Tuesday, December 22, 2015

『超マインドコントロール 日本人はいつまで騙され続けるのか!』池田整治

Ikeda, S. (2011). Chō maindo kontorōru: Nihonjin wa itsumade damasaretsuzukeru noka. Tōkyō: Magajinhausu.

もんじゅの漏出の二年前、私は北朝鮮コマンドの日本侵攻に対する対処要領を研究するために、敦賀や玄海原発に現地調査に出向きました。呆れたことに、日本政府にも電力会社にもデモレベルの対処法は用意されていても、外敵によるコマンドには全く無防備なのです。危機意識はまったくありませんでした
 北朝鮮特殊軍の幹部候補生の最終試験は、韓国と日本での具体的な工作活動です。こういう実戦を経験した将校率いるコマンドが九万人いるのです。


 基本的に、国は国民を守りません(自衛隊は守ります!) 役所はなおさら守りません。大手メディアは政府、東京電力、経産省の味方であって、国民の味方ではありません。政府のインチキをあぶり出そうとする記者など大手のサラリーマン記者には皆無です。・・・こんなテレビや新聞を信じて損するのはあなたなのです。
 自分の体は自分で守る。これが基本です。・・・自分の頭と情報力で判断しなければいけない「自己責任」の時代なのです。(p.p.62-63)



『消された一家:北九州・連続監禁殺人事件』豊田正義

Toyoda, M. (2009). Kesareta ikka: Kitakyūshū renzoku kankin satsujin jiken. Tōkyō: Shinchōsha.

その日も[連続殺人鬼]松永は、「態度が偉そうだ」「口の利き方が悪い」などと[被害者家族の長である]譽に因縁をつけ・・老いた体に[拷問用の誘電]クリップを取り付け・・電気を通している最中も、[親族会議で話し合わせた、譽の所有不動産への]仮登記の件で追及が続いた。
「言いだしたのはあんあただろ!」
「私ではありません」
「嘘つくな!」
松永は両手に持ったコードを瞬時に接触させ、譽は口を真一文字に結んで耐える。
「嘘ではありません」
「親族会議は盗聴してあるんだから、俺はその内容を全部知ってるんだ。俺のバックには盗聴も楽々できる大きな組織があると言っただろ(p.p.138-139)

『家族喰い ― 尼崎連続変死事件の真相』 小野一光

Ono, K. (2013). Kazokugui: Amagasaki renzoku henshi jiken no shinsō. Tōkyō: Ōtashuppan.


[尼崎連続変死事件被害者のひとり茉莉子さんが監禁・拷問から一時逃れたとき、同じ飲食店で働いていた友人の証言]

「・・・出会った当初、髪の毛の長さがバラバラのショートカットで、聞くと、『自分で切った』と言うんです。それに細くてガリガリで、肩とか背中に根性焼きの痕がありました。・・・それから化粧もしてなかった。私が部屋に遊びにいったら、寒いのに新聞紙一枚で暖を取っていたから、『死んでしまうで』って、次の日に毛布を買ってあげたんです。驚くほどものがなにもなくて・・・。」(p.201)
 
茉莉子さんの性格について質問すると、「真面目でほかの人に親切で、めっちゃええ子やった」と斎藤さんは語る。

「最初に私が毛布を買ってあげたら、私の誕生日にカードに絵を描いてプレゼントしてくれたんです。ほかの人にも親切で、病気したときに保険証を借りたことのある相手がおカネに困っているときには、快く貸していましたし、仲良くしていた子の駐車違反を被ったこともあります」(p.204)

[しかし再び監禁、拷問され]後日、茉莉子さんは[連続殺人鬼美代子一派の]マサら数人と荷物を取りに来たが、当初は以前とは打って変わった態度を見せたという。

「彼女は人が変わったみたいに淡々としてました。それに一切目を合わせようとしないんです。マサが常に見張っていたんですけど、隙を見て私は彼女に『知り合いに頼んで助けることができる。もしあなたが助けてとひとこと言ってくれたら、その人に頼んでなにがあっても助け出す。お願いやから、うんと言って』といいました。すると、それまで淡々としていた茉莉子さんの目に涙が浮かびました。けどぐっとこらえて目をそらしました。それで・・・私は彼女を助けることができなかったんです。それがいまだに後悔として私のなかに残っています。

 帰り際、茉莉子さんは誰にも見つからないように、私にエルメスのクリッパーという時計を手渡しました。そして小声で『高価なものを持ってたら取られるから。これ、持ってて』と囁きました」

 そのときに一瞬見せた表情は、斎藤さんが知る「めっちゃええ子」の茉莉子さんだった。彼女は最後に素顔を見せて、斎藤さんの前から姿を消した。それが今生の別れとなった。(p.208)

Tuesday, December 15, 2015

『モンスター : 尼崎連続殺人事件の真実』 一橋文哉

 
Ichihashi, F. (2014). Monsutā: Amagasaki renzoku satsujin jiken no shinjitsu. Tōkyō: Kōdansha.


ストーカー殺人や通り魔事件など、自己中心的な人間が次々と身勝手で理解不能な「動機なき犯罪」を起こす時代が到来した。今や、何の落ち度もない一般市民がいつ何時、災難に巻き込まれるか分からない事態となっている。 (p.7)


美代子の行動の根底には、もう一歩深く踏み込んだ思考法が見え隠れするし、そこにはいつもMの影がチラつき、その人生哲学や人心掌握術が反映している様子が見え隠れしている。


「[美代子は]何と男[M]が『[北九州連続殺人事件の]詳しい取調べ内容を[ほとんどリアルタイムで]警察から聞けるんや』と自慢げに話していたというんや。ほかにも警察の体質や体制、さまざまな捜査手法、縄張り主義などに詳しいんで、美代子は男が警察に人脈を持っていると確信し、アドバイスを受けるようになったようや。」(警察関係者)(p.246)


そうして提供された「[犯罪遂行のための]参考文献」の中には時々、事件の裁判資料から警察の捜査資料まで、普通は手に入らない極秘文書が含まれていたと見られている。(p.260)


[Mと接点がありそうな兵庫県警幹部に]直撃取材したところ、こんな答えが返ってきた。

「そんな男は知らない。失礼だぞ、君。私はやくざと付き合いなどない」

・・・気になったのは私の質問が「Mという人物を知っていますね」というものだったからだ。すなわち、男とも、ましてや、やくざとも言ってないのである。


また、幹部は私の質問が終わらないうちに問い掛けを遮るようにすばやく回答し、まるで私の来訪を待ち構えていたかのように感じられた。(p.268)


美代子は北九州監禁連続殺人事件について、実によく知っていた。Mからいろいろと教えられていたことは、彼女が日記などに遺した記述から明らかである。それにしても、Mが北九州の事件のことを熟知していたのには驚かされる。しかも、ほぼリアルタイムと言っていいぐらい速く、そして、正確かつ詳細に美代子に伝えていたのだ。・・・美代子は北九州監禁連続殺人事件から学ぶだけでなく、その手法をさらに進化させていったのである。


「当時、カルト教団や新興宗教団体との繋がりがあったMは、そこで学んだ詐欺的、脅迫的手法を盛んに美代子に伝授したことが予想される」。徹底的に暴力を振るうことで相手を屈伏させ、言うことを聞かせるのは暴力団の常套手段であり、美代子がそれをMから伝授されたことは、彼女の日記の記述や周辺の人物の証言などから明らかだ。


 「『世の中は、すべてカネ次第。カネの切れ目が縁の切れ目』をモットーに突き進むしかないやろ」

 これは美代子宅などで発見された・・・美代子がMから授けられたアドバイスをメモしておいたものと類推できる。(p.70)


[以下Mの言葉]

「アメとムチを巧みに使い分け、家族の絆を断絶すれば、家族同士は相互に憎しみ合い、自然と瓦解していくものや」

「相手を肉体的、精神的にとことん追い込むだけでは、他人を支配することはできない。時には一歩引いて、『不幸な境遇で生きてきた不憫なヤツ』と一緒に泣いてやれば、人間関係の濃密なエキスが心をマヒさせてくれる……

「一つの家族や集団の中で、一人を集中的に可愛がり、他の一人を徹底的に迫害すると、彼らの中で自然と誰につけばいいかとか、どうすれば自分は助かるか といった感情が働き始め、放っておいても協力者や密告者が出てきて、組織の運営がスムースになる。ただ、取り込む人間から信頼、心酔されるだけでは駄目で、時々は彼らにも恐怖心を与え、隷属することでしか生き延びられないという呪縛を持たせなければならない」

「標的(被害者)の家族や親族、仲間らに虐待、暴力、殺害、死体遺棄・・・と どんどん過激な行為を強制して続けさせれば、人々は心身ともに疲労困憊して思考能力を低下させ、やがてこちらの要求通りに動くようになる。 加害と被害、飽食と飢餓、婚姻と離婚といったように正反対のことを激しく 繰り返しながら行えば、より効果的だ」

「連日、家族会議を開かせ、何事も会議で決めさせる形を取ることが有効だ。 特に家族間で優劣を付け序列を作り、最下位の者を集中して虐待する。 序列は何かにつけて頻繁に入れ替えると、家族全員が常に緊張感に支配される。誰か他の者を最下位に落とさなければ、自分の身が危うくなるので、自分は権力者(美代子)に絶対服従の姿勢を貫き、下位の者は少しでも序列を上げるため権力者の歓心を買おうと媚びへつらい、家族を裏切ることも平気になる。そうなると家族は敵対関係に陥り、もはや結束して権力者に対抗する気力も知恵もなくなる」(P.127 


「本質的に親は子供を可愛いと思い、守らなければならないという決意を心に秘めているもんだ。だから、親の面前で子供を虐待・暴行すれば、親は子供を守るために 自ら権力者に対して反抗的な態度を取って、標的になろうとする。それを逆手にとって、子供を親に殴らせれば、その家族関係は瞬く間に崩壊するはずだ」


「権力者(美代子)を絶対的な頂点(教祖)とするカルト宗教的なコミュニティーを作り上げることが肝要だ。血縁とか婚姻関係などもともとの家族関係を解体し、新たなファミリーの一員となることを強いたり戸籍や名前を改変するショック療法が有効である」(P.128

[以上Mの言葉


家族の分断を図るため美代子がMから学んだ手法の一つに、徹底した差別化がある。・・・家族の中から一人だけ標的を定め、暴行や虐待など徹底的に攻撃する。他の家族はむしろ優遇し、少しでも抵抗したり虐待に手加減を加えれば、その人間を新たな標的とする仕組みだ。これを実行に移すと、家族同士が互いに牽制し合い、誰もが美代子の顔色を窺い、何とか気に入られようと積極的に協力したり密告したりするようになる、というわけだ。(p.224)


・・・美代子は川村に、「[妻の]裕美も浮気しとったんや」、[娘の]香愛には「裕美が悪口言うとったで」と出まかせを吹き込み、それぞれの怒りを増幅させ[家族を分断させた](p.226)


・・・今度は裕美に門前に集まった付近住民の前で放尿させたのである。(p.231)


「そんな甘いもんやないで。いろいろ差し障りがあるんで、詳しくは言えんが、男には顔が変形するほどぼこぼこに殴りつけ、抵抗する気持ちを失せさせるほど暴力への恐怖心を持たせる。女には若い娘はもちろん年配の女性にも、皆で執拗にレイプを繰り返して従順に言うことを聞かせるのが、あいつらの常套手段や。やくざそのもののやりかたや。谷本さん夫婦や娘たちの変わりようが、何よりの証拠やろう」

兵庫県警の捜査員はこっそりとそう打ち明けた。(p.161)


[類似する北九州連続殺人事件で]裁判における[加害協力者の]精神鑑定では「学習性無力感」(逃げようとして失敗し、拷問など罰を受けると、逃げるのは不可能と学習し、無抵抗になっていく心理状態)との指摘を受けた。(p.241)


[皆、相当に酷い目に遭った被害者の中でも]もっとも悲惨な目に遭ったとされるのは・・・谷本茉莉子であろう。 優しいが芯がしっかりしていて、決して自分の信念をまげなかった茉莉子は、美代子から目の敵にされ、ことあるごとに激しい暴力を受けた。

・・・美代子らに厳しく折檻され、皆の前で裸にされ、辱めを受けることもあったという。父親の協力を得て何度か逃走を図ったが、高松港のフェリーターミナルで乗船する寸前、あるいは市内の神社に隠れているところを追ってに発見され、連れ戻されていた。



・・・美代子のマンションから押収した数百枚の写真の中には、殴られて顔を腫れ上がらせた茉莉子が室内に裸で立たされているなどの虐待シーンが多数含まれていた。

後の捜査で、美代子が監視カメラを通じて茉莉子の衰弱していく様子を克明に把握し、ニヤニヤ笑いながら暴行や虐待の指示を出していたことが分かっている。(p.195)


[また一時期、逃亡に成功していたのに、運転免許更新のため]明石市の運転免許更新まで出向いた[とき、センターから美代子らに」連絡が入り美代子らが駆けつけた。なんと警察は、茉莉子を助けるどころか、結果的には美代子一派に協力までしていたのである。(p.193)


[被害者の一人が]打ち明ける。

「あの男[月岡靖憲]は、殴ったり蹴ったりする乱暴も凄まじいが、いったいどうやれば相手が泣き叫ぶか、どこをつつけば痛がって苦悶するかを十二分に研究し、事前に計画を立てて徹底的にやってくるんや。周囲の目にどう映ろうが、警察や弁護士に駆け込もうが、関係ない。」(p.86)


[被害者のなかには逃げ出したものいたが]なぜか皆、追跡されて簡単に捕まる。盛り場で見張られて発見されたり、クレジットカードを使ったことで居場所を突き止められたケースがほとんどだったが、これは警察や行政または金融機関にツテがあるか、暴力団組織を活用したとしか思えないほど迅速かつ執拗、そして正確だった」(別の親族)(p.109)


・・・谷本一家の惨状は、親族はもちろん、多くの隣人や友人、知人が知っていた。その中には当然、警察に通報した人々も大勢いた。知人の一人は言う。

「おそらく町中の人が谷本さん一家が酷い目にあっている姿を目撃していると言っていい。[しかし通報があっても、警察はほとんどすべて無視した。] いったい、警察は何をやっていたんだ(p.166)


[被害者の一人である親族は]猪俣家の母親の急死や長男の転落死、そして美代子自身がふと口を滑らせた「何かに怯え、実家での死を望んだ」美晴おばちゃんの"不審な死に様についても、自分が疑問に感じたすべてを告白し、警察に調べなおしてもらおうとしたのだ。

・・・この時に兵庫県警がきちんと捜査し、美代子を断罪していれば、後の尼崎連続殺人事件は起こらなかったわけである。(p.114)


美代子は、まじめでお人好しの久芳に的を絞り、[自殺するよう」説得に掛かったことが、後に逮捕された"美代子ファミリーの一人の供述で明らかになっている。

・・・「誰かが事故に見せかけて自殺を図り、その保険金で生活費を捻出する以外に皆が助かる道はない」と思い込ませるような雰囲気を醸成していった。(p.175)

・・・自殺教唆どころか強要、いや未必の故意の殺人と言っていいものであった。

それは次第に現実味を帯び始め、「自転車に乗って交差点に飛び出して車に轢かれろ」「事故を装うんや」といった具体的な指示に変わり・・・ためらう久芳に対し、美代子は「お前も男なら、意地を見せろや」と怒鳴りつけ、沖縄旅行に出発した後も、仲間たちと組んで飛行機やレンタカーなどあらゆるところで、まるでお題目のように「崖から飛び降りろ」といい続けたことが"美代子ファミリーの供述で分かっている。(p.176)


「時々、悪い夢でも見るのか、『オカン』がひどくうなされることがあって・・・」
[尼崎連続殺人鬼・角田美代子と]同じ房に収容され、打ち解けた関係になった女性が、そんな打ち明け話をする。
「そりゃ、あれだけ大勢の人間を死なせたんやから、直接手を下さんでも普通の人間なら悪夢にうなされて寝れんわ。」(ベテラン捜査員)(p.29) 



美代子は毎日のように、B5判やA4判のノートに日記を書いていた。その数は数十冊以上とされ、彼女が兵庫県警の留置場内で書いた分だけで56冊に上っていた・・・。最初のほうこそ、きれいな文字できちんと横ケイ線やマス目の中に収まるように書かれていたが、だんだん乱れてきて、最後は書き殴り状態になっていた。この文字の乱れが美代子の精神状態を如実に示し、最終盤には相当追い詰められていた様子が窺われる。そして、その最後のページには、こう記されていた。『私は警察に殺される』」。しかも、それ以降のページは何者かの手で乱暴に破り取られていたというのだ。


「(厳しい監視下にある拘置所での自殺は)誰かに自殺方法の指南を受けるなど十分に計画・準備をしたうえでなければできない話だろう。[美代子の死について]謀殺説が浮上するのも当然の状況だよ」とは警視庁の鑑識幹部。(p.31)