: 被害者が語る実態と対策
Akioka, F. (2003). Sutōkā hanzai: Higaisha ga kataru jittai to taisaku.
(3)相手不明型
もしかしたら、 家の前を歩いている見知らぬ男がストーカーかもしれないし、 買い物中に隣にいる男かもしれない。また、 電車の中で目の前に立っている男かもしれないし、 近所の誰かもわからない。 これでは人間不信や心身症になっても不思議はない。(p.66)
(4) 嫌がらせ型
ストーカーには恋愛感情がまったくない場合だが、一連のストーキングが繰り返され、エスカレートする場合だ。(p.70)
警察は何もしてくれない
東京都に住む自営業の信子さん(三〇代)は、 八年ほど前から正体不明のストーカーからの、 電話による悪質な誹謗中傷に困り果てていた。・・・ 警察にも訴え、被害届も出した。・・・しかし、警察は・・・ 実際には何もしてくれなかった。
東京都に住む自営業の信子さん(三〇代)は、
千葉に住む会社員の朋子さん(三〇代)は、 数年前から元同僚の男性につきまとわれて悩んでいた。・・・ 相談するようにすすめられて行った管轄警察署では、「ここでは、 事件がおきなければ何もできない」と言われ・・・ 途中でほかの警官たちが入ってきて、「ストーカー?もてるね」 とか、「肉体関係はなかったの?」 などと興味本位に声をかけられる始末だった。(p.p.84- 85)
二〇〇〇年春ごろのことだ。東京都に住む多加子さんは、 相手不明のストーキング被害で二年以上も苦しんでいた。 そのストーカーが警察に検挙された。
・・・警察署では、被害者の取り調べと称して、 ストーカーの家宅捜索で押収した個人的な写真やビデオテープまで 見ることになった。多加子さんは抗議したが、 部屋には担当者以外の警察官までが集まってきた。そして、 大勢で集まって興味本位に見たあげく、ビデオを見て興奮した警察 官の一人は、 多加子さんにセクハラめいた言葉をかけて身体にまで触れてきたと いう。
・・・そのうえ早朝の電話で呼び出された警察では、 一日がかりで夜遅くまで長時間の捜査につきあわされていた。 そのあげくに、被害とは関係のないプライベートなことで、 周囲の警察官からも性的な嫌がらせを受けた。(p.87)
ストーカーの素顔
・・・(ある人物が)ストーカーだとわかったとき、 第三者の反応は「やっぱり」というより、「まさか」 という場合が多い・・・ ほとんどのストーカーはむしろ職場や第三者の前では「いい人」 でとおっていることが少なくない。(p.101)
相談者が語るストーカーの特徴
<ボーダーライン[境界性]人格障害>と呼ばれる類型が・・・ストーカーには多いと言われる。・・・対人関係でトラブルをおこしやすい傾向が指摘されている。他人に迷惑をかけても、自覚症状がないのがこのタイプに多いという(p.p.102-103)
精神的被害は変化する
ストーカーの要求を受け入れればストーキングをやめるのではない かと期待[して要求に合わせようと試みる時期]がある。ただし・ ・・ ストーカーの言いなりになっても被害がやむことはほとんどない。
・・・ほとんどの被害者が経験するのが、ストーカーに< 仕返ししたい>とか<殺したい>といった過激な考えだ。しかし、 絶対に個人でストーカーに反撃したりしてはいけない。 自分が傷つく危険性があるのはもちろん、 事件でもおこせば被害者のほうが犯罪者にされてしまい、 事実関係を複雑にしてしまうからだ。(p.p.181-182)
・・・ほとんどの被害者が経験するのが、ストーカーに<
無理なくマイペースで
被害者同士で話をしたり・・・気持ちを切り替える・・・ 支えあえば勇気がわくこともある。辛いのは自分一人ではない、 もっとひどい被害者の力になりたいという思いが、 気持ちを強くするのかもしれない。そして、 今はいつ終わるかもしれないと思う辛い症状も、 時間をかければかならず終わりがくることを信じて、 気長に闘ってほしい。(p.183)