Kondo, M. (2017). Wakuchin fukusayo no kyofu. Bungeishunju.
以前、インフルエンザが症状から診断されていた時代は、患者数は一万人未満だったのに、検査キットが導入されると100万人超。
…今日インフルエンザと診断される人たちの九九%以上は、検査さえうけなければ、″ただの風邪″と診断されているはずです。
思いおこせばインフルエンザは、むかしは″流行性感冒″や″流感″と呼ばれていました。すこしきつめの風邪、というのがみんなのうけとり方だったのです。ところが専門家たちや厚労省がこぞって″インフルエンザ”という、どこかおそろしげな病名に乗り換えたため、人々は風邪とはちがうと思いこまされたようです。
そしてワクチン製造がどん底に落ちこんだ一九九四年以降、「インフルエンザは怖い」という報道が急増しました。これは厚労省や専門家の主導ないし協力なくしてはなしえぬキャンペーンでした。(p.p.101-102)
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試験の全期間を通じて、A型インフルエンザの流行が三回あったのですが、ワクチンを毎年打っていても打たなくても、あるいは一回打っても、二回打っても、三回打っても、全三回の流行期をつうじたインフルエンザの累積発症率は、どのグループも四〇~五〇%の範囲におさまり、ワクチン接種歴による違いがみられなかったのです(Lancet 1979)。
…ワクチンを打っていても打たなくても、インフルエンザの発症率は同じになる、ということのようです。(p.108)
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ワクチンの製造量がどん底におちた一九九四年を見ると
【インフルエンザによる死亡数・一九九四年】…合計五人で、
…これに対し、新検査法やワクチンや抗ウイルス薬など種々の施策がそろった二〇一五年では、
【インフルエンザによる死亡数・一九九五年】…合計で六五人。一九九四年の一三倍です(厚労省人口動態統計)。
これら亡くなった方々のご遺族は、故人が解熱剤や抗ウイルス薬などによる薬害のために死亡したとは気づいていないのでしょうね。