Wednesday, December 18, 2019

石井光『医者の嘘』

Ishii, H. (2014). Isha no uso: Isha wa jibun no tsugō de uso o tsuku. Tōkyō: Gentōsha. 

内科で稼げない医者が心療内科を開業する

いま、内科医が新しく開業しても、患者はなかなか来てくれません。すでに持病のある人は、どこかのクリニックや病院に通っていますし…薬局で風邪薬を買って自分で治そうとするので、風邪の患者も減っています。結局、患者が集まらないので改行してもすぐに廃業に追い込まれます。
そこで内科医は仕方なく心療内科クリニックを開業するのです。…しかし心療内科は内科の一部であって、医者はうつ病に関する専門的な臨床経験を積んでいません。


日本は世界一、抗うつ剤が売れる国

…その理由は、心療内科医が気軽に処方しているからだと私は思います。…医者は抗うつ剤を処方するためには、患者をうつ病と診断しなければなりませんから、うつ病患者の数がどんどん増えることになります。
…私は十数社の産業医をしています。社員が休職すると、必ず診断書を提出することになっています。診断書を見ると、うつ病が非常に多いのです。その社員と面談してみると、うつ病が専門ではない私でも、おかしいと感じることがあります。その場合、私が信頼している精神科の専門医にセカンドオピニオンを求めます。すると、別の診断名が出ることがあります。(p.124-126)

Tuesday, December 17, 2019

由井寅子『毒と私』

Yui, T. (2011). Doku to watakushi. Tōkyō: Gentōshamediakonsarutingu. 

「山口市の助産師(43)が、出産を担当した同市の女児に、厚生労働省が指針で与えるよう促しているビタミンKを与えず、代わりに「自然治癒力を促す」という錠剤を与え、この女児は生後2か月で死亡していたことが分かった。
助産師は自然療法の普及に取り組む団体に所属しており、錠剤はこの団体が推奨するものだった。 …」(『読売新聞』2010年7月9日)


名前こそ出ませんでしたが、記事本文中にある助産師が所属する団体とは、日本ホメオパシー医学協会のことです。記事は明らかに私たちを非難する方向性で書かれていました。
記事の内容は私たちの把握している事実とは異なっていました。事実は、…母親がビタミンKの投与を不要だと言うので、ではせめてレメディーを、と与えただけだったのです。
(p.p.104-105)


************

2011年3月2日から5日にかけて、ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンなどを同時接種した子どもたちの死亡事故が5例起きました。
…厚生労働省は事故を受けて、一時的に接種を見合わせるよう通達しましたが、医師など専門家による「接種と死亡に直接的な明確な因果関係は認められない」との結論を受けて、接種再開を決めました。誰が見たって「因果関係」がないはずはないのですが、「直接的」で「明確」でないためにうやむやにしてしまおうという魂胆でしょうか。

(p.160-161)

************

予防接種法は、GHQの意向を受けて194年に厚生省が作ったものです。これは政府の文書にも記録されている事実です。…ちなみにアメリカで予防接種プログラムの決定システムができたのは、1964年です。日本人で人体実験を十分に行ったうえで満を持して推進したのでしょうか。…今もなお、インフルエンザの集団予防接種をとりいれるかどうかなどの議論で、日本の「先進的」な過去の試みを参考にしていると言われています。
日本では、予防接種の拙速な施行によって、公布された1948年には早くも被害者が現れました。メーカーのミスによってジフテリア・ワクチンに毒素が残ってしまい、このワクチンを接種した子どもの中から83名の死者が出たのです。(p.p.190-191)

************

…立石和さんの書いた『「元祖」野菜スープ強健法 ガン細胞も3日で消えた⁉』は1994年3月に発売されるやいなやベストセラーとなりました。翌月には医師が野菜スープの効果を追認した便乗本まで出版されたほどです。
ところが、出版から3か月後、立石さんは突然、逮捕されてしまいます
…実は私は日本でホメオパシーの普及活動を始めた頃に、この立石さんの友人にお会いしたことがあります。彼は私に次のように忠告してくれました。
「気をつけてください。自然健康法は、必ず叩かれます
その言葉通り、ホメオパシーへのバッシングが、マスコミとネットを使って行われました。…ホメオパシーが広がると困る人たちいるだろうことは想像できます。
マスコミが決して中立ではないことは、正力松太郎氏がCIAの意向に従って原発を推進してきたことからもよくわかります。(有馬哲夫『原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史―』)
(p.p.194-195)

Wednesday, December 11, 2019

甘利俊一 『脳・心・人工知能』

Amari, S. (2016). Nō, kokoro, jinkō chinō: Sūri de nō o tokiakasu

心を読む ――脳と機械を結ぶ技術BMI

脳科学は、脳の仕組みを明らかにしたい。もし脳内の情報が外部から読み取れるなら、研究が大いに進む。こうして登場したのがBMI(Brain-Machine Interface)である。

…さらに、外部から脳に情報を直接に入れることができれば、これもまた素晴らしい技術が作れる。目の見えない人の脳に、視覚情報を直接送ることができるようになるかもしれない。現に人工内耳は、聴覚細胞を直接に刺激して外の情報を脳内に送り込む。


…BMIは脳内の情報を取り出して解読し、また、脳に情報を直接送り込む技術の総称である。脳内から取り出した情報をコンピュータで解読し、これを処理して再び脳に送り込めば、脳とコンピュータをつないだ仕組みができあがる。アメリカの軍事技術として誕生したとはいえ、これは脳科学、そして現代社会に大きな影響をもたらす技術である。(p.p.219-220)

ATR脳情報通信総合研究所の川人光男に代表されるグループは、脳の活動の情報をただそのままフィードバックして知らせるのではなくて、しかるべき部位の脳情報を解読してこの情報[いまが望ましい状態にいるか否か]をフィードバックする技術を開発した。…これを「脳情報複合フィードバック法(DecNef:Decoded Neurofeedback)」という。(p.221)

…斜め30度の線分を検出する[脳内の]部位のニューロンが活動したとしよう。脳は必要なとき以外にもいろいろな活動を行っているから、これは線分を見ていないときでも起こるし、他の角度を見ているときや安静時にも起こる。

被験者には何を測定しているのかを知らせることなく、この脳内情報を解読して、30度の線分に対応するニューロン活動があれば、いまはよい状態、そうでなければ悪い状態であることを知らせる。

被験者は何がよいのか、何を基準としているのかはまったくわからない。それでも、このように状態のよい・悪いを知らせることで、この被験者の30度の線分に対する検出の感度がわずかとはいえ上がり、これが何週間も保持される。脳の回路のシナプス結合に変化が起こり、ダイナミックスの特性が変わったといってもよい。脳への介入である。(p.222)

心を操作することも可能になる

脳は驚くほどの可塑性があり、脳内のシナプス結合は常時変えられる。…そこで、脳の情報を解読し、その状態が何に対応する[反応している]のか、その[状態にあることの]良し悪しを[実験者が]決めてフィードバックすれば、[被験者の]脳はその方向に[シナプス]結合を変えていくというわけである。…これだと、何をフィードバックしたのかが本人にわからないうちに、特定の情報に適合するように脳を改変できることになる。

女性の顔写真を何枚か準備して被験者に見せたとしよう。被験者は、写真を見てどの女性が好きであるかを答える必要はない。ただ、実験者がある女性の顔を見たときに被験者に起こる脳内活動をよい状態であると、仮に決める。そして被験者の脳内にこのパターンが起こるたびに、これを好ましい状態として、いま何を見ているかには関係なくフィードバックしていく。
すると、被験者には何もわからないうちに、実験者が決めた特定の女性に対する好感度が上がり、これがある期間保持される。つまり、誰かを好きになるという感情を、本人が知らないうちに操作できてしまうのだ。(p.223)

Friday, November 29, 2019

島村英紀 『多発する人造地震』

Shimamura, H. (2019). Tahatsu suru jinzō jishin: Ningen ga hikiokosu jishin. Tōkyō: Kadensha. 

第7章 地下核実験が起こす人造地震

<地下核実験を地震に見せかける工夫>

 地下核爆発は隠れて行うのに好都合で、探知されにくいという面も持っていた。こうして、地下核爆発は隠れて行われるようになり、米ソ両国では、地震学の知識を動員して、核爆発による地面の振動を自然に起こる地震に見せかける研究もさかんに行われた。(p.p.119-120)

Thursday, November 14, 2019

福山隆・池田整治 『[親米派・親中派]の嘘』

Fukuyama, T., & Ikeda, S. (2013). Shinbeiha shinchuha no uso: Nihon no shin no dokuritsu o habamu mono no shotai. Wanipurasu. 

防げたはずの地下鉄サリン事件

池田 …松本サリン事件が起こった際、事件現場の土壌の薬剤サンプルと、以前から異臭事案が問題視されていた上九一色村の土壌を、自衛隊の化学部隊にサンプリングさせてみたんですね。そうしたらピッタリ合ったんです。ということは、間違いなく松本サリン事件はオウム真理教によるものだと判断できるわけです。…
福山 
松本サリン事件直後の時点で?

池田 はい。[…]その時点で、普通ならば、当然すぐにオウムに強制捜査が入ってもおかしくありません。ところが、警察の上層部というか、そういうところが「待った」を掛けたのです。要するに、「オウムには手を出すな」と。[…] ②のグループ[※アメリカ議会や歴代アメリカ大統領など]から日本政府に圧力が掛けられたようで、国家公安委員長レヴェルから現場に「待った」が掛かったというわけです。(p.p.23-24)


焼け跡から武器が!驚くべき治安機関各所での危機対応の温度

池田 神戸の震災現場に出向いて情報収集をしているときに、ひとつの兆候として、焼け跡から武器らしきものが出てきたという情報がありました。それは、この震災で最も火災被害の大きかった神戸市の長田区からです。長田区といえば、在日朝鮮人が多く住んでいたことで知られていました。
福山 それは、そこに北朝鮮のコマンドがいたことの証左ではありませんか?
池田 
そうです。(p.30)
[…]
池田 [オウム真理教事件の]事後、強制捜査でわかったのですが、彼らはサリンの材料である三塩化リンの入ったドラム缶を七〇〇本持っていました—―これだけでも、仮にたった一本を東京に落としたら数万人が死ぬんですよ。それを七〇〇本持っていたわけですから……。
「[サリンを搭載した]ヘリが飛び立ちそうになったときはどうするのか?」と[警察に]聞いたら、「いや、それはそのときに考えるから」と。……もう、まったく話にならないわけです。(p.33)

麻原彰晃はトカゲの尻尾切り。「本体」は残存している

福山 もし仮に、ロシアや北朝鮮が一連の事件に関わっていたとするならば、大規模なテロを宗教団体に実行させるためには、破壊工作のスペシャリストやエージェントを対象国に入れるものですよね?あるいは各国の大使館、北朝鮮大使館はないから朝鮮総連あたりがサポート、コントロールして、日本の治安機関に捕まらないようにするはずです。…
池田 当然、オウムの中にそういうエージェントが入っていたと思います。そして、彼らが設備を全部つくったのではないでしょうか。[…]実は、サティアンの中でドラム缶七〇〇本の得体のしれない薬剤が見つかったとき、…直ちに、陸上自衛隊化学学校の甲元一佐以下11人の幹部だけで編成した処理チームをヘリで呼びました。…彼らに言わせると、これはもう専門の軍人がつくっているものだと。専門家が「イラク以上のもの」と言っているのですから、間違いないでしょう。[…]だから、そういう製造施設をつくることのできるレヴェルの連中がいっぱい来てたわけですよ。そして、「東京地方雨」というAMの怪電波で、日本の治安機関がそちらに向かっているから、とにかく逃げろということを、そうした人間に伝えたんでしょうね。
福山 それで、本部に潜入していたプロたちはもう姿をくらましていて、もぬけの殻になっていたと。
池田 結局、麻原彰晃という存在は、トカゲの尻尾切りなのですね。オウム教団施設に捜査が入って、教祖たる麻原が逮捕されても「本体」がそのまま残っているわけです。
福山 現下も残っている?
池田 はい。ということは、それは相当な影響力を持っているということなんですよ。逆に言えば、その影響力を「知っている」人たちはおびえながら、抗うことができないでいる。(p.p.43-45)


サリン事件と原発事故に通じる情報隠蔽

池田 松本サリン事件の後、オウムへの強制捜査に「待った」を掛けたお偉いさんたちは万死に値しますが、「三・一一」後のスピーディ[緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム]情報の隠蔽もひどかったですね。福島県浪江町の人たちが必死に避難しているところ、そこが二日後には高濃度の放射能で汚染されることがわかっているにもかかわらず、結局、最後まで言わないなんて……。でも、その情報はアメリカには政府が伝えているんですよね。
福山 アメリカに伝えたと同時に、アメリカは空中から正確に測定して。
池田 そうそう。にもかかわらず、出動する自衛官にも教えていないんだから。[…] 知らないうちに、気分が悪くなった作業員が現場からいなくなっているんですよ。でも、その作業員たちは病気になっても絶対訴えないという契約書にサインをしているから。ましてメディアとは絶対接触しない契約になっている。(p.p.60-62)
[…]

池田 ほんとにきちんと検証すれば、当時の政府にいた人たちは刑事訴訟ものですよ。人の、住民の「命」がかかっている話ですから。お金の話だったら、民事ですけどね。そんな人たちがずっと政権に居座っていたのに、特捜は何をやっていたかといったら、原発に反対する人を捕まえていた。(p.137)

自衛隊の人件費を削って賄う「トモダチ作戦」予算

福山 福島の話に戻りますが、現場に入った自衛官たちから後々、被曝障害が出るかもしれませんね。
池田 出ますよ。数字はあやふやですが、五〇〇〇人ぐらいは出ると思います。 […] それに放射線の測定も、ガンマ線だけではなく、アルファ線、ベータ線も調べなかったらキチンとしたことはわからないですよ。ほかにストロンチウムやプルトニウムなども測定しなきゃ。… しかし、そうした情報は派遣された自衛隊には行かなかったんです。米軍には入っていたので、「トモダチ作戦」と銘打ちながらも、八〇キロも離れていて支援していたわけです。しかも、「トモダチ作戦」の負担金、[※日本人の税金から]今後五年間で思いやり予算として一八五〇億円ですよ。(p.p.64-65)
[…]
池田 あと驚いたのは、例えば北海道有事が起こった場合のことです。一部の北海道の部隊が戦っている間に、ほかの陸上自衛隊が応援のために北海道に駆けつけることになるのですが、その部隊を北海道に送る輸送船を、当然、海上自衛隊の艦隊が守ってくれなきゃダメなんです。ところがですよ、その艦隊を海上自衛隊は出せないって言うんですよ。なぜなら、アメリカの空母を守らなきゃいけないからだそうです(笑)。…「いや、俺たちの役目はアメリカの艦隊、空母がやられないための駆逐作戦をすることだから」と……。
福山 海上自衛隊は[アメリカ]空母機動部隊の一部ということですね。(p.p.202-203)
[…]
池田 東南アジアで米軍基地を置いている国はもはやありません。とはいえ、中国がベトナムやタイ、フィリピンでいろいろやっていますが、全然、侵略はされていません。…だから、同盟と基地を置くということは別物なんですよ。基地は、その国を隷属させるために置いているものだと、そろそろ日本人は気づかないといけません。(p.p.269-270)

ハリウッド映画でわかるアメリカ

池田 ‥ハリウッド映画を見てみると、彼らが何をやりたいというのが、けっこうよくわかりますね。[…]例えばですね、『地球が静止する日』(一九五一年公開。二〇〇八年リメイク版公開)という作品があったんですよ。[…]人類を滅ぼす小さな虫って何を意味しているかというと、要するに人工ウイルスなんです。‥これから何がわかるかというと、彼ら―世界金融支配体制―、は次にはウイルスでテロを起こし、人類を滅ぼそうとしていることです。
「そんなバカな」という人がいますが、現実に彼らはウイルスを使った人口統制を過去に行ってきました。例えば天然痘の種痘と偽って黒人に投与していたのがエイズ・ウイルス、それから中国人をターゲットにしたのがSARS、そして日本を狙ったのが鳥インフルエンザだったと私は考えています。(p.76)


ウイルス・テロの狙いは金儲け?

池田 実は、創価学会と対立している五井野正博士という人が、かつてSARSウイルスが中国で集団発生したときに、『週刊ポスト』誌上で「SARSは中国人を狙った生物兵器テロである」と指摘したら、拡大感染はピタッと止まったんです。それから、豚インフルエンザが第一次世界大戦のときと同じウイルス・テロであると、私が指摘した記事が『週刊SPA!』に掲載されると、それ以降のメディアを使ったワクチン接種キャンペーンは止まりました。
[…]
宮崎県の口蹄疫ワクチンに続いて、日本人を絶滅に陥れる可能性のある「子宮頚がん予防ワクチン」狂騒が始まりました。…子宮頸がんワクチンには、動物の断種のためのタンパク質、蛾の遺伝子を操作したアジュバンド(補助剤)を入れています。しかも免疫増強剤として、有機水銀やアルミニウムなども含まれていると言われているのです。 あんなものを打ったら子供が、できなくなりますよ。…ちなみにアメリカでは下流階級の子女が多く通う学校などでは全員接種が義務づけられていますが、上流家庭の子供は接種していないそうです。(p.p.77-78)

Saturday, September 28, 2019

白石拓 『透明人間になる方法』

 -- スーパーテクノロジーに挑む
Shiraishi, T. (2012). Tōmei ningen ni naru hōhō: Sūpā tekunorojī ni idomu. Tōkyō: PHP Kenkyūjo. 

念じてコンピュータを操作

二〇〇九年にはホンダのロボットASIMOを脳で念じて動かす実験に成功した。…「近赤外光脳計測装置(NIRS)」と脳波計測の二つを併用して、被験者の脳神経活動の読み取りを強化した。NIRSは、近赤外線を頭蓋から照らし、脳に当たって反射する光を捕らえて、脳血流の変化を計測する装置である。
被験者はまず「右手」「左手」「足」「舌」の単語について、それぞれ自分のイメージを思い浮かべる練習をする。…そして、そのときの神経活動データを蓄積し、計測データから単語を特定するアルゴリズムを構築した。こうした結果、被験者が「左手」(のイメージ)を思い浮かべただけで、ASIMOが左手を上げる動作をすることに成功した。(p.p.40-41)

脳リーディングを利用した犯罪捜査

たとえば、被験者を尋問する際、犯人しか知り得ない事実や写真を提示すると、被疑者がもしそれを知っていればP300という事象関連電位[脳波]が発生する。P300の発生も不随意で、被疑者が「知らない」と答えても記憶と合致すると必ず出るのでウソをつくことができないのだ。(p.49)

脳内の映像を読み取るfMRIと認識パターン


さらに二〇一一年、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校の西本伸志研究員らのチームが、やはりfMRIを使って、映画の予告編を見ている被験者の脳活動を読み取り、ぼんやりとした映像ではあるものの、動画の再生に成功した。…この技術を使えば、人が見ている夢や空想していることをディスプレイに映し出すことも不可能ではない。脳リーディングの技術は確実に進歩している。(p.53)

Wednesday, September 11, 2019

亀岡修、百瀬孝 『よみがえる戦前日本の全景』

Kameoka, O., & Momose, T. (2015). Yomigaeru senzen nihon no zenkei: Okurete kita kyōkoku no seido to shikumi. Tōkyō: Mainichiwanzu. 


非常に強力だった警察の権力

…悪名高い特別高等警察(当初は特別高等課)が警視庁につくられたのは、一九一一年(明治四四年)です。こちらは各種社会運動の取り締まりを任務にしたので「思想警察」ともいいました。…彼らはスパイを潜入させ、拷問を行い、法を乱用しましたが、それは当時の世界の警察では当たり前のことで、特別高等警察に限りませんでした。
 また、全国の特高を統制していたのは内務省警保局の保安課で、全国の特高課長人事を握り、全国一斉検挙などの指令を出していました。戦後、特高警察官は一斉罷免になっていますが、保安課長と所属員は内務事務官という名であって警察官ではなかったため、罷免には該当しませんでした。ただし、課長は自発的に辞職しました(のちに復活)。 (p.p.57-58)


米兵による自動車強盗事件

[米軍]先遣隊が入って早くも三日後には、進駐軍による強盗事件が発生しています。
一九四五年(昭和二〇年)八月三一日、夜。大蔵省主税局長の池田勇人、大日本麦酒(現アサヒビール)常務の山本為三郎が、大蔵次官を辞めたばかりの田中豊を誘い、銀座の牛鍋屋で送別会を開いたあとのこと。三人の乗る車が米兵に止められます。手には大型拳銃を持っており、「降りろ」といわれ、三人と運転手、そして助手席にいた大蔵省課長の前尾繁三郎はすぐに降ります。代わって米兵たちが乗り込み、猛スピードで走り去りました。


…このとき国民が最も不安に感じていたことが、そういった略奪と、米兵による婦女子に対する暴行です。…イの一番に進駐してきた横浜界隈からは大量の避難民が流れ出し、京浜国道にひしめき合ったといいます。田舎に逃げ出そうと上野駅や新宿駅も疎開騒ぎのときのような混雑だったそうです。…心配したほどではなくても、やはり強姦事件は起きていますし、その防波堤をつくろうという動きも起きています。(p.p.264-266)

Saturday, July 27, 2019

茂幸雄『自殺をくい止めろ!東尋坊の茂さん宣言』

Shige, Y. (2010). Jisatsu o kuitomero tōjinbō no shige san sengen. Tōkyō: Sanseidō.

 課長は…別名「瞬間湯沸かし器」とまで言われる直ぐ大声を出す口の悪い人で、一般人がいる前であってもヒステリックに大声を出して指示する嫌なヤツでした。
 こんな嫌なヤツですから他の職場にも知れ渡っており、そこへの異動が決まったときには同僚たちから同情の目で送り出されたのです。

…仕事に対する指示は厳しく、一つの小さなミスでも見付けだしては課長席の前に直立不動で立たされ、子供に物を言っている口調で延々と指示するのです。その態度は、脇から見ていると指示をして楽しんでいるといった感じであり、相手が何度“判りました”と言っても、同じことを何度も何度も言い、人に恥をかかすことなんかは平気です。

…[業務の]結果を報告しても、話の内容もろくに聞かず、何度も言い直しさせられました。そして報告に対する回答を求めても何も答えられず、その挙句にはお前が考えてチャンとしておけと言うだけで、ただ大声を出して指導・育成の名目で彼を罵るだけでした。
 前任者である2人の職員がうつ病に罹り、職場を去って行ったとの噂もありました。

…そんなことから寝不足も続き、ミスが多くなった半年後のある日、月報の締め切りが迫ったとき、“お前はこの職場には適さん!お前は用務員以下の人間だ”と言われてしまい、目の前が真っ暗になって体の震えが止まらず、病院に担ぎ込まれてしまったのです。そして、2日間の入院休暇をとった最中に東尋坊の岩場に立っていたのです。
 この話を聞いた私は、これこそがパワー・ハラスメント(職場の上下関係を不当に利用して行う嫌がらせやいじめ)の典型的な被害者(名誉棄損・侮辱・傷害・労災など)だと考えたことから、この実態を証拠化するため、嫌がる彼を説得してボイスレコーダーを持たせて出勤させ、午前中にあった同僚たちとの会話を録音させ、監察室を訪問して善処をお願いしたのです。
 監察室ではこの事態を重くみて真剣に取り上げていただくことになり、課長には従前から精神障害があるとのことで以降休職扱いになり、彼には、裏で私たちの働きかけがあったことも知らされずに無事職場に復帰させることができました。(p.p.39-43)

 *******************

 死を覚悟して東尋坊の岩場に立った人たちが訴えていた言葉から見えてきた日本の社会の問題点です。
1 宗教関係者による対策の怠慢です。
  宗教施設を訪問しましたが、どこの施設も受け入れてくれなかった…。
 との訴えがあります。
  [...]


2 教育関係者による対策の怠慢です。
  義務教育時代、そこでいじめにあい、…それがPTSDとなって大人になっても人との交際ができず、人生の落後者になってしまった…
 との訴えがあります。
 [...]


3 精神科医による対策の怠慢です。
  うつ病になって精神科へ行ったが、副作用の強い薬を勧められ、カウンセリングも3分で帰された。…薬しかくれずに放置されている。このまま生き続けるのが辛い…
 との訴えです。
…現実は、お金儲けになる投薬の部分しか処方してもらえず、「環境の調整」とか「休養」については、ほとんど指導されずに放置されています。
…「自分の患者さんの半数近くの人が自死で亡くなっていると、堂々と発表された医師がいました。…医師として自分の患者さんが…バタバタと亡くなっているのを知りながら放置している現実について、何も心が痛まないのでしょうか?


4 行政による対策の怠慢です。
  生活苦から生活保護の相談をしましたが、住まいのない者には生活保護の適用は出来ないと言われました。…
 との訴えです。
…何の保護の手も差し伸べられずに路上に放り出されたと言う人もいました。
 [...]


5 「自殺の名所」と言われている自殺多発場所に対する対策の怠慢です。
  自殺の名所と言われている場所へ数箇所行き、最後の決断(再起か自殺か)をするために訪れました。しかし何処の名所へ行っても“お好きな所からどうぞ”という場所になっていました…
 との訴えがあります。
…福井県・東尋坊では、年間200人以上の自殺企図者が集まって来ており、過去30年間に600人以上もの人が自殺で亡くなっているのに、放置されているのです。…また、ここでの自殺防止活動をしている我々の団体に対しても妨害活動があり…ただ静観していろと言うだけでした。


6 警察による対策の怠慢です。
 自殺企図者として一時保護をされたが、自分の悩み事の問題解決にはならず、再び、自殺願望の気持ちが強まり、岩場に立ってしまいました…
 との訴えがありました。
 [...]


7 報道機関による対策の怠慢です。
 東尋坊における自殺の現状については、残念ながら、地元地方紙による報道が殆どなされていない現実です。…地元から何等かの圧力がかけられているため事実の報道が出来なくなっているのだとしか思われません。

(p.p.60-69)

Sunday, June 2, 2019

池田整治『未だ占領下にある日本の是非を問う』

Ikeda, S. (2019). Imada senryōka ni aru nihon no zehi o tō: Nichibei chii kyōtei o jieitai motokanbu ga kokuhatsu suru. Tōkyō: Kosumikkushuppan.

最も信頼していた友人が実は敵の回し者だったと知ったら

1993年、私が陸上自衛隊幕僚監部防衛部運用係長だった頃、北朝鮮のノドンミサイル対処で、横田・平壌空路の存在を知りました。横田・平壌空路とは、米軍横田基地と北朝鮮平壌空港を結ぶ定期航路です。
この空路を使って米軍は、大型輸送機に資機材を搭載し、運んでいました。北朝鮮の基地建設材やミサイル部品と思われますが、日本外務省の担当の問い合わせに米軍担当は、「それ以上詮索すると日米関係にひびが入るぞ!」と答え、それ以降「なかった」ことにされています。(p.p.85-86)

その輸送機には日本製のブルドーザーが入っていたこともあります。‥世界金融支配体制の軍事部門が、北朝鮮に基地をつくってやり、さらに精密部品を提供してミサイルをつくらせ発射させ、その脅しで日本から[ミサイル防衛]資金を収奪する、という構図が見えてくるのです。(p.187)

横田空域の秘密


もしこの空域がなければ、例えば、羽田空港→伊丹空港の所要時間が現在50分であるところが30分となり、20分程度短縮できます。燃料も毎年約11万キロリットル節約できるといわれています。…もちろんこの消費燃料代はコストとなって航空運賃に含まれ、乗客が余分に負担しています。
ちなみに、1985年8月12日、羽田を飛び立ち大阪(伊丹)に向かったJAL123便は、この横田空域の上空でトラブルを起こしました。もし、横田空域がなければ、もっと低空を飛んでいて事故にあわなかったかもしれません。機長は直ちに横田基地への着陸を要請したものの、断られたという話も伝わっています。(p.47)


戦後から続く米軍の占領体制とは米軍の欲する部隊を運用する自由

6年間に及ぶ占領時代は、文字通り治外法権の米軍が溢れ、悲惨な事件も多発しました。‥約3万人の婦女子が暴行を受けたと言われていますが、GHQの「プレスコード」により、ニュースに流れることはありませんでした。‥市民が占領軍に治外法権のもと、凌辱を受けていたわけです。(p.117)

米国が日本だけをいつまでも支配する本当の理由

そして、GHQは日本人を洗脳(マインドコントロール)する一環として、白人支配の根幹に触れる本を焚書、発禁しました。それを免れた数冊の本が私の手元にあります。

『思想戦と国際秘密結社』晴南社 
『新聞とユダヤ人』欧亜通信社 
『ユダヤの人々』軍人会出版部 
『ユダヤのタルムード』破邪顕正社 


これらの書を読むと、かつての日本人が西欧社会の本質、国家を超えた資本家による世界支配の実態をよく分析していたことがわかります。
逆にいうと、だからこそGHQは、世界金融支配者にとって都合の悪いこれらの真実の本を日本から葬ったのです。その数なんと、約7700冊!(p.p.103-104)

Saturday, June 1, 2019

小田周二『524人の命乞い : 日航123便乗客乗員怪死の謎』

Oda, S. (2017). Gohyakunijūyonin no inochigoi: Nikkō hyakunijūsanbin jōkyaku jōin kaishi no nazo. Tōkyō: Bungeisha.


‥一人の乗客がカメラを123便の窓の外に向けて夢中で撮った空飛ぶ点影の写真。‥遺族は早速、その写真をマスコミに公開したいと考えた。ところが、群馬県警がそれを制止した。‥惨劇の犠牲者が最後に見たものを写したフィルムを遺族から取り上げて保管し続けた。このフィルムが遺族の手に戻されたのは、それからじつに5年後の歳月を経て‥事故についてもはや誰一人として刑事責任を問われないことが確定した後、さらに付け加えればもはや過失致死事件としての「時効」が成立した一週間後のことだ。(p.48)

◆告白―最後のパズルピース
123便が墜落したその日、ある航空自衛隊の基地司令官(当時)から一人の男性に電話が入った。この司令官は、電話の向こうで男性にこう言った。
「えらいことをした。標的機を民間機に当ててしまった。今、百里基地から偵察機2機に追尾させているところだ」
この司令官と男性とは、第二次世界大戦中に同じ部隊に所属した戦友だった。共に同じ戦争の時代を過ごした軍人同士の絆は強く、長い年月を経ても相互の信頼は厚いと言われる。その信頼ゆえの気安さだろうか。電話口の向こうで語る基地司令官の声は、まるで「やっちまったよ!」とでもいうようなあけっぴろげな調子に聞こえたという。(p.p.51-52)

◆前橋地方検察庁の不起訴判断
90年7月17日、前橋地方検察庁は告訴・告発されていた関係者について、いずれも不起訴を再決定した。…山口検事正が遺族の前で語ったのは、事故調が描いた事件のシナリオに対するあからさまな批判と否定だった。
<最終報告書を読んだが、修理ミスが事故の原因どうかわからない。> <事故調の報告書は、「曖昧」だと思う。> <機内が静粛であったのだから、隔壁は破壊していない可能性がある。> <ボーイング社は(同型機全体の問題ではなく)事故機だけの原因にしたくて修理ミスを認めたのかもしれない。> <それ(報告書)を見ても、真の事故原因は解らない。> (p.p.20-21)

◆消えたボイスレコーダーの記録
公式に事故調から発表されているCVR(コックピットボイスレコーダー)の中には、アントヌッチ中尉が輸送機の中で聞いたという横田管制と123便の間の交信に該当する会話が採録されていないのだ。123便が刻々と横田基地に近づいている時間帯。その時間帯のCVRには、123便から横田への着陸要請や着陸を受け入れる旨を伝えた[とアントヌッチ中尉が10年後に主張する]横田からの通信が一切残っていない。(p.p.75-76)

◆事故から10年後 衝撃の「アントヌッチ証言」
‥事件から10年後の95年8月20日、『サクラメント・ピー』紙に、自分が123便墜落事件で経験したことを手記にまとめて発表した。さらにその内容は、米軍の準機関紙『星条旗(Stars and stripes)』紙に転載発表される。(p.153)

◆事故直後には真実を知っていた報道陣―政府は真実の報道を禁じた
某新聞記者は、自衛隊ヘリが墜落現場からオレンジ色の残骸を吊り上げる写真を撮った。本社に送られたその写真は、翌朝の朝刊トップに載るはずだった。ところが、この写真はなぜか没になった。‥後に自衛隊の機材にはオレンジ色の塗装がされていることが分かり、やっとその重大性を認識したという。(p.196)

Tuesday, April 16, 2019

青山透子『日航123便墜落 遺物は真相を語る』

Aoyama, T. (2018). Nikkō hyakunijūsanbin tsuiraku ibutsu wa shinsō o kataru. Tōkyō: Kawadeshobōshinsha. 

‥相模湾の海底に沈んでいる航空機残骸の回収について、当初、群馬県警側は捜索することに大変意欲的であったが、事実上、事故調査委員会に仕切られていたためにできなかった。
それについて群馬県警の警察官は「‥運輸省っていえば、我々より、上級の官庁だから、群馬県警がしゃしゃりでたら都合の悪いことになっちゃうんだな」(吉岡忍『墜落の夏』)と話していたと書いてある。私がインタビューをした検死現場の医師たちも同じようなことを語っていたが、遺体安置所を視察にきた運輸省など中央官庁の官僚たちに対して最敬礼で迎える河村一男群馬県警本部長の言動からも警察主導の難しさを感じていたとのことである。

 その後河村氏は、運輸省に[遺体の杜撰な取り扱いを改善してほしいと]直談判しに行った遺族の吉備素子さんへの尾行や嫌がらせといった仕事に転職したようだが、一体どちらを向いて仕事をしてきたのだろうかと疑わざるをえない。むしろ遺族に対して十分な捜査ができなかったと詫びるべきだろう。これらの行為は吉備さんから訴えられても仕方がない言動である。そして河村氏が語った言葉が「事故原因を追究すればアメリカと戦争になる」では、日航もボーイングも罪を認めているのだから、脅しとしても全くつじつまが合わない。(p.p.36-37)


                  **********


[習志野空挺団は]落下傘部隊の名を持つ精鋭部隊である。前著『墜落の新事実』での聞き取りでは、日航機墜落時、[123便がまだダッチロール中の十八時四十分、救助ヘリの]エンジンをかけたままでの待機命令が出て、今直ぐにでも現場に行ける態勢をととのえていたが、その後、待機解除命令が出たことで、墜落後すぐに現場に駆け付けられなかった、とのことであった。日頃の訓練において夜間降下も含めて高い能力を持つ部隊がなぜすぐに救助に行かなかったのか、という多くの批判が寄せられた。山下徳夫運輸大臣(当時)も、そう言われて国会でいろいろと釈明せざるを得なかった、と語っている。(p.p.72-73)

          **********

[遺体が収容された]体育館内では、群馬県警の警察官で実際に現場にいち早く入った人から聞いた話で、すでに山から下りてきた人がいて、その人のものらしい弁当の空き箱が落ちているのまで見たそうである。実は、その話も機長の服が見つからない話も関係者の間では噂となっていた。まるで焼夷弾のように[遺体が]焼かれている、と語った年配の医師もいた。(p.98)

群馬県警察医の大國勉氏(八十五歳)は‥「火災現場での真っ黒に焦げた焼死体」‥に関しても数多く見てきたが、あの日航123便では、それらとまったく異なると語った。
「真っ黒の塊を見ていたら、頭蓋骨の目の部分、眼窩が三つあって、これは二人だっていうことになった。写真撮影しながら絡み合った遺体をゆっくり外していったけど、ポロポロの状態でね。この遺体が新婚旅行帰りの新婚さんだって後からわかって。多分二人は怖いから、大丈夫、大丈夫って抱き合っていたのかねえ。表も裏もすべて真っ黒だった」
 通常、土の上などの地面に接した肉体部分は熱の温度に差が出て、生焼けの状態となるが、この遺体は驚いたことに裏側も表側も真っ黒状態だったという。‥戦争経験者であればすぐ思いつくのが、焼夷弾が落ちた後の道端の遺体である。ナパーム弾といった油脂焼夷弾も同様だ。衣服などに油脂が付着して高温状態がその場に留まり続けて、しかもその状態を維持したまま何時間も炭化するまで燃え続ける武器である。(p.p.61-62)


「ああ、この人も生きていたなあと思う人もいて、早く救えたらなあと思いました。新婚さんなんか顔を寄せ合っていたのかと思うほど、真っ黒なんですけど、あごが二つめり込んで、そこから手を入れて歯型を引っ張り出して身元確認をやって。頬寄せ合っていて、きっと怖いのを我慢していたんだろうねえって私たちは思っていたんです。‥」[土肥福子歯科医師](p.99)
         *********

その「塊」だが、墜落後に上野村住民が尾根の整備を行った際にコツコツと拾い集めたものだった。‥まるでマグマが固まって冷めた岩のように見える。‥かなりの量のベンゼンが含まれていることから見ても、大量のガソリンが使われていたことになる。‥次に硫黄だが‥その数値の大きさからすると偶然に混入した、ということではないと考えられる。(p.126-142)

あの日、上野村の墜落現場の山奥で、ジェット燃料ではなく、ベンゼンが含まれる大量のガソリンが用いられ、航空機の構造物であるジュラルミンが融解してドロドロになって固まり、その中に硫黄成分を含むゴムのような粘着性の高い物質が含まれていた、という事実は、[火炎放射器等の]武器使用の可能性を最大に高めた結果となったのはまちがいないと考える。(p.145)


日航123便墜落から一か月後に自殺と報道された羽田整備工場メンテナンス・コントロール室調査役の日航職員(当時)‥は首や胸など数か所を果物ナイフで刺して亡くなった、とあったため、これで自殺なのかというのが社内での大きな疑問であったと聞く。ある警察関係者は「自分で数か所も刺す前に通常は一回目で気絶するし、ましてや普通の人の自殺で首は切らない」と思ったそうである。(p.160)

二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックに向けて国際線の枠を増やす目的で東京都心上空を通過する羽田空港新ルートが導入されることが決定している。‥新ルートでは、最も事故が多発する「魔の十一分(クリティカル・イレブン・ミニッツ)」の離陸後三分、着陸前八分に[米軍]横田空域に入る。
 着陸間際のパイロットに最も集中力が必要なこの時間帯に羽田の管制から[米軍]横田管制へ、そしてまた羽田へと切り替わる。もし、管制官として公務中の米軍人がミスを犯し、事故を起こした場合、日米地位協定では第一次裁判権が米軍側にあるため、日本が調査したくても、運輸安全委員会は米軍の許可が必要なのだ。‥昨年も米軍の絡む事故が多発し、‥米軍は責任を取らず、さらに「空域返還」の交渉すら棚上げしている。(p.p.178-179)

Saturday, March 30, 2019

青山透子『日航123便墜落の新事実』

Aoyama, T. (2017). Nikkō hyakunijūsanbin tsuiraku no shinjijitsu: Mokugeki shōgen kara shinsō ni semaru. Tōkyō: Kawadeshobōshinsha. 

‥乗客[の家族]に詰め寄られた町田直副社長(運輸省からの天下りで元運輸事務次官)は、思わず「北朝鮮からのミサイルに撃たれたのだ」と叫ぶ。その数日後、町田氏は社長候補だったにもかかわらず『遺体安置所にて扇子で仰ぐ姿』を写真に撮られて失脚する。

 緊急放送が続々と流れ、テレビや新幹線内にニューステロップで事故が報道された。その中には多くの人々が驚いた緊急報道があった。それは『自衛隊員二名が射殺された模様』というものだったが、その数分後『先ほどのニュースは誤報でした』という内容だった。具体的には二十時頃、『ただ今現地救助に向かった自衛隊員数名が何者かに銃撃され、死者負傷者が多数出た模様です。情報が入り次第お伝えします』であったと記憶する。なおこのニュースは二〇一〇年まで動画投稿サイトで流れていたが、今は削除されている。(p.p.71-72)


     **********

…実際に取材の過程において、第一空挺団は十二日、十八時四十分[*日航123便墜落時刻十八時五十六分より前]に災害派遣待機命令が出ていた、という証言もある。私の公式ブログを見て、前著の出版社に来られた元自衛官も同様の話をしていた。大型ヘリのバートルのエンジンがかかった状態で待機、隊員はすぐ乗り込み離陸する予定だったが、その数十分後に翌朝まで待機と命令が変更になって、無理やりエンジンを切らされたという。(p.136)

     **********

 川村一男氏といえば、群馬県警察本部長で日航機事故対策本部長を務め…捜査の指揮を執った方である。‥この河村氏は警察を退職し、再就職して大阪に行き、その後神戸に住まいを構えた。その再就職先から[遺族の]吉備さんに電話がかかってきたという。その内容は……。
「‥私を監視するためにわざわざ大阪に来たんやっていうてね。ずっと見ているぞっていう感じの話しぶりでした。…」

…再就職したとはいえ監視をほのめかすとはどういうことか。まず、監視そのものが通常では考えられない行為である。(p.87)


     **********

[山下徳夫運輸大臣(当時)は]私が話すことを、さもありなん、という顔で聞いてくださったことはとても不思議だった。‥大臣という地位にあっても、すべてを正確に把握できる環境になかったのかもしれない、そう強く感じたのは、山下氏の別れ際の一言だった。
「あのね、日本はなんでもアメリカの言いなりだからね。遺族が再調査を望むのであれば、ぜひすべきだと思う」(p.99)


     **********

[遺体の炭化と墜落現場のガソリンとタールの異臭、火炎放射器に関する話を]元自衛官にしたところ「核心に近づくと妨害や脅迫が増えてくるから気を付けたほうがよい」という丁寧なアドバイスまで頂いたが、逆に核心はこちらだ、ということを暗示されたようなものだった。(p.158)

     **********

アントヌッチ元中尉証言:「米海兵隊の救援ヘリが二十時五十分に地上の様子を偵察するために降下中なのを視認した。」(p.31)

     **********

  [福島第一原発で]毎日新たに約400トンもの汚染水が汲み上げられて1000基以上のタンクに保管されていくとのことだ。‥」「フランジ型」と呼ばれる大量のタンクはすでに老朽化し始め、汚染水が漏れ出ている。今度はこの古いタンクの解体作業が始まる。一日約六千人の作業員が毎時300マイクロシーベルト(3号機周辺)という職場で働いている。このツケを私たちの子孫に渡し続けなければならないのである。
 それでもなお、原発事故はなかったことと思い込みたい人々や、現政権を支持して再稼働を願う人がいるのはなぜだろうか。これは、人間にとって最も大切な共感力が欠落しているとしか思えない。(p.p.173-174)

Tuesday, March 26, 2019

奈良女子大学文学部なら学プロジェクト編『大学的奈良ガイド』

Nara Joshi Daigaku Bungakubu. (2009). Daigakuteki nara gaido: Kodawari no arukikata. Kyōto: Shōwadō. 

 敗戦直後の日本に連合軍兵士が進駐することになったとき、日本政府や国民が抱いた大きな不安は、女性たちが犯される、ということであった。…一九四五年八月一八日に内務省警保局から各府県長官に無電された通達は、一部の日本人女性を進駐軍相手に働かせる特殊慰安婦施設の設置を促すものだった。‥こうした動きを受け、進駐軍向けの慰安婦施設が各地に設けられていった。‥[八月二九日以降には]国家的緊急事業の一環として進駐軍向け慰安婦施設で働く女性を募集する立て看板や新聞広告がだされていく。(p.254)

‥連合国軍総司令部(GHQ)は一九四六年一月二一日、公娼制度廃止に関する覚書を発令する。‥ただし、生活の糧を得るため個人が自発的に売淫行為を行うことを禁止するものではなかった点に注目したい。(p.255)


 現在の奈良教育大学キャンパス一帯、鴻ノ池運動公園、航空自衛隊幹部候補生学校、積水化学工業奈良工場のあたりを中心に、敗戦直後、奈良進駐軍の兵営(キャンプ地)が複数つくられた。そして、奈良に進駐する兵士向けの特殊慰安婦施設が、一九四五年一一月一日、新温泉ホテルや、あやめ池新温泉に設置される。(p.256)

「奈良市内では米軍兵士の争奪に火花を散らし付近は人肉の市となり、パンパン宿が市内に百三十六件もありなんの恥じらいもなく平然と性の営みをやっている。」[「大和タイムス一九五二年九月四日の記事。](p.259)

‥売春婦やポン引きの横行、兵士と売春婦の大胆な振舞いがエスカレートするにつれ、[米軍専用娯楽]センター周辺の児童・生徒への影響が懸念されたことは言うまでもない。センター付近の校庭に使用済み衛生用具が放置されたり、児童が「パンパンごっこ」をして遊んだり、青少年の非行・犯罪や売春が増加するなど、事態を憂慮した奈良市中学校長会代表らは市長に対し、センターの移転・廃止を要望、もしこれが困難な場合は、早急に何らかの風紀取り締まりを行うよう陳情した。(p.260)

Saturday, March 2, 2019

吉田守男『日本の古都はなぜ空襲を免れたか』

Yoshida, M. (2002). Nihon no koto wa naze kūshū o manugaretaka.

[History of Mass Mindcontrol with Stockholm Syndrome]


 古都に空襲がなかったのは、その文化財を保護するためにアメリカ軍が爆撃を控えていたからであり、そのことを進言した“古都の恩人”はウォーナー博士であるという、≪ウォ―ナー伝説≫は全く事実無根であった。(p.209)


 米軍による爆撃によって焼失した日本の文化財は、国宝二九三件、史蹟名勝天然記念物四四件、重要美術品一四三件であり、合計四七一件もが灰になったという。(p.66) …都市地域を攻撃する際の米軍がとった戦法は、おもに精密爆撃とジェノサイド(genocide 大量虐殺の意)爆撃という二つに区分することができる。
…第二・第三期の都市爆撃で主要な戦法としてとられたこの焼夷弾爆撃は、住宅密集地域への無差別爆撃であり、民間人の皆殺しをも企図したものであった。まさにジェノサイド爆撃と呼ぶにふさわしい、すさまじい空爆となったのである。(p.p.103-104))



    **********


 "原爆の攻撃目標[*京都・広島・新潟など]はワシントンからの秘密指令によって他のいかなる形式の攻撃からも一切除外されていて、原爆の使用に対する効果だけを得られるほとんど無傷の地域であった"〔USSBS, Final Report No.66 : The Strategic Air Operation of Very Heavy Bombardment in the War against Japan, 1946〕(p.97)


 京都の場合、[現・鉄道博物館付近の]梅小路機関車庫がその照準点とされていたのである。[*目標が視認しやすく、また原爆の爆風を京都市の住宅密集地域の隅々に行き渡らせ、できるだけ多数の京都市民を殺害するため]…もしここに原爆が投下された場合、六〇万人もの死傷者の出ることが推計されている。(p.94)


 [*昭和二〇年八月二四日に予定された]三発目の原爆は投下される寸前まできていた。…[*パンプキン爆弾と呼ばれる原爆と同重量の通常炸薬爆弾で]京都への投下練習が着々と積み重ねられていた。このような状態で戦争が終結した結果、京都は爆撃禁止の状態におかれつづけたため、結果として、本格的な空襲がないという結果を生み出したのが真相だったのである。(p.205)


〈マンハッタン計画〉の総指揮官グローブズはその回顧録で次のように書いている。
“…もし、われわれが京都を原爆目標として勧告していなかったならば…[*原爆の代わりに通常爆撃によって]戦争が終わるまでには、全滅しないまでもかならずや、さんざんな損害を受けていただろうということはいえるだろう。”


…大都市の爆撃では二〇〇~三〇〇機のB29が一時間以上もかけて爆撃をする。その場合、あとから来たB29にとって、目標とされた地域がすでに先行機の爆撃で火の海となっていることはよくあることである。その際、火の海に爆弾を棄ててもしかたがないので、そのB29は、帰路において適当と思われる目標物を見出して投弾するか、また、文字どおり爆弾を棄てたりするのである。


 京都に関して…〈爆撃禁止命令〉‥の期間にあった六月二六日の西陣出水に対する爆撃は、B29一機が一トン爆弾七発を投下したものだが、これは当日の名古屋地方への爆撃の[*余った爆弾を棄てるための]付随的爆撃であると考えられる。(p.p.110-112)
    **********


 モニカ・ブラウが著した『検閲』という書物は…次のように記している。
 “日本人のあいだでの情報のやりとりを統制、監視する付加的な手段として、アメリカの宣伝をはかる特別の一局が設けられた。これは「民間情報教育局」(CIE)とよばれた。この機関は、「日本人の思考を改造…する」ために、日本の新聞、ラジオ、学校、教会、およびあらゆる種類の組織を活用することをめざしていた”
 また、CIEは教育映画を無料で配給して、学校・公民館・PTA・青年会・労働組合・農業協同組合などで上映させた。そのために、一六ミリ映写機も無料で貸し出された。


 CIEの前身は、太平洋戦争において「ラッカサン・ニュース」などで活躍した米軍の〈心理作戦課〉であった。…つまり対日心理作戦の専門部隊であった。そして、CIEの局長であるダイク准将も、《ウォーナー伝説》の創作者ヘンダーソン中佐も、共に対日心理作戦に従事した専門家だったのである。

 つまり、CCD[*民間検閲支援隊]が検閲を通して、原爆報道などアメリカの悪いイメージの流布を阻止することを任務としていたのに対して、CIEの任務は宣伝によって、日本軍国主義の批判やアメリカのよいイメージの普及をはかることにあったのである。(p.p.227-229)
原爆投下の真実 「第一目標 京都、19発投下」 予定であった。

Sunday, February 24, 2019

内海聡『トクホを買うのはやめなさい』

Utsumi, S. (2015). Tokuho o kau nowa yamenasai: Isha ga oshieru jitsu wa abunai shokuhin. Takeshobo. 

みなさんもお店で並んでいる大豆食品などに、「遺伝子組み  換えではない」と表示されているのを見たことがあるのではないでしょうか。このように表示されていても本当は5%以下のGMO作物が混入している可能性が高い[※5%以下なら表示義務はないため]というのはお話したとおりですが、このようなインチキと言える食品表示法を押し付けたのは実はアメリカであり、ヨーロッパなどでは到底許されないことが日本では平気で行われています。(p.84)

「食の危険性」内海聡の内海塾

兵頭二十八『日本人が知らない軍事学の常識』

Hyodo, N. (2014). Nihonjin ga shiranai gunjigaku no joshiki. Soshisha. 

Fukushima Reaktor 3 Explosion

浜岡、東海第二、柏崎刈羽原発が東京を無人の町に変える

「ジャンボジェット級旅客機が墜落して、激突したとしても、ビクともしない」と太鼓判が押されていたのは、原発の構造物のうちの「圧力容器」と「格納容器」だけであって、その外側の「原発建屋[燃料取扱棟]」には、ロクな「防弾力・防爆力」はなかったのです。そして、何かの力が加われば容易に飛散し、ガレキと化すような脆弱な壁の内側(それも、よりによって建屋のいちばん高いところ)に、使用済み燃料棒を冷却しながら貯蔵しておくプールが置かれていたのです。
 このプールを、弾道弾ではなく、ありふれた「戦術ミサイル[対艦ミサイル、対戦車ミサイル、対空ミサイル等]」で破壊し、燃料棒のジルコニウム外皮を傷つけてやり、冷却水をプールから漏脱させてやり、あるいは冷却システムを停止させることは、わけもありません。
 安価で、ありふれている戦術ミサイルが一発命中して爆発するや、ただちに、現代最兇のパニック物質であると証明済みの「沃素131ガス」が、周辺へ漂い出すでしょう(なにしろ東電社員すら現場を捨てて逃げ出したほどです…)。(p.285)

 
…日本の隣国の軍隊は、日本の領海のちょっと外側から、射程四〇キロメートルのいちばん安価な対艦ミサイルを奇襲的に発射するだけで、「沃素131パニック」を起こしてやることができるでしょう。(p.286)



2/3【兵頭二十八】質疑応答 こちらが本番? レベルの高すぎる参加者の質問 前半

3/3【兵頭二十八】質疑応答