Suei, A. (2018). Jisatsu kaigi. Asahishuppansha.
繊細と乱暴 東尋坊の用心棒
…数人いた議員さんのなかで特に権威のある議員さんが、茂さんの横に来て次のように言ったそうです。
「〔略〕東尋坊での自殺防止については何も言わず、何も行動を起こさないでおくのが得策なんですよ。悲しい事ですが、ここ東尋坊では全国から自殺をしに沢山の人が来ており、自殺の名所になっていることは知っています。しかしその事で東尋坊の土産屋さんや三国町も潤っているのです。あの東尋坊の景観だけでは他県の景色に勝てません。〔中略〕自殺防止については、そのことを口にすること自体が地元の人の意に反することになり、自殺防止を口に出しただけで、その警察官は、三国警察署にいる間は何も協力してもらえなくなるよ……」
これを読んだときゾッとしました。自殺してくれる人がいるから東尋坊が潤っている、だから自殺者を減らしてはいけないと言っているのです。それに反した行動を取ろうとする茂さんを脅しているのです。
(p.103)
国やら県とも話するんですけど、みんな青少年の自殺防止せにゃあかんと言う。私から言わせると「ボケるな!」ですよ。ものすごう腹立つんです。ここにいて、今日までに高校生や中学生、二十一人ほど助けてきました。あの言葉、全然違うんですよ、解釈が。
いじめられたら自殺する。逆に言えば、いじめられたら自殺しなきゃあかんと言っとるんです。そしたら自分の気持ちが認められる。社会に対して、友達に対して、学校に対して抗議している、それが認められる。僕はそのために自殺しなきゃいけなかった。まともにそういう人たちの話を聞いていない。聞いてないから報道にもならん。間違った対策を学校当局がやっとる。
マスコミがよー聞きに来るんです。「最近どんな自殺が多いですか?」「こんなんですか?」。「ボケんなっ!」って怒ってやるんです。なんとかして形をつくりたいんですよ。それで十把ひとからげにしてしまっているんです。それによって苦しんでる人がたくさんいる。
…先生はいろんなことを勉強して、いろんなこと知ってなあかんのやけど、私に言わせればまったく聖職と言われることができてない。彼らはみんな自分なんですよ。自分のことしか考えてんのですよ。この子にこうしてあげたよ、誰もひとことも言わない。全体的におかしいと思うんです、死に対して。自殺という言葉を軽はずみというか、もてあそんでいるとうのかな、ワシから言わせれば。(p.p.111-112)
自殺を決心した人が、みんな助けてくれと言うんです。今日まで声を掛けた人五九九(二〇一七年七月二十一日現在)人、みんな死ぬの怖いって言ってるんです。死にたくないって言ってるんです。だから人命救助なんです。これを発信する人がどこにもいないんです。(p.p.112-113)
カウンセラーいますね。悩みを聞いてあげて共感しなさい、そうすればカウンセラーとしての資格を与えてあげますと言うんです。カウンセラーって何?共感って何?その人の悩みごとにうまく共感できて受け止められたって?じゃあこうしなさいって具体的なこと言えますか?そんなもんで国家資格与えるの?それで命救えんの?
それは共感じゃない。言葉だけの「わかったよ」っていうこと。ほんとうの共感は、会ったときからできる。共感できたらじっとしていられんって。死にたいってんだよ(と言って、茂さんは少し涙ぐんでいるように見えました)。
資格者はいらんのです。私のために何をしてくれるかだけ。精神科行きなさい。病院行って薬もらって先生に言われた通り薬飲んで、最初二粒から始まりました、いつの間にか十五粒に増えてました。そんな人、何人もここへ来てる。命に関しておかしいと思わんのかって。
ワシ、マスコミにバンバン出てます。ところがカットカット。テレビ局がみんなカットする。
――どんなことがカットされるんですか?
いまワシがゆーたこと。(p.p.117-118)
繊細と乱暴 東尋坊の用心棒
…数人いた議員さんのなかで特に権威のある議員さんが、茂さんの横に来て次のように言ったそうです。
「〔略〕東尋坊での自殺防止については何も言わず、何も行動を起こさないでおくのが得策なんですよ。悲しい事ですが、ここ東尋坊では全国から自殺をしに沢山の人が来ており、自殺の名所になっていることは知っています。しかしその事で東尋坊の土産屋さんや三国町も潤っているのです。あの東尋坊の景観だけでは他県の景色に勝てません。〔中略〕自殺防止については、そのことを口にすること自体が地元の人の意に反することになり、自殺防止を口に出しただけで、その警察官は、三国警察署にいる間は何も協力してもらえなくなるよ……」
これを読んだときゾッとしました。自殺してくれる人がいるから東尋坊が潤っている、だから自殺者を減らしてはいけないと言っているのです。それに反した行動を取ろうとする茂さんを脅しているのです。
(p.103)
国やら県とも話するんですけど、みんな青少年の自殺防止せにゃあかんと言う。私から言わせると「ボケるな!」ですよ。ものすごう腹立つんです。ここにいて、今日までに高校生や中学生、二十一人ほど助けてきました。あの言葉、全然違うんですよ、解釈が。
いじめられたら自殺する。逆に言えば、いじめられたら自殺しなきゃあかんと言っとるんです。そしたら自分の気持ちが認められる。社会に対して、友達に対して、学校に対して抗議している、それが認められる。僕はそのために自殺しなきゃいけなかった。まともにそういう人たちの話を聞いていない。聞いてないから報道にもならん。間違った対策を学校当局がやっとる。
マスコミがよー聞きに来るんです。「最近どんな自殺が多いですか?」「こんなんですか?」。「ボケんなっ!」って怒ってやるんです。なんとかして形をつくりたいんですよ。それで十把ひとからげにしてしまっているんです。それによって苦しんでる人がたくさんいる。
…先生はいろんなことを勉強して、いろんなこと知ってなあかんのやけど、私に言わせればまったく聖職と言われることができてない。彼らはみんな自分なんですよ。自分のことしか考えてんのですよ。この子にこうしてあげたよ、誰もひとことも言わない。全体的におかしいと思うんです、死に対して。自殺という言葉を軽はずみというか、もてあそんでいるとうのかな、ワシから言わせれば。(p.p.111-112)
自殺を決心した人が、みんな助けてくれと言うんです。今日まで声を掛けた人五九九(二〇一七年七月二十一日現在)人、みんな死ぬの怖いって言ってるんです。死にたくないって言ってるんです。だから人命救助なんです。これを発信する人がどこにもいないんです。(p.p.112-113)
カウンセラーいますね。悩みを聞いてあげて共感しなさい、そうすればカウンセラーとしての資格を与えてあげますと言うんです。カウンセラーって何?共感って何?その人の悩みごとにうまく共感できて受け止められたって?じゃあこうしなさいって具体的なこと言えますか?そんなもんで国家資格与えるの?それで命救えんの?
それは共感じゃない。言葉だけの「わかったよ」っていうこと。ほんとうの共感は、会ったときからできる。共感できたらじっとしていられんって。死にたいってんだよ(と言って、茂さんは少し涙ぐんでいるように見えました)。
資格者はいらんのです。私のために何をしてくれるかだけ。精神科行きなさい。病院行って薬もらって先生に言われた通り薬飲んで、最初二粒から始まりました、いつの間にか十五粒に増えてました。そんな人、何人もここへ来てる。命に関しておかしいと思わんのかって。
ワシ、マスコミにバンバン出てます。ところがカットカット。テレビ局がみんなカットする。
――どんなことがカットされるんですか?
いまワシがゆーたこと。(p.p.117-118)
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Suicide Prevention
Spotting the Signs and Helping a Suicidal Person
A suicidal person may not ask for help, but that doesn't mean that help isn't wanted. Most people who commit suicide don't want to die—they just want to stop hurting. Suicide prevention starts with recognizing the warning signs and taking them seriously.
[自殺する人のほとんどは死にたいのではありません—苦痛を止めたいだけなのです]
https://my.belmont.edu/mybelmont/student_life/counseling/pdf/suicide_prevention.pdf
自殺企図者の快復を支えるベルモント大学のウェッブページより
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