Shige, Y. (2010). Jisatsu o kuitomero tōjinbō no shige san sengen. Tōkyō: Sanseidō.
課長は…別名「瞬間湯沸かし器」とまで言われる直ぐ大声を出す口の悪い人で、一般人がいる前であってもヒステリックに大声を出して指示する嫌なヤツでした。
…[業務の]結果を報告しても、話の内容もろくに聞かず、何度も言い直しさせられました。そして報告に対する回答を求めても何も答えられず、その挙句にはお前が考えてチャンとしておけと言うだけで、ただ大声を出して指導・育成の名目で彼を罵るだけでした。
…そんなことから寝不足も続き、ミスが多くなった半年後のある日、月報の締め切りが迫ったとき、“お前はこの職場には適さん!お前は用務員以下の人間だ”と言われてしまい、目の前が真っ暗になって体の震えが止まらず、病院に担ぎ込まれてしまったのです。そして、2日間の入院休暇をとった最中に東尋坊の岩場に立っていたのです。
この話を聞いた私は、これこそがパワー・ハラスメント(職場の上下関係を不当に利用して行う嫌がらせやいじめ)の典型的な被害者(名誉棄損・侮辱・傷害・労災など)だと考えたことから、この実態を証拠化するため、嫌がる彼を説得してボイスレコーダーを持たせて出勤させ、午前中にあった同僚たちとの会話を録音させ、監察室を訪問して善処をお願いしたのです。
死を覚悟して東尋坊の岩場に立った人たちが訴えていた言葉から見えてきた日本の社会の問題点です。
1 宗教関係者による対策の怠慢です。
宗教施設を訪問しましたが、どこの施設も受け入れてくれなかった…。
との訴えがあります。
[...]
2 教育関係者による対策の怠慢です。
義務教育時代、そこでいじめにあい、…それがPTSDとなって大人になっても人との交際ができず、人生の落後者になってしまった…
との訴えがあります。
[...]
3 精神科医による対策の怠慢です。
うつ病になって精神科へ行ったが、副作用の強い薬を勧められ、カウンセリングも3分で帰された。…薬しかくれずに放置されている。このまま生き続けるのが辛い…
との訴えです。
…現実は、お金儲けになる投薬の部分しか処方してもらえず、「環境の調整」とか「休養」については、ほとんど指導されずに放置されています。
…「自分の患者さんの半数近くの人が自死で亡くなっていると、堂々と発表された医師がいました。…医師として自分の患者さんが…バタバタと亡くなっているのを知りながら放置している現実について、何も心が痛まないのでしょうか?
4 行政による対策の怠慢です。
生活苦から生活保護の相談をしましたが、住まいのない者には生活保護の適用は出来ないと言われました。…
との訴えです。
…何の保護の手も差し伸べられずに路上に放り出されたと言う人もいました。
[...]
5 「自殺の名所」と言われている自殺多発場所に対する対策の怠慢です。
自殺の名所と言われている場所へ数箇所行き、最後の決断(再起か自殺か)をするために訪れました。しかし何処の名所へ行っても“お好きな所からどうぞ”という場所になっていました…
との訴えがあります。
…福井県・東尋坊では、年間200人以上の自殺企図者が集まって来ており、過去30年間に600人以上もの人が自殺で亡くなっているのに、放置されているのです。…また、ここでの自殺防止活動をしている我々の団体に対しても妨害活動があり…ただ静観していろと言うだけでした。
6 警察による対策の怠慢です。
自殺企図者として一時保護をされたが、自分の悩み事の問題解決にはならず、再び、自殺願望の気持ちが強まり、岩場に立ってしまいました…
との訴えがありました。
[...]
7 報道機関による対策の怠慢です。
東尋坊における自殺の現状については、残念ながら、地元地方紙による報道が殆どなされていない現実です。…地元から何等かの圧力がかけられているため事実の報道が出来なくなっているのだとしか思われません。
(p.p.60-69)
課長は…別名「瞬間湯沸かし器」とまで言われる直ぐ大声を出す口の悪い人で、一般人がいる前であってもヒステリックに大声を出して指示する嫌なヤツでした。
こんな嫌なヤツですから他の職場にも知れ渡っており、そこへの異動が決まったときには同僚たちから同情の目で送り出されたのです。
…仕事に対する指示は厳しく、一つの小さなミスでも見付けだしては課長席の前に直立不動で立たされ、子供に物を言っている口調で延々と指示するのです。その態度は、脇から見ていると指示をして楽しんでいるといった感じであり、相手が何度“判りました”と言っても、同じことを何度も何度も言い、人に恥をかかすことなんかは平気です。
前任者である2人の職員がうつ病に罹り、職場を去って行ったとの噂もありました。
この話を聞いた私は、これこそがパワー・ハラスメント(職場の上下関係を不当に利用して行う嫌がらせやいじめ)の典型的な被害者(名誉棄損・侮辱・傷害・労災など)だと考えたことから、この実態を証拠化するため、嫌がる彼を説得してボイスレコーダーを持たせて出勤させ、午前中にあった同僚たちとの会話を録音させ、監察室を訪問して善処をお願いしたのです。
監察室ではこの事態を重くみて真剣に取り上げていただくことになり、課長には従前から精神障害があるとのことで以降休職扱いになり、彼には、裏で私たちの働きかけがあったことも知らされずに無事職場に復帰させることができました。(p.p.39-43)
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死を覚悟して東尋坊の岩場に立った人たちが訴えていた言葉から見えてきた日本の社会の問題点です。
1 宗教関係者による対策の怠慢です。
宗教施設を訪問しましたが、どこの施設も受け入れてくれなかった…。
との訴えがあります。
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2 教育関係者による対策の怠慢です。
義務教育時代、そこでいじめにあい、…それがPTSDとなって大人になっても人との交際ができず、人生の落後者になってしまった…
との訴えがあります。
[...]
3 精神科医による対策の怠慢です。
うつ病になって精神科へ行ったが、副作用の強い薬を勧められ、カウンセリングも3分で帰された。…薬しかくれずに放置されている。このまま生き続けるのが辛い…
との訴えです。
…現実は、お金儲けになる投薬の部分しか処方してもらえず、「環境の調整」とか「休養」については、ほとんど指導されずに放置されています。
…「自分の患者さんの半数近くの人が自死で亡くなっていると、堂々と発表された医師がいました。…医師として自分の患者さんが…バタバタと亡くなっているのを知りながら放置している現実について、何も心が痛まないのでしょうか?
4 行政による対策の怠慢です。
生活苦から生活保護の相談をしましたが、住まいのない者には生活保護の適用は出来ないと言われました。…
との訴えです。
…何の保護の手も差し伸べられずに路上に放り出されたと言う人もいました。
[...]
5 「自殺の名所」と言われている自殺多発場所に対する対策の怠慢です。
自殺の名所と言われている場所へ数箇所行き、最後の決断(再起か自殺か)をするために訪れました。しかし何処の名所へ行っても“お好きな所からどうぞ”という場所になっていました…
との訴えがあります。
…福井県・東尋坊では、年間200人以上の自殺企図者が集まって来ており、過去30年間に600人以上もの人が自殺で亡くなっているのに、放置されているのです。…また、ここでの自殺防止活動をしている我々の団体に対しても妨害活動があり…ただ静観していろと言うだけでした。
6 警察による対策の怠慢です。
自殺企図者として一時保護をされたが、自分の悩み事の問題解決にはならず、再び、自殺願望の気持ちが強まり、岩場に立ってしまいました…
との訴えがありました。
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7 報道機関による対策の怠慢です。
東尋坊における自殺の現状については、残念ながら、地元地方紙による報道が殆どなされていない現実です。…地元から何等かの圧力がかけられているため事実の報道が出来なくなっているのだとしか思われません。
(p.p.60-69)