江川紹子 1958-. (2009). 勇気ってなんだろう. 岩波書店.
「信念をつらぬく ― 仙波敏郎さん」
本当は、捜査のために使われているはずの税金が、飲食や遊びや一部の幹部の懐を肥やすために使われるなど、こんなインチキが許されていいはずがありません。道徳的にいけない、というだけでなく、これは明らかに犯罪です。
ニセの領収書を書けば、刑法の私文書偽造罪。それを使って公金を引き出せば、業務上横領や詐欺といった罪に問われるはずの行為です。(p.89)
警察の裏金が問題になったのは、愛媛県警だけではありません。全国各地の警察で、経理の不正が問題になり、裏金作りについて元警察官が具体的な証言も行っています。(p.86)
[ニセ領収書の作製を仙波さんが]拒否していると転勤を命じられました。転勤先でも、ニセ領収書を書くように迫られました。断ると、また転勤。一六年間で九回も異動を命じられました。(p.93)
警察担当の新聞記者に裏金問題を話したこともありました。しかし、記者たちの反応は鈍く、記事にはなりませんでした。(p.p.95-96)
[告発を妨害するため]警察も動き出しました。仙波さんが恩義を感じている上司に説得させたり、警部補への昇進をほのめかしたり、あるいは仙波さんを尾行してあら探しをするなど、いろいろな形で気持ちを揺さぶろうとしました。(p.101)
[記者会見で告発後]仙波さんは制服警察官の象徴とも言える拳銃を取り上げられました。職場から離され、二日間にわたって取り調べを受けました。そして…配置換えとなったのです。…仙波さんには何の仕事もありませんでした。…当初は机すら与えられませんでした。
同僚たちは、誰も仙波さんと口をきこうとしませんでした。…エレベーターに乗れば、先に乗っていた人は、最寄りの階で降りてしまいます。途中階でドアが開いても、乗り込もうとした人は、中に仙波さんがいるのに気づくと、慌てて後ずさりして乗るのをやめてしまうのでした。
昼休み、賑やかだった食堂も、仙波さんが行くと、静まりかえりました。空いている席に座ると、その周りの人たちが立ち上がり、食べかけの食事を載せたトレイを持って別の席に移っていきました。…県警本部をあげての仙波さんに対する無視、いわゆる「シカト」が行われたのです。まさに、仙波さんが言う「大の大人がここまでするか、というようないじめ」が展開されたのでした。
それに加えて、長男の事件について報じた古い新聞記事のコピーを添えた、仙波さんを中傷する手紙があちこちに送られました。長男が社会復帰する時には雇ってくれることになっていた会社にも嫌がらせがありました。(p.p.106-107)
警察は、組織的な裏金作りはとうとう認めようとしませんでしたが、若い警察官がニセ領収書を書くように強いられることは、愛媛県警ではなくなりました。
よその県に行った時に、地元の警察官から、「うちにも仙波さんのような人がいてくれれば……」と言われたことがあります。
「あなた自身ができますよ」仙波さんがそう答えると、その警察官は「私には家族がいるので……」と口ごもってしまいました。
仙波さんは思いました。(誰かが行動するのを待つんじゃなくて、みんなが少しずつ勇気を出して、「私も領収書を書かされました」と一斉に言えば、組織は変わるのに)(p.p.113-114)
2 comments:
(警察の)ある捜査官が、退官に際して長い手紙を寄こしてくれた。「地下鉄サリン事件は警察の上層部が腐っていたから起こった。もしも自衛隊の上層部が腐ったら国家が滅びる。絶対に自衛隊の上層部は腐らないでくれ。」手紙はまるで遺書のように書かれていた。
『マインドコントロール: 日本人を騙し続ける支配者の真実』池田整治 (2009)
政府のインチキをあぶり出そうとする記者など大手のサラリーマン記者には皆無です。こんなテレビや新聞を信じて損するのはあなたなのです。
自分の体は自分で守る。これが基本です。自分の頭と情報力で判断しなければいけない「自己責任」の時代なのです。
『超マインドコントロール 日本人はいつまで騙され続けるのか!』池田整治
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