Sunday, July 23, 2017

河合隼雄・中沢新一『ブッダの夢』

Kawai, H., & Nakazawa, S. (2001). Budda no yume: Kawai Hayao to Nakazawa Shin'ichi no taiwa. Tōkyō: Asahi Shinbunsha.

中沢 アングロサクソンって、犯罪にかけては天才的でしょう。犯罪者が、自分の犯罪はたしかに世間には表沙汰にならないようにする。なぜ表沙汰にならないようにするかというと、自分がこれからも大好きな悪を犯すのに、障害物となるような、よそからちゃちゃを入れてもらいたくないんでしょう。だから隠れてやるけれども、それでいざ見つかった時には、「私はたしかに人殺しが好きなんです」って。切り裂きジャックとか、ああいうセンスがあるんです。賢治の「[毒もみのすきな]署長さん」は、今のイギリスやアメリカの連続猟奇殺人魔とかああいう人たちの心理に通じている、強烈な悪を堂々と主張するところが、これは日本人ばなれしていると思います。
(p.53)

1 comment:

n said...

私は欧米人が平気で「真っ赤な嘘」をつくことに、若いうちは真剣に腹を立てていた。でもいまではそれが文化の一面だと理解するようになった。・・・ヒットラーを思えばわかるであろう。詳細のすべてを「事実」でガチガチに固めた嘘を科学という。

養老孟司『身体巡礼』