二十世紀はどんな時代だったか
第一は、近代とは、人類の史上でも最大の戦争を二度もやった時代です。そして使い方次第では人類が絶滅しうるような戦争の道具、核兵器を作った時代だということです。
…それから第二に、近代、特に二十世紀は、資源の浪費と環境の汚染・破壊という意味で、いわば自分自身の立っている足もと・足場を崩しつつある時代だといっていいと思います。
…それから第三点は、近代は、すべてを物質に還元して捉える科学――というより「科学主義」がはびこって、人間の心、精神性、人間が人間として生きていることの意味が見失われつつある時代だといっていいと思います。
…そういう目で人間自身を見ていきますと、人間も結局のところは物の集合体・運動体にすぎないと見えてきます。もちろんただの物には意味がありえません。…意味がないということを突きつめて考えますと、非常に空しくなります。とことん突きつめると自殺したくなったりしかねませんから、ふつうは見つめないで、何となくそういうことは考えないで、とりあえず生きることにしているわけです。
…しかし、人生に意味はないのだけれども、とりあえず自分自身の快感・不快感はありますから、そうなると、「自分の快楽を追及して生きるしかない」という話になりかねません。その場合、根源的に意味がないものには善悪もありえませんから、自分勝手に生きることをとどめるものは、他の人が迷惑だというので止めること以外にはないことになります。そうすると、「迷惑さえかけなければ何をしてもいい」という考え方が一つ出てきます。 もっと突きつめていきますと、「迷惑をかけてもばれなければいい」という考え方にもなりかねません。
もっと進みますと、「たとえばれても自分の方が強くて他者から制裁を受けなければいい」というところまでいってしまいます。
…そういう生き方をみんながしていくと、さまざまなところで社会的に大きな問題が起こってくる。社会的にも精神的にも、深刻な問題が出てくると思います。(p.p.12-15)
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