Sunday, October 1, 2017

シャンカール・ヴェダンタム 『隠れた脳』

Vedantam, S., & Watarai, K. (2011). Kakureta nō ("The Hidden Brain") : Konomi dōtoku shijō shūdan o ayatsuru muishiki no kagaku. Tōkyō: Intāshifuto.

小さな集団の力学

 二〇一一年九月一一日の朝、ニューヨーク市警やニューヨーク消防局の制服を着たふつうの男女が、落ち着いてツインタワーの中へ乗り込んだ行動(そして命を危険にさらしたこと)も、小さなグループの集団心理で説明できる。 …そのような行動は愛国心の名で語られるが、人間は国王や神や国のためになど命をかけないと、戦闘司令官たちはよく知っている。たしかに兵士たちはそう“言う”かもしれないが、実際のところ、彼らが命を投げ出すのは、塹壕の中で隣にいる仲間たちのためだ。

[…]

 歴史上どの時代でも、自爆攻撃が行われるときには、自分の命を投げ出そうという男女の数は常に需要を上回っていることも、小集団が個人に与える影響で説明できる。志願者の多くは標準以下どころか、優秀な部類に入る人々だ。
…自爆テロリストたちは、入るのがきわめて難しい、排他的なクラブに所属している。その排他性こそが大きな魅力なのだ。人をトンネル(ふつうの人を自爆攻撃の世界に集める)第一歩は、限られた人びとしか入れないと思わせることだ。それが人々の自尊心をくすぐる条件である。(p.p.188-198)


1 comment:

n said...

グループ呆けすると白黒がわからなくなってしまう。
どんな悪いことでも集団でやると悪い気がせん。
このグループ呆けのために、どこやらで自己を見失ってしまう。

『澤木興道老師のことば』櫛谷宗則編