Monday, May 28, 2018

矢部宏治『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』

Yabe, H. (2014) Why cannot the Japanese cease the U.S. Military bases and nuclear power plants? 

沖縄で見た、日本という国の真実

米軍の飛行機は日本の上空をどんな高さで飛んでもいいことになっています。...そういう法的権利をもっているのです。
でもそんな米軍機が、そこだけは絶対に飛ばない場所がある。
どこだかわかりますか?
...写真の中央にゴルフ場のような芝生に囲まれた住宅地があるのですが、これは基地のなかにある米軍関係者の住宅エリアです。こうしたアメリカ人が住んでいる住宅の上では絶対に低空飛行訓練をしない。
なぜでしょう?
もちろん、墜落したときに危ないからです。(p.9)


米軍機はどこを飛んでいるのか

...つまり米軍機は、沖縄という同じ島のなかで、アメリカ人の家の上は危ないから飛ばないけれども、日本人の家の上は平気で低空飛行する。以前、事故を起こした大学の上でも、相変わらずめちゃくちゃな低空飛行訓練をおこなっている。簡単に言うと彼らは、アメリカ人の生命や安全についてはちゃんと考えているが、日本人の生命や安全についてはいっさい気にかけていないということです。

...アメリカでは法律によって、米軍機がアメリカ人の住む家の上を低空飛行することは厳重に規制されているわけです。それを海外においても自国民には同じ基準で適用しているだけですから、アメリカ側から見れば沖縄で米軍住宅の上空を避けて飛ぶことはきわめて当然、あたりまえの話なのです。
 だから問題は、その「アメリカ人並みの基準」を日本国民に適用することを求めず、自国民への人権侵害をそのまま放置している日本政府にあるということになります。 (p.12)


日米原子力協定の「仕組み」

...「廃炉」とか「脱原発」とか「卒原発」とか、日本の政治家がいくら言ったって、日本側だけではなにも決められないようになっているのです。条文をくわしく分析した専門家に言わせると、アメリカの了承なしに日本側だけで決めていいのは電気料金だけだそうです。(p.95)

1 comment:

n said...

こうした沖縄の状況は、もちろんアメリカ政府の要望にこたえる形で実現したものです。ですからアメリカ側の交渉担当者は、日本側がどんどん言うことを聞いてくれたら、もちろん文句は言いません。しかしそういうふうに、強い国の言うことはなんでも聞く。相手が自国では絶対にできないようなことでも、原理原則なく受け入れる。その一方、自分たちが本来保護すべき国民の人権は守らない。そういう人間の態度を一番嫌うのが、実はアメリカ人という人たちなのです。だから、心のなかではそうした日本の態度を非常に軽蔑している。

  私の友人に同い年のアメリカ人がいて、新聞社につとめているのですが、こうした日本の政治家や官僚の態度について、彼は「インテグリティがない」と表現していました。「インテグリティ(integrity)」というのは、アメリカ人が人間を評価する場合の非常に重要な概念で、「インテグレート」とは統合するという意味ですから、直訳すると「人格上の統合性、首尾一貫性」ということになると思います。つまりあっちとこっちで言うことを変えない。倫理的な原理原則がしっかりしていて、強いものから言われたからといって自分の立場を変えない。また自分の利益になるからといって、いいかげんなうそをつかない。ポジショントークをしない。

  そうした人間のことを「インテグリティがある人」と言って、人格的に最高の評価をあたえる。「高潔で清廉な人」といったイメージです。一方、「インテグリティがない人」と言われると、それは人格の完全否定になるそうです。ですからこうした状態をただ放置している日本の政治家や官僚たちは、実はアメリカ人の交渉担当者たちから、心の底から軽蔑されている。そういった証言がいくつもあります。 (p.p.13-14)

矢部宏治『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』