Friday, January 21, 2011

『超人類へ! バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会』More Than Human

 
      ラメズナム著・ 西尾 苗訳
Naam, Ramez. More Than Human: Embracing the Promise of Biological Enhancement. New York: Broadway Books, 2005.
  いま、大きな赤い三角形を見つめているとしよう。そうすると、
(脳内の)一次視覚野のなかで三角形の(イメージ想起を担当する)
領域が活動的になるのだ。このような種類の単純なコード化は、
インターフェースを介して外部装置と接続するのに
うってつけなのである。
(p.212)

「脳同士で通信する」
  視覚イメージや音を脳に送り込むこと自体、大躍進である。
ところがDARPAの目指すところはもっとスケールが大きい。
脳同士の直接的な通信による、音や視覚イメージ、
そのほかの情報の送信を目論んでいるのである。
野望に満ちた目標のようだが、脳の基本的機能については
これまでわかっていることから考えれば、これは可能なのだ。
(p.212)

一九九九年、ハーヴァード大学の神経科学者
ギャレット・スタンレーのチームが行なったある実験が、
この能力の手がかりとなった。・・・ネコの頭を
さまざまな物体に向け、網膜のニューロンの活動を
電極で記録し、情報をコンピュータへ送る・・
プログラムを用いて、コンピュータはニューロンの
信号を標準的なビデオ・フォーマットに落とし込み、
スクリーンに映し出す。つまり、ネコが見るものが
スクリーンに映るのだ。・・・(ネコを生きた
カメラとして扱ったわけだ)。

Ref. Getting visual data from a cat's brain in realtime (TechnoCalyps) 
  スタンレーの研究が示唆するものは、
私たちの経験をニューロンの段階で記録し、
あとでそれを再生できるということだ。
・・・これは、原理的にはすべての感覚について
行なうことができる。目で見るものだけではなく、
音や味、匂い、触覚でも、脳のレベルで記録することが
可能なのだ。・・・その種の感覚記録を他人向けに
再生することもできるかもしれない。あなたの経験を
一連のニューロンのインパルスに変換し、他人の脳に
送信すれば、少なくとも感覚的な面については、
あなたの観点からその出来事を経験できる・・・。
(p.p.213-214)
ニューロンの単位で考えれば、“感覚”イコール“記憶”
イコール“想像”だというのが、脳全体にあてはまる
一般的な原則である。どういうことか説明しよう。
何かを見るとき、それを見たことを思い出すとき、
そしてそれを見ることを想像するとき、これら
すべての場合に、同一のニューロンが発火する。
脳のニューロンにはたいていこれがあてはまり、
音や匂い、味、肉体的な感覚についても、
ほぼ同じことが言える。
 これにはなかなかおもしろい含意がある。
-コンピュータ・インターフェイスを備えた
二人の人間が、想像した光景や音、感覚を、
たがいに送り合うことができるというわけだ。
また想像力をコンピュータへの入力装置として使える・・・。
 映像や音、感覚を人間の脳に送り込めることは、
すでに紹介した通りである。また、基礎的神経科学からも、
限られたものにせよこれまで行なわれた実験の
結果からも考えられるのは、脳からその情報を
送り出すことも可能であるということだ。
もし人間が想像力の内実についてコンピュータと
協力を始めれば・・・コンピュータに何かをさせるのに、
カーソルを動かしてクリックしたりタイプしたりせずに、
ただ考えるだけでよいのだ。
(p.p.214-215)


  テューレーン大学で研究していたロバート・ヒースは
・・・画期的、かつ、場合によってはグロテスクな実験を
行なった。・・・ヒースが目指していたのは、脳にある、
快感およびいわゆる嫌悪感の中枢(刺激すると、
それぞれ快感と苦痛が引き起こされる部位)の解明である。
・・・患者が突然激しく怒り始めると、嫌悪系の活動が
一気に盛んになることに気づいたのだ。
 ヒースは、脳の透明中隔にある快感中枢を刺激すれば、
この徴候をコントロールできることを発見した。
・・・透明中隔は人間の感情のさまざまな面について
重要な役割を果たす部位なのだ。この部位を刺激すると、
怒りのさなかにある患者も安静になり、不安は軽減され、
微笑みやくすくす笑いが自然と起こる。患者が、
自分は医師をどんなに愛していて、病院にいるのは
どんなんにすばらしいことかと、いきなり語り始める
ことも多くあった。
(p.219)

  (1964年)当時イェール大学で研究していた
デルガードは、電気で脳に干渉するという前代未聞の能力を
実演して見せたのだ。送信機のボタンを押すと、
雄牛の頭に載せた受信機に信号が送られる。雄牛の脳の
奥深くにある海馬には電極が埋め込んであって、
受信機はその電極にパルスを送る。すると、雄牛は
攻撃する気を突然なくして、平静な感覚に導かれる。
デルガードが信号を送っている限り、雄牛は
おとなしくしている。闘牛士が雄牛を怒らせようとしても
ムダだった。反対に、別のボタンを押して、雄牛の辺縁系の
別の部分を刺激することも可能で、すると、雄牛はそのとき
何をしていようと即座に怒り狂う。
 デルガードは、同様の実験をチンパンジーなどの霊長類でも
行い、電気によって、睡眠や食欲、性的興奮、攻撃衝動、
さらには社会的行動さえもコントロールできるという結果を
得た。たいていの場合、パチンとスイッチを入れるだけで
行動を変化させることができた。起きて警戒態勢にあった
サルが、脳のしかるべき部位に電流を送るだけで、
ほんの数秒のうちに眠ってしまうのだ。これ以外の行動も、
同じようにすばやく変化させることができた。
(p.p.218-219)


  人工神経装具を感情コントロールに使う場合、
おそらくいちばん意外性に富んでいるのは治療以外の
使用法だ。脳から脳へと、直接に感情を送受信できる
という可能性があるのだ。脳の感情中枢で発生する
ニューロンのインパルスをモニターして、それと同様な
パターン(おそらく強度を下げて)他人の脳に送ることが
できるかもしれない。感覚野や運動野の活動を記録して
後で再生できるように、感情に関係する領域の活動も
記録しておき、あとで自分の脳で、あるいは他人の脳で
再生する、といったようなことができるかもしれない。
(p.221)


 (心の中で、ある旋律を思い浮かべ、それを、つれあいの
脳に直接送ってみると)つれあいは同じようにイメージを
返してよこす。この信じがたいようなコミュニケーション
方法を探索するうちに、感情や、抽象的な考えまでも送れる
ことがわかった。ひとつの会話のなかで、言葉やイメージ、
音、感覚を行き来するのも可能だ。その夜は、感覚や感情を
たがいに開放したままでの、つれあいとのセックス。
その親密さは、ほかにたとえるすべもなく、途方もなく
圧倒的なものなので、たじたじとなってしまう。しかし、
いずれまたやってみることになるのはわかっている。
・・・このシナリオはSFであるが、出てくるのは、すべて、
すでに本書で紹介した研究を基盤としたものばかりだ。
現在までに脳についてわかっていることからすると、
ここ数十年のうちに、私たちは知的活動とコンピューター
とをかなり深い度合いで接続できるようになり・・
(p.p.232-233)

1 comment:

n said...

「その夜は、感覚や感情をたがいに開放したままでの、つれあいとのセックス。その親密さは、ほかにたとえるすべもなく、途方もなく圧倒的なものなので、たじたじとなってしまう。」(p.232)

とあるが、英語圏の被害者救済の旗手としておそらく最も有名なエレノア・ホワイト女史のところへも「あんたとマインド・ファックがしたい」といったようなメールが、集団ストーカー犯罪をやっているらしい変態からおくられてくるそうだ。

 また日本人被害者としておそらく最も有名な戸崎氏のところには「途上国に潜伏したCIAの腐った職員が小学生の女子たちをマインドコントロール兵器で性奴隷にしてハーレムを作っている」との情報もよせられている。