Saturday, May 3, 2014

矢部武 『アメリカ病』

Yabe, T. (2003). Amerika-byō. Tōkyō: Shinchōsha.

報道されない真の米国社会

カリフォルニア州サンフランシスコでは、高齢の白人が通りかかりの中国系男性(裁判所員)の胸をステッキで突いて、「あんたが誰だか知っているわよ。どこで働き、どこに住んでいるかも知っている。これからあんたの後をずっとつけ狙ってやる。もちろんあんたの妻も子供もいっしょだよ。おまえら低俗なチンクスはさっさとこの国から出て行け!そして地獄へ落ちてしまえ!」と罵声を浴びせた。

・・それでもアメリカンドリームの神話は崩れることはない。それは主要メディアが五十万人とか百万人に一人ぐらいの割合で、貧しい国からやってきた移民(が)・・アメリカンドリームを実現したという報道をするからだろう。(p.194)

1 comment:

n said...

『「うそつき病」がはびこるアメリカ』
Callahan, D., & Kobayashi, Y. (2004). Usotsukibyō ga habikoru amerika. Tōkyō: Nihon Hōsō Shuppan Kyōkai.

過去数十年のあいだには、アメリカ人の中心的な価値観は明らかに変化してきた・・不正の増加にとくに関係していると思われる変化は三つある。個人主義がより辛辣な利己主義に変わったこと。人びとがいっそう金を重視するようになったこと。そしてより過酷な競争の規範が広がって、自分より弱い人、劣る人への思いやりが薄れていることだ。(p.128)

極度の個人主義も拝金主義も、それ自体、アメリカの最悪の部分を引き出しかねないと言えるかもしれない。だが、こうした性質は、放任主義の思想と結びつくもうひとつの利己的な見かたによって増幅されてきた。(*それはナチス・ドイツ人も信奉していた)社会進化論だ。(p.176) *はブログ編集者による註