陸軍の熱田造兵廠には、武器弾薬の他に何故か大量の古米や大麦なども備蓄していた。言うまでもなく日本人の主食になっていた米や麦は武器ではないのに、すべて賠償物資として没収されてしまったのである。

このように名古屋を中心とした東海地方から米軍に強奪没収された大量の残存必需物資や文化財等は、名古屋港の中央埠頭桟橋へ続々と集められた。これらの物資の中で利用価値の高いものは、真っ先に米国に搬出された。また、その他の物資は、主に米国と作戦行動を共にして対日戦を戦ってきた中国、フィリピン、オーストラリアなどの各国へ現物賠償物資として毎日のように船積みされて海外に大流出したのである。

…それを国民の復興のための民需に再利用することができれば、あれほど戦後に市民が物資の不足で困窮しなくても自立し再建することができたはずである。
(p.p.135-136)

米軍は占領初期の頃の日本を密かに食糧攻めにして、容易に立ちあ上がれない様にしておく事を重要な占領政策にしていた…。そのため窮乏していた日本の主要食糧の米や麦は、昭和20年度産の米作が悪天候による不作を理由にして、米軍の厳しい指示により日本国民の主食の配給量を極限に近いところまで減らしたり欠配させていたのである。

師団長モラン(C.I.Mullins)少将
「連合国軍の日本占領を成功させる手段としては、先ず日本人の食糧不足を利用して、当面は食糧を封鎖して日本人の抵抗意識を防止することを第一目標にする。…次に…徐々に米国の余剰農産物を活用して無償援助または有償援助を実施して、日本人に恩義を感じさせる。それまでは、たとえ日本農業の米麦が増産されたとしても、配給量を絶対に増加する許可を日本政府に与えてはならない」(p.p.136-137)


また悪辣な米兵たちは、日本側の説明で命令事項が期日までに履行できないことが分かるとその延期を認める代償として暗に女(占領軍慰安婦)を無償提供したり、土産やプレゼントの賄賂を要求することも日常茶飯のように行われた。こんな狡猾な軍政が繰り返されるたびに進駐軍の絶大な権力に恐れをなした官公庁や商社の幹部は、ただ彼らの命令に言うなりに従うより仕方がなかった。それに味をしめた一部の米軍将兵は、ますますエスカレートして事あるたびに無理難題を押しつけるようになった。

ことに米極東第5空軍司令部の中堅クラス以上の一部の軍政将校の中には、暇さえあれば連日のように日本側の弱みにつけ込んで命令の履行状況や市民生活のあらゆる面に難癖をつけて、その見返りとしてパーティーを開かせたり芸妓を抱かせることを強要した。しかもそれだけでは物足らず、彼らは事あるたびに日本の美術工芸品や高級和服絹製品などを盛んに無償で調達するように命じた。
(p.191)

Thursday, June 12, 2025

木元寛明『気象と戦術』

 Kimoto, H. (2019). 気象と戦術 : 天候は勝敗を左右し、歴史を変える. SBクリエイティブ.

気象という名の「兵器」


「テロリストたちは、電磁波遠隔操作により気象を変更し、地震を誘発させ、火山を噴火させるという手段で、エコタイプのテロリズムにすら手をつけている」
 ――米国防長官ウィリアム・コ―ヘンの「テロリズム、大量破壊兵器、および合衆国の戦略」に関する会議での講演
  (1997年4月28日、ジョージア大学)


目的達成のための気象・自然の軍事利用
気象・自然を「兵器」として使用する

1967年から1972年まで、米空軍気象局は、地域一帯を水浸しにしてホーチミン・ルートを泥寧化し、人や物資の移動を妨げようとしました。そのため、3機の改造型WC-130輸送機からヨウ化銀などのフレアを散布して雲の種をまき、ラオスおよびカンボジアに人工雨を降らせる作戦を行っています。
(p.150)


気象、地震、火山をコントロールする?
あながち荒唐無稽ともいえない

欧米の多くの国は第2次大戦の終了直後から、気象を変更する(=操作する)技術の実験をスタートしています。…冒頭のコ―ヘン国防長官の発言のように、気象の変更、人為的な地震の誘発、火山の噴火などが兵器として使用されるという推論は、あながち荒唐無稽ともいえないようです。(p.155)

Thursday, September 5, 2024

Tennessee lawmakers give final approval to 'chemtrails' bill

Melissa Brown
Nashville Tennessean
Apr. 1, 2024

Tennessee legislation banning the intentional release of chemicals into the air is headed to Gov. Bill Lee's desk to be signed into law.

The bill has been criticized as codifying a ban on "chem trails," a widely debunked conspiracy theory that the federal government is spreading chemicals for nefarious reasons, though House sponsor Rep. Monty Fritts, R-Kingston, said he brought the bill due to ongoing weather and climate control practices.

HB 2063/SB 2691, which House Republicans gave final passage to Monday, bans the "intentional injection, release, or dispersion" of chemicals within Tennessee "with the express purpose of affecting temperature, weather, or the intensity of the sunlight is prohibited."


Sunday, June 16, 2024

SILENT WEAPONS: EXAMINING FOREIGN ANOMALOUS HEALTH INCIDENTS TARGETING AMERICANS IN THE HOMELAND

[沈黙の凶器:アメリカの国民を標的にした国外勢力による特異な健康被害事例に関する調査]

Homeland Security Committee | Republican

U.S. House of Representatives

H2-176 Ford House Office Building

Washington, DC 20515




What: A Subcommittee on Counterterrorism, Law Enforcement, and Intelligence hearing entitled, “Silent Weapons: Examining Foreign Anomalous Health Incidents Targeting Americans in the Homeland and Abroad.”

When: Wednesday, May 8, 2024, at 2:00 PM ET

Where: 310 Cannon House Office Building

 https://homeland.house.gov/hearing/silent-weapons-examining-foreign-anomalous-health-incidents-targeting-americans-in-the-homeland/

Monday, November 27, 2023

内海聡 『テレビが報じない精神科のこわい話』

 内海 聡 & くらもと えいる. (2018). テレビが報じない精神科のこわい話 : まんがで簡単にわかる! : 新・精神科は今日も やりたい放題. ユサブル.

「薬の服用後なぜか死にたくなった どうして飛び降りたか覚えていない そんな証言が自殺からの生存者たちから寄せられたんです」
[遺族への聞き取り調査で]対象となった1016人の自殺者のうち、精神科を受診・治療中だった人は701人で、69.0%を占めました。さらに08年1月以降では883人のうち632人と、71.6%にのぼっています。そのうち自宅マンションから飛び降り自殺を図ったケースでは100%、つまり全員が向精神薬を服用していました。
…抗うつ剤と覚醒剤は類似物質なのですから、飛び降りたいという衝動に駆られるのも、まったく不思議なことではないのです。(p.p.56)


精神医学は適当な理論で成り立っている
科学的根拠のない精神医学

今ある疾患理論、薬物理論というのは現在でも全て仮説であり、説明されたり因果関係を導けたりするものが何ひとつないのです。
…内科や外科など、他の分野の病気であれば、その診断基準に、科学的、数値的な根拠が必ず存在します。しかし精神医学にはそれがないのです。
(p.p.77-78)

「売りたい薬 売りたい人間 その薬を処方して じわじわ薬を増やして 長く通わせて儲けたい人間 その集大成が精神科医療だと私は思っています」
ここで重要なポイントは、本人が自殺目的で大量服用したのではない、ということです。…主治医の精神科処方を守り、決められた通りに飲んでいたら不審死に至ってしまったということなのです。…これほど危険であるにもかかわらず、製薬会社と精神科医が儲けるために精神薬は使われ続けています。(p.p.79-80)


医療保護入院での恐怖体験!

Q. 医療保護入院って何?
A. 自傷・他害の恐れがない精神障害者でも、病院判断、家族の同意があれば強制入院させられる制度です。

精神障害と判断する基準があいまいなため家族間のトラブルの時に悪用されることが多々あり
(p.105)
[被害者の証言]
裁判では[強制入院させた]あの医師が統合失調症の判断基準も知らずに今まで数千人以上の人を診察診断してたのを知った時には、怒りで震えました
(p.121)


製薬会社と権力者の繋がり

世界有数の巨大製薬会社であるグラクソスミスクライン(GSK)が販売した「パキシル」という薬は1992年の発売以来、依存症に関して3200件、出生異常で600件以上、自殺と自殺未遂でも約450件の訴訟をおこされています。

その中の、ある裁判において、「マイナスの研究結果は隠蔽する」と記述されたGSK重役によるメモが明らかにされました。それとは別の裁判でも同社重役の「ダメでも結果は隠せる」と記述したメモが冒頭陳述で読みあげられてます。

また、2017年の製薬会社の売上高で世界第2位のファイザー社も、同社が販売する「ガパペンチン」(てんかん薬)のマーケット拡大に不都合な研究結果のもみ消しや改ざんを行っていたことを示す社内文書がみつかっています。(p.p.197-196)

Wednesday, March 29, 2023

崎谷博征 『今だから知るべき!ワクチンの真実』

 崎谷博征. (2021). 今だから知るべき!ワクチンの真実 : 予防接種のabcから新型コロナワクチンとの向き合い方まで. 秀和システム.

新型コロナウイルス感染症に罹患した場合、その80%以上は症状を出しても軽い感冒症状(軽度のインフルエンザウイルス感染症状)で終わります。一方で、新型コロナウイルスに対するワクチンは、今まで臨床応用を許可されていなかった新種の遺伝子ワクチンの接種が、十分な検証がなされないまま2020年12月に英国からスタートしました。そして、案の定、本編でもご紹介するようにアナフィラキシーショック、脳炎などの重篤な副作用や死亡例が日夜報告されています。

そして、英国のメインストリームのメディア(MSM)であるCNNでさえ、2021年1月30日の記事で、民主党議員が新型コロナウイルス遺伝子ワクチンの2回接種後に新型コロナウイルス検査(PCR検査)で陽性になったことを報道し、「新型コロナ遺伝子ワクチンは病状を抑えるものであって、必ずしも感染を防ぐものではない」としています。実際は、本編でもお伝えするように、症状を抑えるという確たるエビデンスも臨床試験の中間解析で示されていません。

つまり、今回の新型コロナウイルス遺伝子ワクチンの予防接種を受ける場合のメリットは、現在のところ感染予防にならない、症状も抑えないことから何もないことが明確です。一方の遺伝子ワクチンの短期的リスクは、高齢者だけでなく、アナフィラキシーショックなどの重篤な副作用や死亡例は若い世代でも起こっています。長期的なリスクはまったく検討されていませんが、新型コロナウイルス遺伝子ワクチンのRNAは、長期的にアルツハイマー病や狂牛病などをひき起こす異常たんぱく質(プリオン)を形成させることも報告されています。

(p.p.1-3)

     *****

私たち医師が信頼を置いてきた有名な医学雑誌は、今回の新型コロナウイルス感染に関しては、完全にサイエンスをかなぐり捨て政治化してしまいました。現在でも、毎日夥しいフェイクサイエンスが掲載され続けています。

…2004年には『ランセット』誌の編集長が自ら、「医学雑誌は製薬会社のための情報ロンダリング部門である」という的確な表現をしています。2005年にすでに「医学雑誌は、製薬会社のマーケティング部門である」と題する論文が発表されたくらいです。

…製薬会社は、この有名な医学雑誌に掲載した論文(もちろん自社の商品に効果があったという内容)を億単位の資金を投入して、医師をはじめとした医学研究者に配布します。その効果が、何千ページの広告にも匹敵することを知っているからです。医師は通常は通常業務に忙殺されているため、配布された論文を精読することはほとんどありません。あったとしても、それはその医師の専門分野に限定されています。医師や研究者たちは、その有名医学雑誌の名前を見ただけで十分信頼に足るという印象を持つため、簡単に洗脳が可能になります。

一方で、製薬会社の商品についてマイナスの結果となるものは、公表されません。独立機関がマイナスの結果を公開したとしても、すぐに圧力をかけられて、論文撤回 (targeted retraction)されています。[The International Journal of Vaccine Theory. Practice, and Research, 1(2), Januruary 4, 2021. 他]

…ワクチン有害事象報告制度(VAERS)は、過少申告が著しいもので、ワクチンの副作用の実態を反映していません。(p.p.36-40)

     *****

病気投資家 [dideases investor] とは、事前事業と称して税金のかからない財団から、医薬品やワクチンに投資して莫大な収益を上げている権力者のことを指します。その典型例が、ロックフェラーによる医薬品パテント(特許)とビル・ゲイツによるワクチンパテント(特許)です。…(現在はこれに遺伝子特許が加わる)。

彼らは、20世紀に入ってから健康の概念を大きく変えました。…

1.老若男女に病気を拡散した(ジャンクフード、ワクチン、医薬品、電磁波etc)

2.医療の倫理やモラルを利益相反(医師や研究者に利益供与する)によって徹底的に破壊した

3.良識のある、あるいは能力のある独立した研究者を徹底的に排除した

4.慢性病をもつ、薬依存社会を作り上げ、人口削減および思考できない従順な労働者を大量生産した

5.税金を病気投資家へと移転した

(p.p.240-241)


米国国防省やビル・メリンダ財団などの新興ウイルス研究がすでに10年以上前から行われていたことが複数の研究論文で確認できた…。

2015年には、SARSコロナウイルスの細胞接着(スパイクタンパク質)遺伝子を編集した人工コロナウイルスでヒトの気管支・肺の培養細胞およびマウスの肺に感染させて病原性を発揮させることに成功しています。[Not Med. 2015 Dec; 21(12):1508-13.] …米国でもこのような研究が、2014年に表向きには禁止されていましたが、2017年には再開されています。(p.259)


Wednesday, June 1, 2022

母里啓子『子供と親のためのワクチン読本』

 

 「ワクチンで重症化を防ぐことができる」という証拠はありません

同じインフルエンザウイルスに感染しても、悪くなる人と悪くならない人がいます。その人が病気にかかった時の体力や、体全体の免疫状態が大きく関わってきます。これはワクチン接種の有無には関係ありません。

2009年に新型インフルエンザが流行し、誰も抗体を持っていない新しいウイルスが流行しました。ワクチンもまに合わず、打っている人がいない中で、ぜんぜん症状も出ず、熱も出さずに、しっかりと新型インフルエンザに感染していた人が一定数いたことが調査でわかっています。

任意接種のおたふくかぜのワクチンも、ワクチンを打ってもかかることの多いものです。これも、「かかっても軽くすむ」と、医療機関ですすめられることが多いと思います。けれども、おたふくかぜは、小さいうちにかかってしまえば、ワクチンを打たなくても、診断もつかないほどごく軽くすんでしまうことが多いのです。

重症化を防ぐためにワクチンを打つ必要はありません。

(p.p.24-25)

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予防接種が増えたぶんだけ、副作用の事故は増えています

この数は少なくありません。死亡例の報告もあります。検討会ではほとんどがワクチンとの関連なしとされますが、ワクチン接種後の赤ちゃんに、原因不明の乳幼児突然死症候群が起きた例が多数出ている現実には、こわさを感じます。

また、接種回数や接種間隔を間違えたり、同じワクチンを打ってしまったりなどの予防接種時のミスも年々増えています。

…なぜほとんど報道されないのでしょう?

それは、予防接種は、国がすすめていることだからです。予防接種で被害を受けるニュースは、受ける人たちを不安にさせ、接種率が下がる原因になります。国がすすめていることを妨げるニュースは、報道されにくいのです。

(p.p.50-51)

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Q「ワクチンを打たないなんて周りに迷惑」と言われて動揺しています

A ワクチンを打ったら病気の感染源にならないわけではありません

ウイルスや細菌は、どこから来たのかわかりません。

…これだけ往来の多い社会の中で、誰からうつったかをいちいち特定してその原因を追究し、あの子からうつったと非難することができますか?もし、そんなことをしたら、いわれなき中傷として、そちらのほうが非難されるべきでしょう。…感染した人すべてが症状を出しているわけではないので、誰からうつったかなど、わかりません。実際インフルエンザなどは、知らない間にかかって、知らないうちに治っている人が感染源になっていることが多いのです。

ワクチンを打ったら感染源にならないわけではありません。ワクチンを打ってもかかるし、人にうつしてしまうのです。また、生ワクチンを打ったことで軽く発症し、感染源になる可能性も大きいのです。

(p.p.74-75)

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インフルエンザ、子宮頸がんワクチンなど

まったく打つ意味のないワクチンもあります

…子宮頸がんワクチンはヒトパピローマウイルスの感染予防のワクチンですが、子宮頸がんを予防するかどうかは明らかではありません。まだその結果は出ていません。しかも、世界中で重篤な副作用が報告されています。

…肺炎予防のために65歳以上にすすめられている成人用の肺炎球菌ワクチン、これもまったく必要ありません。高齢者が亡くなる肺炎のほとんどは、唾液などと一緒に口腔内の細菌が肺に吸い込まれることで起こる誤嚥性肺炎です。肺炎球菌だけではなく、口の中にすむ膨大な数の常在菌が原因なので、ワクチンでわずかな型の肺炎球菌を防いでも効果はありません。

(p.p.68-69)

インフルエンザウイルスは変異の早いウイルスですから、どんなに急いでも効果の高いワクチンは作りようがありません。感染を防ぐワクチンでもないので、エチケットで打つ意味もありません。ワクチンを打てば「重症化」を防ぐと言われていますが…確かなデータはありません。また、乳児、幼児への効果はほとんどないことが明らかになっています。

(p.p.164-165)

Thursday, April 28, 2022

近藤誠『ワクチン副作用の恐怖』

 Kondo, M. (2017). Wakuchin fukusayo no kyofu. Bungeishunju.

以前、インフルエンザが症状から診断されていた時代は、患者数は一万人未満だったのに、検査キットが導入されると100万人超。

…今日インフルエンザと診断される人たちの九九%以上は、検査さえうけなければ、″ただの風邪″と診断されているはずです。

思いおこせばインフルエンザは、むかしは″流行性感冒″や″流感″と呼ばれていました。すこしきつめの風邪、というのがみんなのうけとり方だったのです。ところが専門家たちや厚労省がこぞって″インフルエンザ”という、どこかおそろしげな病名に乗り換えたため、人々は風邪とはちがうと思いこまされたようです。

そしてワクチン製造がどん底に落ちこんだ一九九四年以降、「インフルエンザは怖い」という報道が急増しました。これは厚労省や専門家の主導ないし協力なくしてはなしえぬキャンペーンでした。(p.p.101-102)

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試験の全期間を通じて、A型インフルエンザの流行が三回あったのですが、ワクチンを毎年打っていても打たなくても、あるいは一回打っても、二回打っても、三回打っても、全三回の流行期をつうじたインフルエンザの累積発症率は、どのグループも四〇~五〇%の範囲におさまり、ワクチン接種歴による違いがみられなかったのです(Lancet 1979)。

…ワクチンを打っていても打たなくても、インフルエンザの発症率は同じになる、ということのようです。(p.108)

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ワクチンの製造量がどん底におちた一九九四年を見ると

【インフルエンザによる死亡数・一九九四年】…合計五人で、

…これに対し、新検査法やワクチンや抗ウイルス薬など種々の施策がそろった二〇一五年では、

【インフルエンザによる死亡数・一九九五年】…合計で六五人。一九九四年の一三倍です(厚労省人口動態統計)。

これら亡くなった方々のご遺族は、故人が解熱剤や抗ウイルス薬などによる薬害のために死亡したとは気づいていないのでしょうね。


Monday, April 18, 2022

母里啓子『もうワクチンはやめなさい』

 Mori, K. (2017). Mo wakuchin wa yamenasai: Yobo sesshu o utsu mae ni shitte okitai sanjusan no shinjitsu. Futabasha.

2011年3月、ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの同時接種後に亡くなった乳幼児のことが次々にニュースとなりました。…ワクチン接種後に亡くなる例が一定程度あるなら、それはあきらかにワクチンによる被害でしょう。

しかし厚労省は、予防接種との因果関係を認めないまま、両ワクチンをたった1ヵ月もたたないうちに接種再開しました。死亡した赤ちゃんのニュースなどなかったかのように、その後2013年から定期接種となり、両ワクチンはすべての0歳児に推奨されるものとなったのです。

…けれど、ニュースにならないだけです。今も、予防接種後に赤ちゃんが次々に亡くなっています。実際には、騒ぎにならないのがおかしいほど、ワクチン接種後に亡くなる赤ちゃんが増えているのです。…厚労省は隠してはいません。けれど、マスコミはこのことを話題にしません。(p.p.3-5)

Friday, February 11, 2022

船瀬俊介『コロナと陰謀』

 Funase, S. (2020). Korona to inbo: Daremo ienai seibutsu heiki no himitsu. Hikarurando.

PCR検査キット「注意書き」に、わが目を疑った。その「COVID-19用検査キット」に、こう記載されている。

「……この検査は、他の様々なウイルスにも〝陽性"と反応します」

そして―。〝陽性"反応する病原ウイルス例として、七種類をあげている。それは、「インフルエンザA型」「インフルエンザB型」「アデノウイルス」……から「マイコプラズマ」「クラミジア」などなど。これらは普通の風邪を引き起こすウイルスなどだ。…それを、ジョンズ・ホプキンス大学は「新型コロナ(COVID-19)」感染数と、重々しく偽って公表している。それを、世界のメディアのキャスターたちは深刻な表情で伝えている。…さらに、「注意書き」には、〝陽性"反応ウイルス例として七種類あげているだけだ。つまりは〝それ以外"のウイルスにも〝陽性"反応する可能性がおおいにある。…さらに、PCR測定用キットの「説明書」にも、こう「注意書き」がある。

「……検査の結果〝陽性"でも、それで新型コロナウイルス感染症(〝COVID-19")と『診断』したり、『治療』の根拠としてはいけない」(p.p.317-321)

PCR検査の信頼度を測定した実験もある。検査を行って、二週間経過観察して、〝陽性"が正確か?判定したものだ。その結果〝偽陽性率"は八〇%にたっしていた。つまり、まったく正常な五人がPCR検査を受けると四人が〝陽性"とされてしまう。(p322)

アンドリュー・カウフマン医師は、明瞭だ。

「……検査で〝陽性"になった五人のうち四人は、じっさいには全く病気ではなかった。これは大変大きな数です。〝偽陽性"率が、五%未満であれば、まあ『良い検査』といえます。それでも一〇〇人のうち五人は『病気』とされてしまいます。だから、理想的ではない。最良の〝偽陽性"率は、一%未満でしょうね ……八〇%とは、あまりにも不正確。何も測定していないのと同じ。」(p.324)

だからPCR"陽性"=新型コロナウイルス感染症として"病名"を付けるのは、完全な詐欺である。医師法にも違反する違法行為だ。

…彼[崎谷博征医師]は、すでに二月の時点で、PCR検査のデタラメさに気づいた。

「……だから、統計について議論することすら、馬鹿らしくなって数字を追うこともやめました。このような"フェイク統計"は、WHOやCDC("ビッグファーマ"製薬利権と"回転ドア"官民ゆ着)が、毎年のインフルエンザウイルスねつ造も行っており、すでに常識となっています。とくに、ワクチンの売り上げが低下したときには、インフルエンザウイルス感染症の数をふくらませる。そのため、医師に、検査なしでも"疑わしい"症例をカウントさせているのです。こういった、いい加減さを通り越した統計を元にして、何を議論しても始まりません」(p.p.353-355)

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「……一九九三年、WHOは『家族計画』のための『出産コントロール・ワクチン』を発表した。公開研究によれば、一九七六年までに、研究者は『破傷風トキソイド(TT)』と『ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)』を結合させ、『出産抑制ワクチン』を開発、これにより、妊娠ホルモンが免疫系によって攻撃される。妊娠女性には中絶効果があり、避妊効果もある。反復接種で不妊効果は延長できる。さらに、WHO研究者たちは、より強力な『不妊ワクチン』の開発に取り組んでいる。それは遺伝子組替え(GM)技術を応用する。WHOは刊行物で『予測不能な先進国の人口増加を抑制する』―という長期目的を表明している」

悪質なのは、これらWHO"不妊ワクチン"が「破傷風ワクチン」などに偽装され、接種されてきたことだ。二〇一四年、これらワクチンを分析したところ、不妊成分hCGが試料の半分から検出された。つまり、ケニアで展開された「破傷風撲滅キャンペーン」の正体は、"人口抑制"キャンペーンであった。(p.p.298-299)

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ペンタゴン(米国防総省)の「生物化学兵器」予算請求の公聴記録。(極秘扱い)

(第九一米国議会下院・歳出委員会小委員会での公聴会)(一九六九年六月九日)

そこで、生物兵器製造を担当するドナルド・M・マッカーサー博士が次のように証言している。

「……生物兵器が微生物であることは、皆さんのすべてがご存知のことと思います。(中略)今後、五年から十年以内に、これまでに知られているいかなる病原性微生物とも、いくつかの重要な側面で異なる新しい感染性微生物を製造することが、恐らく可能になるでしょう。このような微生物の最も重要な点は、われわれが感染症を制圧するのに頼っている体内の免疫系と医療には、恐らく対処できないであろう……ということです。これが、実行可能であるか?明らかにする研究プログラムは、一〇〇〇万ドルの総費用で、五年以内に完了できるでしょう」

‥まさにエイズ・ウイルス(HIV)の実像そのものだ。そして、米軍部は、請求通りの予算を獲得し、研究開発に没頭した。そして―、最初のエイズ患者が、ニューヨークに出現したのは、まさにマッカーサー博士が予言したとおり一九七九年、春のことである。

エイズ・ウイルスが遺伝子組替えで合成されたウイルスなら、いったい、何と何を組み合わせたのだろう?その謎もゼーガル夫妻は解明している。

「……ピスナウイルスは、羊の脳細胞を致命的に破壊することで知られています。(いわゆる狂羊病)。しかし、人間への感染性はありません。『これは、このウイルスの粒子表面(エンベロープ)に、ヒト細胞のたんぱく質と結合するたんぱく質がまったくないためです』(ゼーガル博士)、ところが、博士はエイズ・ウイルスの構造を調べて、その遺伝子配列(ゲノム)には『ヒトT細胞白血病ウイルスのゲノムの一部と類似する領域がある』ことを発見した。この白血病ウイルス(HTLV-I)は、人間に一種の血液ガンを生じさせて、T4細胞の内部で増殖します」(『超インフルエンザ』)

ここで、T4細胞とは「T型白血球細胞」のことである。これは、外部から侵入したウイルスや細菌などを攻撃する免疫細胞の一種。

「……つまり、博士は、エイズ・ウイルス遺伝子配列は、ピスナ・ウイルスと白血病ウイルスの遺伝子を"つなぎ合わせた"ものであることを見抜いたのです」(同)

ちなみにエイズ・ウイルス(HIV)を合成した施設も判明している。それは、ペンタゴン(米国防総省)管轄のメリーランド州フォート・デトリック研究所である。 

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「新型コロナは、『人工的に二種のウィルスを合体した』キメラ(人造生物)の可能性が濃厚だ」([ソルボンヌ大学] A・アサニン博士 進化生物学 2020/3/19)

「……アメリカの科学者は、すでにコウモリなど動物のコロナウイルスの"ハイブリッド"の人工ウイルスを完成させている。二〇一三年には、すでに研究者たちは、この新型コロナウイルスを、人間に感染させる方法を研究している」(科学誌『ネイチャー・メディスン・ジャーナル)   

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新型コロナウイルスのパニック発生直前に、アメリカの大企業のCEOが次々に退陣していたことが、明らかになった。その数は史上最大の一四〇〇人にたっする。これらCEO大量退職は、二〇〇六年のリーマンショックをも、上回る。それも、コロナショック直前の大量辞任だ。

「まるでコロナ不況を見越したかのようだ」「事前に知っていたのではないか?」

その不自然な大量退職に、疑惑が浮上している。なぜなら、二〇二〇年は、未曾有のコロナ不況が世界を覆っているが、二〇一九年には、米国株式市場も好況が続いていた。大企業の多くは堅調に業績を挙げていた。だから、大企業のCEOにとって、辞める理由など、いっさい見当たらない。

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日本いや世界のメディアにとって、ワクチンについて、マイナス情報を流すことは厳禁である。それでも、悲劇はもれ伝えられる。

「高森町、健康被害で賠償金―下伊那郡高森町は…二〇一二年に町による麻疹(はしか)と風疹ワクチンの混合ワクチンの集団予防接種を受けた後、急性小脳炎と診断された女性=当時一三歳=への賠償額五五三万円余を決定する議案を議会に提出。原案通り可決された。女性は二〇一九年二月、予防接種法に基づく国の健康被害救済制度の認定を受けた。町が認定を基に支払うべき賠償額を算定していた」

小さな一段の新聞記事だ。内科医、内海聡医師は、二〇二〇年一月二三日、こう綴る。

「……まさに氷山の一角。おそらく、小脳炎だけでも全国に一〇〇倍から数百倍はいると推測する。アメリカのワクチン強制化の流れも、日本でうるさいのも、ロビー活動の結果に過ぎない」(フェイスブックより)

   

Friday, July 3, 2020

内海聡『99%の人が知らないこの世界の秘密』

Utsumi, S. (2014). Kyujukyupasento no hito ga shiranai kono sekai no himitsu: Karera ni damasareruna. Isutopuresu. 

恐怖の飛行機雲「ケムトレイル」

ケムトレイルとは、簡単にいえば「毒をふくんだ飛行機雲」である。さまざまなウイルスや有害物質を人工繊維の中にふくませ、それを上空から散布しているのだ。…一躍、時の人となった元CIA(米中央情報局)局員、エドワード・スノーデン氏もケムトレイルについて言及している。
ケムトレイルには、以下の物質がふくまれているとされる。


・突然変異を起こした三〇〇種類のカビ
・乾燥させた赤血球
・二六種類の金属(バリウム、アルミニウム、ウランなど)
・さまざまな病原菌や化学物質
・鎮静剤などの薬
・カチオン性ポリマー繊維
・繊維に閉じ込められた小さな寄生虫の卵
・地球外バクテリア


ケムトレイルは、先進国の政府、軍、製薬企業の共同プロジェクトだ。…本当の目的は、政府は人口削減、軍は生物兵器と気象操作の実験、製薬企業は人々を病気にして薬を売ることである。

…ケムトレイルの被害が最も深刻なのは米国だが、この国ではケムトレイルが原因とみられる奇病が流行している。それが「モルジェロンズ病」だ。すでに六万世帯で被害が発生しているという。…すでに米国では有志団体による告発が始まっている。(p.p.113-116)

こんな「最新兵器」がすでに使われている

もっと恐ろしい話もある。ケムトレイルの中に「バイオAPI」(ナノロボット)という最新ナノ兵器を混ぜ込もうというのだ。
…こうした技術の大半は軍事技術からきている。開発しているのは、米国防総省の研究部門である「DARPA(ダーパ)」(国防高等研究局)だ。

…彼らは脳を模した新しい「チップ」の開発も手がけているし、マッハ四〇(四ではない)の飛行機の研究も手がけているし、高速ステルス機の研究も手がけてるし、脳内チップなどを使った「疑似テレパシー」技術(メッシュネットワーク)についても研究しているし、四足歩行ロボットについても研究している。「透明ディスプレイ」もすでに開発されており、まさに映画『ミッション・インポッシブル』の世界が現実になっている。
これらはすべて米国で暴露されていることであり、ウソでも誇張でもなんでもない事実だ。


あなたがたの使っているスマートフォンは、そんな軍事技術の時代遅れの産物だ。インターネットも同様である。(p.p.117-118)

Tuesday, April 21, 2020

Moreno, 『操作される脳: Mind Wars』

Moreno, J. D., Kubota, K., & Nishio, K. (2008). Sōsa sareru nō: Maindo uōzu. Tōkyō: Asukīmediawākusu. 
(The original title: Jonathan D. Moreno, Ph.D., "Mind Wars - Brain Research and National Defense")

臭気兵器の設計者は長らく糞便の臭いに心を奪われていたようである。一九九八年の軍の文献によれば、第二次世界大戦の際の発想は、ドイツ占領軍にこっそり「フー・ミー(Who Me)」という化学薬品をなすりつけて、「物笑いの種」にしてやろうというものだった。(p.296)

二〇〇一年六月、テキサスの、元海軍中佐が代表となっている企業と海軍研究所の科学者とが、糞便の臭いの元となる化合物に対する特許を取得し、「不愉快な嗅覚刺激を用いて、人間の行動をコントロールしたり変更させたりするという手法は、現代の戦争において魅力的な発想である」と述べている。エッジウッドでも「米国政府基準トイレ臭気(U.S. Government Standard Bathroom Odor)」を用いた同様の研究が行われている。(p.298)


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ばい菌を戦争に利用しようという発想は(城壁から感染した馬の死骸を投げ込むといった雑な形ではあったが)古代から存在していた。現代的な微生物学は、単に経験に頼るのではなく「合理的」な方法で病原体を選択、さらにいは設計することまで可能にしている。…アメリカ、イギリス、カナダは共同で攻撃用の秘密生物兵器プログラムを立ち上げたが、これには米国陸軍化学戦サービス(Army Chemical Warfare Service)が関係していた。
(p.325)


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一九七二年に、アメリカは生物兵器に関する国際条約、生物毒素兵器禁止条約(Biological and Toxin Weapons Convention/BTWC)を批准した。この条約は平和的および防衛目的の研究以外は許されない、と明言するものである。ソビエト連邦も批准国となったが、アメリカが生物兵器プログラムを終了させたことを信じようとしなかった。その疑念のもと、ソビエトは大がかりな最高機密システムを構築した。これはバイオプレパラートと呼ばれ、民間の皮をかぶって少なくとも一九九二年までは活動していた。
…一九七九年には、スヴェルドロフスクの生物兵器工場から炭疽菌が漏出する事故が起こったのである。正確な死亡者数は知られていないが、見積もりは六六人(ソビエト当局の発表数)から一〇〇人以上まで様々である。
(p.p.325-327)


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アメリカ科学者連盟(Federation of American Scientists/FAS)の生物兵器の専門家であるバーバラ・ハッチ・ローゼンバーグが『ディスアーマメント・ディプロマシー(軍縮外交)』という機関紙に書いた論文によれば、生物毒素兵器禁止条約が一九七五年に発行してから一五~二〇年間というもの、国防総省が行うプログラム自体が機密扱いにされることはなかったものの、「アメリカ軍の欠陥や脆弱性、あるいは技術の飛躍的な発展」を明らかにするような研究結果については機密にされていた。

その後、おそらく湾岸戦争とソビエトのバイオプレパラートの発覚とが原因なのだろうが、国防総省は方針を変えたように見える。9・11のちょうど一週間前、『ニューヨーク・タイムズ』は、機密扱いされていた三つの生物兵器防衛プロジェクトについて報道し、条約を都合のいいように解釈していると指摘した。三つのうち、一つはワクチンに耐性を示す炭疽菌の作出だったが、ソビエトがそのような炭疽菌を生産したと考えられていて、それに対する防衛方法を見いだすためというのが大義名分だった [注182] 。アメリカと西側同盟諸国はこの暴露に動揺を示したが、9・11の攻撃が起こったために、沈黙に転じた。(p.339)


[注182]…ニューヨークタイムズがすっぱ抜いたプロジェクトについてアメリカ政府官僚は防衛目的だと主張したが、細菌工場で炭疽菌を大量に培養し、細菌爆弾のモデルを炸裂するなど、兵器開発そのものと言える点があった。

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ウイルスのような生物兵器は三つの要素が関係する。まずペイロード、つまりウイルスの遺伝情報、次にウイルス外皮など送達システムに関わるもの[注183]、さらに、人体の器官系など標的とされるものであり…いずれも、遺伝子工学で病原体を加工することによって操作し得る。たとえば、ウイルスか細菌の病原体に、外来、あるいは合成した遺伝子を挿入すれば、野生株が本来もたない性質を加えることができる。うまくいけば、脳や神経系を標的にした新型神経兵器の開発が可能なのだ。



[注183]ウイルス兵器は人体の細胞内に侵入することによって効果を発揮する。細胞内に侵入する際、ウイルスは、対象となる細胞表面の受容体など、特定のタンパク質に結合するが、ウイルス側に細胞表面のタンパク質が存在していなければ結合できず、侵入もできない。人体を構成する細胞は、種類によってそれぞれ特定のタンパク質が細胞膜に発現している。ある特定の細胞にウイルスを感染させたいと思ったら、その細胞のみで発現するタンパク質に結合できるタンパク質をもつように、ウイルスの遺伝子を操作すればよいことになる。


過去、旧ソビエト連邦では攻撃目的の生物兵器開発計画が進められていた。…先進的ウイルス神経兵器によって、短いペプチド鎖(アミノ酸が鎖状に結合したもので、生物活性を有する)をコードする合成遺伝子を中枢神経に送り込むというものである。中枢神経系に入ると、合成遺伝子をもとにデザイナーペプチドが生成され、それが奇襲攻撃を行うのである。このペプチドの効果は、その病原体が通常引き起こす症状とは全く違う。たとえば、脳内で生成されると悪性の神経変調物質として働き、ニューロン間の関係や通信を変化させて脳の機能を無効にしてしまう。感染性病原体としては、合成遺伝子を速やかに標的に送り届ける能力をもつものが選ばれる。この新型神経兵器において、病原体はまさにトロイの木馬であり、通常ならば到達できないようなところまで遺伝子を送り込むことが可能になる。
(p.p.347-348)



「…部隊(ユニット)が機能するための能力は、すべて頭のなかにあります。そうすると、もし恐怖やその他の感情によって部隊の忠誠心を崩壊させることができれば、軍隊は、力をもって戦う存在であることをやめてしまうでしょうね。たとえば閉所恐怖症に襲われた兵士は防護マスクをむしりとってしまうでしょう。他には、恐怖、のどの渇き、心拍数増加、腸の運動亢進とか……。ペプチドの効果としてはこのあたりが狙われていると思われます。」(生物兵器の専門家) (p.350)

 Russia accuses US of running a biological weapons lab in Georgia

Saturday, February 29, 2020

高田昌幸[編]『希望』

Takada, M. (2011). Kibō. Tōkyō: Junpōsha. 

見栄とか意地とかプライドだとか、見えない怪物だよ

茂幸雄(しげ・ゆきお) 六七歳
自殺防止のNPO代表 福井県


自殺したときの遺書なんか読むと、皆さん、「死にたくない」ということなんですね。‥自殺未遂で保護した人の話を聞くと、やっぱり死にたくないのよ。‥助けを求めたいんだけど、助けを求める場所がない。(p.p.75-76)

東尋坊では‥飛び込む場所も三ケ所ってほとんど決まっている。そこに保安員を置いておけばいいんですよ。あの当時、シルバーに働いてもらおうっちゅう、行政のほうで割り当てがあって、それをこっちに持ってきてくれ、と言ったんだけど、地元が反対するからできないんや、って。行政のほうは、地元の顔色ばっかりうかがって、何もしない。そういう風潮があったよね。
…ここの町全体が、自殺の名所を売り物にして観光が成り立っていた。(p.77)


もう一つ言うと、自殺したいと言う人が、どこへ助けを求める場所があるんですか、って。警察は何も権限ないのね。警察官職務執行第三条に「保護」ってあるんやけど。犯罪でないから、警察は保護したら、二四時間以内に保護者か福祉課に渡すことになっているの。市町村が保護を決定して実施しなければならない、という規定があるんだけど。それを、自分とこの財政負担になるんで、県外の者を何でせにゃいかんの、って言うの。‥白昼堂々と(保護の拒否が)行われていて。これもまさしく犯罪なんやって。‥ここで自殺を誘発している。死にたくないのに死なせているのは誰や、って。(p.80)

Friday, February 14, 2020

末井昭『自殺会議』

Suei, A. (2018). Jisatsu kaigi. Asahishuppansha. 

繊細と乱暴 東尋坊の用心棒

…数人いた議員さんのなかで特に権威のある議員さんが、茂さんの横に来て次のように言ったそうです。
「〔略〕東尋坊での自殺防止については何も言わず、何も行動を起こさないでおくのが得策なんですよ。悲しい事ですが、ここ東尋坊では全国から自殺をしに沢山の人が来ており、自殺の名所になっていることは知っています。しかしその事で東尋坊の土産屋さんや三国町も潤っているのです。あの東尋坊の景観だけでは他県の景色に勝てません。〔中略〕自殺防止については、そのことを口にすること自体が地元の人の意に反することになり、自殺防止を口に出しただけで、その警察官は、三国警察署にいる間は何も協力してもらえなくなるよ……」
これを読んだときゾッとしました。自殺してくれる人がいるから東尋坊が潤っている、だから自殺者を減らしてはいけないと言っているのです。それに反した行動を取ろうとする茂さんを脅しているのです。
(p.103)


国やら県とも話するんですけど、みんな青少年の自殺防止せにゃあかんと言う。私から言わせると「ボケるな!」ですよ。ものすごう腹立つんです。ここにいて、今日までに高校生や中学生、二十一人ほど助けてきました。あの言葉、全然違うんですよ、解釈が。
いじめられたら自殺する。逆に言えば、いじめられたら自殺しなきゃあかんと言っとるんです。そしたら自分の気持ちが認められる。社会に対して、友達に対して、学校に対して抗議している、それが認められる。僕はそのために自殺しなきゃいけなかった。まともにそういう人たちの話を聞いていない。聞いてないから報道にもならん。間違った対策を学校当局がやっとる。
マスコミがよー聞きに来るんです。「最近どんな自殺が多いですか?」「こんなんですか?」。「ボケんなっ!」って怒ってやるんです。なんとかして形をつくりたいんですよ。それで十把ひとからげにしてしまっているんです。それによって苦しんでる人がたくさんいる。

…先生はいろんなことを勉強して、いろんなこと知ってなあかんのやけど、私に言わせればまったく聖職と言われることができてない。彼らはみんな自分なんですよ。自分のことしか考えてんのですよ。この子にこうしてあげたよ、誰もひとことも言わない。全体的におかしいと思うんです、死に対して。自殺という言葉を軽はずみというか、もてあそんでいるとうのかな、ワシから言わせれば。(p.p.111-112)

自殺を決心した人が、みんな助けてくれと言うんです。今日まで声を掛けた人五九九(二〇一七年七月二十一日現在)人、みんな死ぬの怖いって言ってるんです死にたくないって言ってるんです。だから人命救助なんです。これを発信する人がどこにもいないんです。(p.p.112-113)

カウンセラーいますね。悩みを聞いてあげて共感しなさい、そうすればカウンセラーとしての資格を与えてあげますと言うんです。カウンセラーって何?共感って何?その人の悩みごとにうまく共感できて受け止められたって?じゃあこうしなさいって具体的なこと言えますか?そんなもんで国家資格与えるの?それで命救えんの?
それは共感じゃない。言葉だけの「わかったよ」っていうこと。ほんとうの共感は、会ったときからできる。共感できたらじっとしていられんって。死にたいってんだよ(と言って、茂さんは少し涙ぐんでいるように見えました)。
資格者はいらんのです。私のために何をしてくれるかだけ。精神科行きなさい。病院行って薬もらって先生に言われた通り薬飲んで、最初二粒から始まりました、いつの間にか十五粒に増えてました。そんな人、何人もここへ来てる。命に関しておかしいと思わんのかって。
ワシ、マスコミにバンバン出てます。ところがカットカット。テレビ局がみんなカットする
――どんなことがカットされるんですか?
いまワシがゆーたこと。(p.p.117-118)

Wednesday, December 18, 2019

石井光『医者の嘘』

Ishii, H. (2014). Isha no uso: Isha wa jibun no tsugō de uso o tsuku. Tōkyō: Gentōsha. 

内科で稼げない医者が心療内科を開業する

いま、内科医が新しく開業しても、患者はなかなか来てくれません。すでに持病のある人は、どこかのクリニックや病院に通っていますし…薬局で風邪薬を買って自分で治そうとするので、風邪の患者も減っています。結局、患者が集まらないので改行してもすぐに廃業に追い込まれます。
そこで内科医は仕方なく心療内科クリニックを開業するのです。…しかし心療内科は内科の一部であって、医者はうつ病に関する専門的な臨床経験を積んでいません。


日本は世界一、抗うつ剤が売れる国

…その理由は、心療内科医が気軽に処方しているからだと私は思います。…医者は抗うつ剤を処方するためには、患者をうつ病と診断しなければなりませんから、うつ病患者の数がどんどん増えることになります。
…私は十数社の産業医をしています。社員が休職すると、必ず診断書を提出することになっています。診断書を見ると、うつ病が非常に多いのです。その社員と面談してみると、うつ病が専門ではない私でも、おかしいと感じることがあります。その場合、私が信頼している精神科の専門医にセカンドオピニオンを求めます。すると、別の診断名が出ることがあります。(p.124-126)

Tuesday, December 17, 2019

由井寅子『毒と私』

Yui, T. (2011). Doku to watakushi. Tōkyō: Gentōshamediakonsarutingu. 

「山口市の助産師(43)が、出産を担当した同市の女児に、厚生労働省が指針で与えるよう促しているビタミンKを与えず、代わりに「自然治癒力を促す」という錠剤を与え、この女児は生後2か月で死亡していたことが分かった。
助産師は自然療法の普及に取り組む団体に所属しており、錠剤はこの団体が推奨するものだった。 …」(『読売新聞』2010年7月9日)


名前こそ出ませんでしたが、記事本文中にある助産師が所属する団体とは、日本ホメオパシー医学協会のことです。記事は明らかに私たちを非難する方向性で書かれていました。
記事の内容は私たちの把握している事実とは異なっていました。事実は、…母親がビタミンKの投与を不要だと言うので、ではせめてレメディーを、と与えただけだったのです。
(p.p.104-105)


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2011年3月2日から5日にかけて、ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンなどを同時接種した子どもたちの死亡事故が5例起きました。
…厚生労働省は事故を受けて、一時的に接種を見合わせるよう通達しましたが、医師など専門家による「接種と死亡に直接的な明確な因果関係は認められない」との結論を受けて、接種再開を決めました。誰が見たって「因果関係」がないはずはないのですが、「直接的」で「明確」でないためにうやむやにしてしまおうという魂胆でしょうか。

(p.160-161)

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予防接種法は、GHQの意向を受けて194年に厚生省が作ったものです。これは政府の文書にも記録されている事実です。…ちなみにアメリカで予防接種プログラムの決定システムができたのは、1964年です。日本人で人体実験を十分に行ったうえで満を持して推進したのでしょうか。…今もなお、インフルエンザの集団予防接種をとりいれるかどうかなどの議論で、日本の「先進的」な過去の試みを参考にしていると言われています。
日本では、予防接種の拙速な施行によって、公布された1948年には早くも被害者が現れました。メーカーのミスによってジフテリア・ワクチンに毒素が残ってしまい、このワクチンを接種した子どもの中から83名の死者が出たのです。(p.p.190-191)

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…立石和さんの書いた『「元祖」野菜スープ強健法 ガン細胞も3日で消えた⁉』は1994年3月に発売されるやいなやベストセラーとなりました。翌月には医師が野菜スープの効果を追認した便乗本まで出版されたほどです。
ところが、出版から3か月後、立石さんは突然、逮捕されてしまいます
…実は私は日本でホメオパシーの普及活動を始めた頃に、この立石さんの友人にお会いしたことがあります。彼は私に次のように忠告してくれました。
「気をつけてください。自然健康法は、必ず叩かれます
その言葉通り、ホメオパシーへのバッシングが、マスコミとネットを使って行われました。…ホメオパシーが広がると困る人たちいるだろうことは想像できます。
マスコミが決して中立ではないことは、正力松太郎氏がCIAの意向に従って原発を推進してきたことからもよくわかります。(有馬哲夫『原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史―』)
(p.p.194-195)

Saturday, July 27, 2019

茂幸雄『自殺をくい止めろ!東尋坊の茂さん宣言』

Shige, Y. (2010). Jisatsu o kuitomero tōjinbō no shige san sengen. Tōkyō: Sanseidō.

 課長は…別名「瞬間湯沸かし器」とまで言われる直ぐ大声を出す口の悪い人で、一般人がいる前であってもヒステリックに大声を出して指示する嫌なヤツでした。
 こんな嫌なヤツですから他の職場にも知れ渡っており、そこへの異動が決まったときには同僚たちから同情の目で送り出されたのです。

…仕事に対する指示は厳しく、一つの小さなミスでも見付けだしては課長席の前に直立不動で立たされ、子供に物を言っている口調で延々と指示するのです。その態度は、脇から見ていると指示をして楽しんでいるといった感じであり、相手が何度“判りました”と言っても、同じことを何度も何度も言い、人に恥をかかすことなんかは平気です。

…[業務の]結果を報告しても、話の内容もろくに聞かず、何度も言い直しさせられました。そして報告に対する回答を求めても何も答えられず、その挙句にはお前が考えてチャンとしておけと言うだけで、ただ大声を出して指導・育成の名目で彼を罵るだけでした。
 前任者である2人の職員がうつ病に罹り、職場を去って行ったとの噂もありました。

…そんなことから寝不足も続き、ミスが多くなった半年後のある日、月報の締め切りが迫ったとき、“お前はこの職場には適さん!お前は用務員以下の人間だ”と言われてしまい、目の前が真っ暗になって体の震えが止まらず、病院に担ぎ込まれてしまったのです。そして、2日間の入院休暇をとった最中に東尋坊の岩場に立っていたのです。
 この話を聞いた私は、これこそがパワー・ハラスメント(職場の上下関係を不当に利用して行う嫌がらせやいじめ)の典型的な被害者(名誉棄損・侮辱・傷害・労災など)だと考えたことから、この実態を証拠化するため、嫌がる彼を説得してボイスレコーダーを持たせて出勤させ、午前中にあった同僚たちとの会話を録音させ、監察室を訪問して善処をお願いしたのです。
 監察室ではこの事態を重くみて真剣に取り上げていただくことになり、課長には従前から精神障害があるとのことで以降休職扱いになり、彼には、裏で私たちの働きかけがあったことも知らされずに無事職場に復帰させることができました。(p.p.39-43)

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 死を覚悟して東尋坊の岩場に立った人たちが訴えていた言葉から見えてきた日本の社会の問題点です。
1 宗教関係者による対策の怠慢です。
  宗教施設を訪問しましたが、どこの施設も受け入れてくれなかった…。
 との訴えがあります。
  [...]


2 教育関係者による対策の怠慢です。
  義務教育時代、そこでいじめにあい、…それがPTSDとなって大人になっても人との交際ができず、人生の落後者になってしまった…
 との訴えがあります。
 [...]


3 精神科医による対策の怠慢です。
  うつ病になって精神科へ行ったが、副作用の強い薬を勧められ、カウンセリングも3分で帰された。…薬しかくれずに放置されている。このまま生き続けるのが辛い…
 との訴えです。
…現実は、お金儲けになる投薬の部分しか処方してもらえず、「環境の調整」とか「休養」については、ほとんど指導されずに放置されています。
…「自分の患者さんの半数近くの人が自死で亡くなっていると、堂々と発表された医師がいました。…医師として自分の患者さんが…バタバタと亡くなっているのを知りながら放置している現実について、何も心が痛まないのでしょうか?


4 行政による対策の怠慢です。
  生活苦から生活保護の相談をしましたが、住まいのない者には生活保護の適用は出来ないと言われました。…
 との訴えです。
…何の保護の手も差し伸べられずに路上に放り出されたと言う人もいました。
 [...]


5 「自殺の名所」と言われている自殺多発場所に対する対策の怠慢です。
  自殺の名所と言われている場所へ数箇所行き、最後の決断(再起か自殺か)をするために訪れました。しかし何処の名所へ行っても“お好きな所からどうぞ”という場所になっていました…
 との訴えがあります。
…福井県・東尋坊では、年間200人以上の自殺企図者が集まって来ており、過去30年間に600人以上もの人が自殺で亡くなっているのに、放置されているのです。…また、ここでの自殺防止活動をしている我々の団体に対しても妨害活動があり…ただ静観していろと言うだけでした。


6 警察による対策の怠慢です。
 自殺企図者として一時保護をされたが、自分の悩み事の問題解決にはならず、再び、自殺願望の気持ちが強まり、岩場に立ってしまいました…
 との訴えがありました。
 [...]


7 報道機関による対策の怠慢です。
 東尋坊における自殺の現状については、残念ながら、地元地方紙による報道が殆どなされていない現実です。…地元から何等かの圧力がかけられているため事実の報道が出来なくなっているのだとしか思われません。

(p.p.60-69)

Saturday, March 2, 2019

吉田守男『日本の古都はなぜ空襲を免れたか』

Yoshida, M. (2002). Nihon no koto wa naze kūshū o manugaretaka.

[History of Mass Mindcontrol with Stockholm Syndrome]


 古都に空襲がなかったのは、その文化財を保護するためにアメリカ軍が爆撃を控えていたからであり、そのことを進言した“古都の恩人”はウォーナー博士であるという、≪ウォ―ナー伝説≫は全く事実無根であった。(p.209)


 米軍による爆撃によって焼失した日本の文化財は、国宝二九三件、史蹟名勝天然記念物四四件、重要美術品一四三件であり、合計四七一件もが灰になったという。(p.66) …都市地域を攻撃する際の米軍がとった戦法は、おもに精密爆撃とジェノサイド(genocide 大量虐殺の意)爆撃という二つに区分することができる。
…第二・第三期の都市爆撃で主要な戦法としてとられたこの焼夷弾爆撃は、住宅密集地域への無差別爆撃であり、民間人の皆殺しをも企図したものであった。まさにジェノサイド爆撃と呼ぶにふさわしい、すさまじい空爆となったのである。(p.p.103-104))



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 "原爆の攻撃目標[*京都・広島・新潟など]はワシントンからの秘密指令によって他のいかなる形式の攻撃からも一切除外されていて、原爆の使用に対する効果だけを得られるほとんど無傷の地域であった"〔USSBS, Final Report No.66 : The Strategic Air Operation of Very Heavy Bombardment in the War against Japan, 1946〕(p.97)


 京都の場合、[現・鉄道博物館付近の]梅小路機関車庫がその照準点とされていたのである。[*目標が視認しやすく、また原爆の爆風を京都市の住宅密集地域の隅々に行き渡らせ、できるだけ多数の京都市民を殺害するため]…もしここに原爆が投下された場合、六〇万人もの死傷者の出ることが推計されている。(p.94)


 [*昭和二〇年八月二四日に予定された]三発目の原爆は投下される寸前まできていた。…[*パンプキン爆弾と呼ばれる原爆と同重量の通常炸薬爆弾で]京都への投下練習が着々と積み重ねられていた。このような状態で戦争が終結した結果、京都は爆撃禁止の状態におかれつづけたため、結果として、本格的な空襲がないという結果を生み出したのが真相だったのである。(p.205)


〈マンハッタン計画〉の総指揮官グローブズはその回顧録で次のように書いている。
“…もし、われわれが京都を原爆目標として勧告していなかったならば…[*原爆の代わりに通常爆撃によって]戦争が終わるまでには、全滅しないまでもかならずや、さんざんな損害を受けていただろうということはいえるだろう。”


…大都市の爆撃では二〇〇~三〇〇機のB29が一時間以上もかけて爆撃をする。その場合、あとから来たB29にとって、目標とされた地域がすでに先行機の爆撃で火の海となっていることはよくあることである。その際、火の海に爆弾を棄ててもしかたがないので、そのB29は、帰路において適当と思われる目標物を見出して投弾するか、また、文字どおり爆弾を棄てたりするのである。


 京都に関して…〈爆撃禁止命令〉‥の期間にあった六月二六日の西陣出水に対する爆撃は、B29一機が一トン爆弾七発を投下したものだが、これは当日の名古屋地方への爆撃の[*余った爆弾を棄てるための]付随的爆撃であると考えられる。(p.p.110-112)
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 モニカ・ブラウが著した『検閲』という書物は…次のように記している。
 “日本人のあいだでの情報のやりとりを統制、監視する付加的な手段として、アメリカの宣伝をはかる特別の一局が設けられた。これは「民間情報教育局」(CIE)とよばれた。この機関は、「日本人の思考を改造…する」ために、日本の新聞、ラジオ、学校、教会、およびあらゆる種類の組織を活用することをめざしていた”
 また、CIEは教育映画を無料で配給して、学校・公民館・PTA・青年会・労働組合・農業協同組合などで上映させた。そのために、一六ミリ映写機も無料で貸し出された。


 CIEの前身は、太平洋戦争において「ラッカサン・ニュース」などで活躍した米軍の〈心理作戦課〉であった。…つまり対日心理作戦の専門部隊であった。そして、CIEの局長であるダイク准将も、《ウォーナー伝説》の創作者ヘンダーソン中佐も、共に対日心理作戦に従事した専門家だったのである。

 つまり、CCD[*民間検閲支援隊]が検閲を通して、原爆報道などアメリカの悪いイメージの流布を阻止することを任務としていたのに対して、CIEの任務は宣伝によって、日本軍国主義の批判やアメリカのよいイメージの普及をはかることにあったのである。(p.p.227-229)
原爆投下の真実 「第一目標 京都、19発投下」 予定であった。