Wednesday, February 4, 2026

玉城健一 『実話 集団ストーカーに加担する悪党警官の実態』

玉城, 健一, & Tamaki, K. (2024). 実話集団ストーカーに加担する悪党警官の実態 : 真面な人間を精神病者に仕立て上げる方法. Tsumugi shobo.

 私が受けた嫌がらせは、第三者から見るとただの偶然にしか見えず、とても嫌がらせには見えない。彼らが利用した嫌がらせは、専門家の間でガスライティングと呼ばれている手法で、証拠を取るのが難しい方法だった。(p.2)

私が警察官時代に聞いた話では、公安警察の仕事はスパイやテロリストなどの監視が仕事だが、田舎の警察署の公安担当者は、監視対象となる人物が少ない又はいないため、時間を持て余し暇である。そのような場合、監視する必要のない一般市民の中から適当に監視対象を決めて、監視練習(ネットの閲覧履歴、通話履歴、部屋の盗聴、ゴミの持ち去りによる生活パターンの把握と個人情報の入手、尾行などによる行動パターンの把握など)を行うこともあるという。私は、この監視練習となってしまった。このような行為は、本来の監視対象ではない一般市民に行なう行為のため、警察による人権侵害と職権乱用罪になる。
この本を読んでいるあなたは、他人事のように思っているかもしれないが、あなたも監視練習の対象になる可能性は十分にある。
…本書によって、本当の悪党に立ち向かう勇気をもってもらいたいと思う。(p.p.3-4)

この悪党警官は集団ストーカーどもを操り陰険なやり方で私に嫌がらせを仕掛けてきた。彼らは、嘘や誇張した情報を世間に流し、私を悪人に仕立て上げようとした。しかし、本当の悪党は、世間を騙し善人の仮面を被った彼らの方なのだ。最終的に私は彼らを撃退することに成功した。この本にその過程を詳細に記した。忘れないでほしいのは、彼ら悪党どもは、嬉しいことを嬉しいと感じ、悲しいことを悲しいと感じ、怖いことを怖いと感じる、私たちと同じただの人間だということである。本書によってあなたは集団ストーカーに打ち勝つことができるし、警察による監視練習の対象となってしまった時の対抗策も知ることができる。

〇私が行なった集団ストーカー撃退方法は、絶対に他言無用でお願いしたい。貴方が死んであの世に行っても秘密にして欲しいのだ。もし、貴方が約束を破ったら、私は貴方を一生恨みます!。この言葉が、本を使った貴方への脅迫状だと言われても仕方ないと思っている。そして、覚悟がある方だけ、このお話の続きを読んでもらいたい。(第三章 悪党抹殺計画より)
〇日常動作を悪用し相手をノイローゼにする方法
〇真面な人間を精神病者に仕立て上げるには
〇加害者にもかかわらず、被害者になりすまし周囲を誤魔化す方法
〇警察官は聖人君子ではない!悪い奴もいるよ!
〇無知に付け込み市民を脅迫する警察
〇仕返し目的で職権を乱用する悪党警官
〇嘘だろ!警察は納税額で悪党か善人かを決める
〇ど暇警察による市民監視練習の実態
(Amazon.co.jp)

Sunday, August 17, 2025

藍原寛子 『フクシマ、能登、そしてこれから』

 Aihara, H. (2025). フクシマ, 能登, そしてこれから : 震災後を生きる 13人の物語. 婦人之友社.


「風評被害」への異議―あきらめない

今、水戸さんは、国や電力会社、行政が「風評被害」という言葉で市民の言論を封殺しようとしているのでは、と懸念する。18年8月、福島原発の汚染水海洋投棄を議論する経産省の公聴会が郡山市で開かれた。水戸さんは意見発表人として出席、主催者側が会の冒頭で使った「風評被害」という言葉を、「放射能に対する不安や議論を封じ込める言葉だ」と指摘した。(p.93)

「現場に足を運ぶこと」の重要性

福井県の敦賀、美浜の原発が林立する地域を通り、その先々で地元の人から直接、原発の話を聞いた。
興味深いことに、複数の人と一緒に会っても誰も意見を言わない。ところが1人に個別に会って話を聞くと、ボソボソと本音を話しだした。何度か通ううちに、敦賀市の僧侶で反原発運動に携わる立花正寛さんに会う。立花さんは「長い間坊主をやっているけれども、がん患者以外の葬儀はしたことがない」と語った。立花さんは夜、門徒さんたちから話を聞く機会を設けてくれた。すると、彼らは次々に「うちの息子が取られてな」「うちの息子も取られた」と悲しげに語った。「取られた」という意味を尋ねると、「電力会社に息子が殺されたという意味だ」と打ち明ける門徒さんたち。
…さまざまなことを教えてくれた立花さんも、がんのために亡くなった。
(p.p.196-197)

活断層のリスクを軽視しない

北野さんは24年5月の志賀原発廃炉訴訟の口頭弁論で、原告団長として「志賀原発周辺は大きな活断層だらけ。珠洲原発同様、建ててはいけないところに建ててしまった」と活断層評価や避難計画の問題点を指摘した。 
「…能登半島地震で、かなりの人が『もし志賀原発が動いていて事故が起こったら、閉じ込められ、見放されたまま被ばくするかもしれない』と危機感を抱いた。原子力ムラは巨大でしぶとい。でも住民が自分の問題として捉え始めている」。
(p.223)

のと、と、ふくしま、と

珠洲市狼煙町で、発災後、住民が農家のビニールハウスに集まって避難生活を送った地域を訪ねた。
…ビニールハウスで生活した1人の高齢の女性が、私の車の「福島」ナンバーを見つけて、「福島からきたの」と驚いた。
…その女性は、周りに誰もいないのに小声になった。「私はあの時、[珠洲]原発に反対したんですよ。私ら、原発に反対した人たちは、計画が凍結されてからもいっぱい嫌がらせを受けました」。元日の地震直後、この地域も孤立集落になった。(p.p.224-225)

Wednesday, July 9, 2025

Stout, M.『良心をもたない人たちへの対処法』

Stout, M., & Akiyama, M. (2023). 良心をもたない人たちへの対処法. 草思社.

ソシオパスを定義づけるもの

 サイコパスもソシオパスも同じ意味でよく使われているのだ。いずれも良心が欠如した個人でありそうした者のなかには暴力的な傾向をもつ者がいれば、そうでない者がいる。
(p.32)

司法の目さえあざむく

彼らの多くは、普通の人たちと同じように、投獄や死刑の宣告など望んでおらず、そんな状況に追い込まれないように注意している。恋人を破産に追い込んだり、同僚の経歴を台無しにしたり、あるいは、無防備な人の心に生々しい傷を刻み付けることに比べれば、殺人の場合、犯行が発覚する公算ははるかに高く、厳しい断罪から免れるのは難しい。罪悪感がないので、行動を制限する心の仕組みはもちあわせていないが、彼らは彼らで抜け目なく計算している。
…通常、ソシオパスが直接的な暴力に及ぶのは、社会の目から隠れて行える家庭内においてだ。…家庭内暴力は起訴されても立証が難しく、そもそも起訴されるケースが少ないので、ソシオパスにとってはブレーキもかかりにくい。

刑務所はソシオパスであふれていると思われがちだが、これも事実と異なる。それどころか、犯した行為で逮捕・投獄されたソシオパスの例はむしろ珍しいくらいなのだ。ソシオパス(と彼らの被害者)について調査を進める研究者は、現在の法律体系では彼らの犯行を漏れなく捕捉することはできない現実を突き止めた
アメリカの刑務所に収監されている者のうち、ソシオパスは平均で二〇パーセントにすぎない。

…多くの人たちにとって、生きることは真摯に向き合うべき営みで、その最大の見返りは他者の愛であり、人との結びつきだ。
だが人を愛せない人間がこの世にはいる。人みなすべてが良心をもっているわけでもない。それどころか、良心をもたない人たちという限られた少数派は、人に苦しみをもたらし、苦しみにあえぐ相手の姿を楽しんでいる。(p.p.38-41)

ガスライティングは、被害者自身が自分の正気を疑う心理的虐待の一種で、この名称は一九四四年に公開された映画『ガス燈』に由来している。
…ガス燈は劇中で使われているトリックのひとつで、家のガス燈を明滅させ、これは自分の妄想なのだと妻に思い込ませていく。第三者から見ると、ガスライティングという心理的虐待のもっとも痛ましい点は、一見すると無意味な手口であるため、第三者からすれば、被害者が漏らす不満があまりにも奇妙で、被害妄想じみたものに思えてしまう点にある。そのため、被害者が脅えている危機状況がまったく信じられなくなってしまうのだ。(p.p.120-121)

閉鎖系”の関係にはびこる職場のソシオパス

職場のソシオパスに見られる特有の行動

・被害者をほめそやす
・自分を大きく見せようとする
・親切で役に立つふりをする
・誘惑しようとする
・嘘をつく
・他人に過大なリスクを負わせようとする
・他人の共感を得ようとする
・他人のせいにする
・脅して自分の意に沿わせる
・血も涙もなく平気で人を裏切る

…[被害者側には]挫折感や徐々に希薄になっていく自己肯定感、他者を信頼する能力の大半が失われ、自分さえ信じられなくなるという、ソシオパスに翻弄された者ならではの様子がうかがえる。

職場において、精神的な疲れを強いられる、不安定な閉鎖系〔当事者しか知らない孤立した状況〕におちいっていたら、閉塞した関係の風通しをよくするため、少なくとも外部の誰か一人以上に現状を打ち明けておくことをおすすめしたい。
その場合、打ち明ける相手は、会社とは無関係の親しい友人や家族、あるいはセラピストでもかまわない。話す際にも「ソシオパス」などの専門用語を使う必要はまたくなく、職場でいま起きていることを話すだけでいい。

また、自分の窮地に対して、相談相手がただちに解決策を教えてくれるとか、自分と同じ意見であると期待してはならない。…外部の声をインプットして閉鎖系を押し開くことはなによりも大切だ。第三者に事情を話し、話を聞いてもらうことで動揺は鎮まり、何が起きているのかについて、それまで以上に客観的に考えられるようになる。心に余裕ができれば、ソシオパス特有の行動パターンが見極められるので、こうした関係に自分をおとしいれた相手の正体が明らかにされるかもしれない。
(p.p.120-125)

職場のソシオパスから自分を守る五つの原則

⑴ 心のプライバシーを守り続ける
攻撃してくるソシオパスに対し、相手の願い通りに怒ったり、脅えたり、うろたえたりする姿を見せてしまうと、彼らの支配欲をますます高めてしまう。彼らは被害者の脅えを糧にしているので、被害者が苦しむほど彼らの人心操作は激しくなる。望みは被害者を”支配する力”であり、うらうぃかいて剝き出しになった被害者の素の心を見て楽しんでいる。それだけに心のプライバシーを守り抜くことができれば、彼らは期待通りの結果が得られない。

冷静を保つことがなにより大切だ。感情のコントロールができないなら、動揺が表情やしぐさに現れないようにする。…何をされても動揺しない事実と、彼らの問題行動こそ社員全員の目標に対する障害だと自分は考えているという警告を与える。

⑵ 何をすべきか十分に考えたうえで判断する

ソシオパスの問題に直面して、会社にとどまって最後まで戦い抜くのか、あるいは自分の生活を台なしにする会社から離れるのが望みなのかきちんと考える。…自分の事情を最優先し、できるだけ早く会社を辞めることは卑怯なことではない。身の安全と自分が愛する者たちに対する責任を果たすこともまた、正しい判断なのである。 

⑶ どのような手順で進めていくのか

まず、彼らの行動は徹底して記録に残しておくことである。
…告発者を敵と考えるソシオパスは、相手が不在のときをねらい、十中八九、あなたの備品を盗み見ようとするはずだ。…仕事に関係のない私信などの書類はひとつ残らず会社から引き揚げることを忘れてはならない。無難な私物にすぎないが、他人の個人情報を悪用する手口に長けているのが彼らなのだ。

⑷ 私情は交えず、会社の利益を訴える

会社の上層部に近い役職者との面談を設定する。…人事部や直属上司を通したりしていては、ソシオパスの息がかかった者を相手に交渉する可能性が高まる。
私情は交えずに話を進める。自分の利益を求めてこの場にいるのではない。大きな犠牲を強いる組織内の問題について知らせ、その解決を提案するためにここにいるのだ。個人的な感情は控え、自分の被害者意識も訴えてはならない。
…また、「ソシオパス」などの心理学用語ではなく、誰にでもすぐに理解できる、明白でありきたりの言葉を使って話を進める。「話に嘘が多い」「仕事をごまかしている」「嫌がらせが絶えない」「人をだまそうとする」「人を操ろうとする」「ものがなくなる」などのような、彼らの不誠実な言動がこれほど大きな損害を会社に及ぼしているのか、その点に沿って話を進めていく。

⑸ 「会社の対応」をふまえて身のふり方を考える

 会社がなんらかの対策を講じ、ソシオパスを封じることができれば苦労した甲斐もあるので、その意志があるなら、会社にとどまって仕事を続けていけばいい。
しかし、進言に対して会社がなんの反応も示さず、ソシオパスへの対応を個人の問題のままにしておくなら、この会社は人生の貴重な時間を捧げるのにふさわしい場所かどうか判断しなくてはならない。…あなたはソシオパスには支配されておらず、彼らの罠にはめられたわけでもない。自分の意志にしたがって会社を辞めることで、心のプライバシーを守り、自分自身であり続け、平穏な毎日にふたたび戻るため、前向きな行動を起こしたのだ。
(p.p.130-137)

ソシオパスの戦意をそぐ「無関心メソッド」

{ソシオパスは}絶えずつきまとうこの退屈をなんとかしようと、刺激と高揚感への渇望がかき立てられていく。こうした状況のもとでは、あなたこそ退屈をまぎらわす格好の気晴らしなのだ。
…相手が脅したり、挑発したりするような言動を示しても動揺したそぶりは見せず、まったく気にしていないふりをして応じるのだ。もちろん内心では尋常ではない動揺を感じているはずだ。…しかし相手の前では、気にしていないようにふるまい、話を交わさなくてはならない。警戒心や恐怖心、あるいは怒りを悟られないよう、まったく無関心を装うのだ。
…被害者の警戒心や恐怖心、怒りとは、ソシオパスにとっていわば心理的なドラッグなのだ。相手がこのドラッグの中毒者なら、被害者がやることは、相手のハイな気分を台なしにしてやればいいのだ。
…気持ちがすぐに表れてしまう人でも、多くの人たちがこの方法を実に効果的に使ってきたので、どうか安心してほしい。動揺が表に表れないようになるにはいささか練習して慣れておく必要があるが、準備すればまちがいなく実行できる。
(p.p.180-181)

ソシオパスはなぜ専門職に多いのか

良心をもたない人のなかには、社会的な評価というきらびやかな衣装をまとうことで、ほかのソシオパスより巧妙に正体を隠している者がいる。
…ひとつは、わたしたちには立場と肩書に応じて人を値踏みする傾向があるか点だ。つまり、地位の高い人ほど人格者だと思い込んでしまう。
…二つ目は、ある種の専門職には、ソシオパスにとって喉から手が出るほど魅力的な特権が備わっている点だ。教師や医師、聖職者やセラピストは、大勢の人たちに対して「対人関係の影響力」があり、相手から疑いの目を向けられることはほとんどない。また、外部の干渉を受けないプライバシーが確保されているので、職場環境によって第三者の目から容易に逃れることができる(これも別のタイプの閉鎖系といえる)。
…専門職のソシオパスについて、わたしに寄せられる話のなかでも、群を抜いて多いのが教育関係者と医師に関してである。
(p.p.138-139)

ソシオパスが抱える二つの弱点

・ソシオパスに関する客観的な情報を念頭に置いておく
・最終的な目的を変えてみる(何を目的に戦っているのか見なおしてみる)
・相手の目的でなく、自分の目的について重点的に考えをめぐらせる。
・自分の感情を相手に悟られないようにする。
・良心と共感をもつ人たちとのつながりを深める
・相手との対応はあれもこれもと取り組まず、実行可能な範囲で小分けする
・自分のペースを崩してはならない
・理性的に考え。結末を重んじて行動する
・ストレスマネジメントを心がけ、健康管理に気をつける

ソシオパスは自分から始めた攻撃であるにもかかわらず、二つの弱みを抱えており、これらはたがいに関連している事実を理解しておいてほしい。

⑴ソシオパスが”勝利“を実感できるのは、被害者を思うように操り、支配しているときだけで、こうした形で実感できなくなってしまうと、攻撃そのものへの興味をやがて失っていく。被害者は勝つ意味(目標)を自分で設定できるので、彼らよりも柔軟に戦うことができる。

⑵ソシオパスは、他者の感情を悟れず、共感を覚える基層をもっていない。他者の感情に普通の人が数学の問題を解くように。、頭を使い、知的に判断することでしか理解できない。したがって、彼らに挑発されたとき、少しでも自分をコントロールできれば、本当の気持ちを彼らから隠せるのだ。そうすることによって、ソシオパスがなにより嫌がる「退屈」という天敵の出現をうながすことができる。(p.p.242-243)


適度な自己愛と病理的な自己愛

ソシオパスの場合、欠けているのは良心と他者への共感の両方だが、ナルシシストに欠落しているのは他者への共感だけなのだ。ソシオパスは他者とは感情的に結びつくことができず、他者の感情を直接感じ取れない。これに対してナルシシストは、他者の感情は感じ取れないが、彼らなりの形で他者とのつながりをむすぶことができるのだ。
適度な自己愛(健全なナルシシズム)は、精神的な発達を遂げ、大人になって健全な精神生活を送るうえで、誰にとっても必要とされるが、過剰なほど肥大して、他の感情を圧倒するようになるとナルシシズムに苦しむようになる。このような状態になると対人関係を損ねるばかりか、ほかの人を苦しめるようになるので、専門家のなかには、この状態を「病理的」「有害」「悪性」なナルシシズムだと形容する者もいる。
(p.p.251-252)

ナルシシストに感染しやすい人たち

反社会病質のリーダーと自己愛のリーダーの心理学上のちがいとは、前者は嘘と人心操作と恫喝によって他者に働きかけ、一方、ナルシシストのリーダーは嘘とマニピュレーション、そして情動感染によって人に影響を与えている。
…もしも自分のもとにドナルド・トランプと同質の人格的特徴を示す患者がきたら、その患者はまちがいなく自己愛性パーソナリティの持ち主にちがいないと、わたしはまえまえから考えてきた。彼に見られる人格的特徴は、仰々しいふるまい、他者に対する共感のみごとなほどの欠落、そして、注目され、称賛されることへの過剰すぎるほどの欲求だ。

…ソシオパスが力を実感するために他者を支配するなら、ナルシシストは自分への称賛のために他者を支配している。

ナルシシストの妄想に水を差し、誰も応じなければ彼らは不満を募らせ、感情は高ぶり、ついには憎悪に満ちた怒りを抱え込む。相手が応じない場合、ソシオパスなら計画をやり直すか、微妙な調整をくわえたり、それまで以上に魅力的にふるまったりする。あるいは、さらに脅しをかけるかもしれない。一方、ナルシシストはますます情熱的になり、彼の信条は説得力に富んだ、きわめて破壊的なものになっていく。ソシオパスの言動はこれという信条とはまったく関係ない。彼らの破壊的な言動は冷酷なロジックにもとづき、唯一の目的は被害者との”ゲーム”に勝つことだ。ナルシシストのように妄想でしかない感情の王国を守るために、自分を見失い、ゲームを破綻させるようなまねはしないのだ。
(p.p.256-258)


”熱い”ナルシシストと”冷たい”ソシオパス

この二つの人格障害にもっぱらうかがえる特徴は、いずれも虚言と狡猾さだ。ソシオパスは嘘をついて被害者を混乱させ、自分の意志にしたがわせている。あるいは「楽しい」という理由だけでそんな言動に及んでいる。一方、ナルシシストが嘘をつくのは虚構の世界を守り、他者から自分が必要とするもの(一貫した称賛と相手の同意)を汲み取るためだ。一般的にはどちらも「病的な虚言者」とよく言われている。そして、両者とも他人を利用する手段として、ずる賢くふるまい、人をあざむこうとする。ソシオパスは生まれつきの詐欺師で、ナルシシストは虚構の人格という世界の住人だ。いずれも、嘘をつき続けていなければ自分の世界が破綻してしまう。

ソシオパスがのどから手が出るほどほしがってるのは、人を支配することと権力である。勝つことそれ自体が目的で、そのために脇目をふらずに戦いに没頭する。ナルシシストは自分が秀でていることを見せつけるため、常に人よりも上位にいなければならない。それだけに、他人の権力と業績に対しては病的な嫉妬心を抱いている。
(p.265)

Sunday, July 6, 2025

大鶴和江 『「ずるい攻撃」をする人たち』

 Ōtsuru Kazue,  (2024). 「ずるい攻撃」をする人たち : 既読スルー、被害者ポジション、罪悪感で支配. 青春出版社.

2020年頃、福岡県でママ友たちの間で孤立した女性が、支配的なママ友に洗脳され、我が子を虐待、餓死させてしまうという悲惨な事件もありました。
これも支配的なママ友がグループ間に悪口を言い、ターゲットになった本人を孤立させ、その孤立したターゲットに対して「私だけがあなたの味方よ」と安心させて、金銭を搾取し続けたのです。

このように仲良しのグループの仲を引き裂く人を「サークルクラッシャー」あるいは「フレネミー」とも呼びますが、言い換えれば「他人の幸せが許せない人」です。
このような人は、自分の欲求不満やストレス、周りへの敵意を表現できない人が多く、表面的には「いい人ポジション」を取り、心配するふりをして他人をおとしめる行為を行ないます。

このような「他人の幸せが許せない人」のターゲットにならないためには、他人の悪口を手土産にして近づく人物には最初から警戒するということが大切です。
うっかりその悪口に賛同してしまうと、あとで「〇〇さんも同じようにあなたの悪口を言っていた」という言質を取られてしまう可能性があります。
…そのような人物に対しては、警戒して秘密は明かさないよう心掛けることと、想像や他人の言葉ではなく、現実や事実を見て客観的に判断する意識を持つことが大事になります。
(p.p.64-65)

Thursday, July 3, 2025

吉田敏浩『追跡!謎の日米合同委員会』

 Yoshida, T. (2021). 追跡!謎の日米合同委員会 : 別のかたちで継続された「占領政策」. 每日新聞出版.

一九五七年二月一四日付、駐日アメリカ大使館からアメリカ国務省への極秘報告書「在日米軍基地に関する報告」

行政協定のもとでは、新しい基地についての要件を決める権利も、現存する基地を保持し続ける権利も、米軍の判断にゆだねられている。…多数の米国の諜報活動機関と対敵諜報活動機関の数知れぬ要員がなんの妨げも受けず日本中で活動している。
米軍の部隊、装備、家族なども、地元とのいかなる取り決めもなしに、また地元当局の事前情報連絡さえなしに日本への出入りを自由に行う権限が与えられている。(『日米「密約」外交と人民のたたかい』)
(p.130)

CICとは米陸軍の対敵諜報部隊でCounter Intelligence Corpsの略称である。…日米地位協定の刑事裁判権に関する規定「米軍人・軍属の公務中の犯罪はアメリカ側に第一次裁判権がある」に従って…スパイ活動中のCIC員がたとえ車で日本人をはねて殺傷しても、公務中としてアメリカ側に第一次裁判権があるので、日本側当局に逮捕・起訴されることはなく、日本の裁判所で裁かれることはないのである。

アメリカの情報機関NSA(国家安全保障局)の世界的なインターネット監視・盗聴活動を暴露した、元NSA職員エドワード・スノーデンの告発からも、日米の連携が明らかになった。
…二〇一三年四月八日付の秘密文書には、NSAが防衛省情報本部電波部に「エックスキースコア」など、個人のEメールなど非公開情報まで密かに検索できるインターネット大量監視用の「違法監視プログラム」をも提供し、「これらの監視システムを使いこなし、米国の監視網に貢献するサイバー・スパイを防衛省・自衛隊内に養成する」ための講師を派遣すると記されていた。
自衛隊のほかに…「アメリカの情報機関は警察と公安調査庁に別個のルート」を持って、それぞれ連携している。また、「警察、内調、外務省はいずれも米中央情報局(CIA)との情報交換」をおこなっている。
(p.p.139-140) 

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もく星号遭難事件と米軍の航空管制

一九五二年四月九日、午前七時三四分、日本航空の羽田発大阪経由福岡行き、マーチン202型双発プロペラ機もく星号が、風雨をついて羽田飛行場を飛び立った。しかし、千葉県の館山上空を通過後、離陸から二〇分で行方不明になった。…翌四月一〇日、伊豆大島の三原山噴火口の東側一キロの地に墜落し散乱した機体が発見された。乗組員四名と乗客三三名の全員が死亡していた。
…羽田出発時の米軍管制官の指示は「館山通過後一〇分間高度二〇〇〇フィート」だった。二〇〇〇フィートは約六一〇メートルである。その高度で一〇分も飛べば、海抜七五八メートルの大島三原山に衝突する。もく星号は疑問を呈して問い返した。羽田に駐在するノースウエスト航空の運航係も、この管制指示を傍受していて、その高度では低すぎると抗議した。

…日本政府の事故調査委員会は、米軍にジョンソン基地の航空管制室の録音テープの提出を要請した。しかし米軍は応じず、文書で「六〇〇〇フィートを指示」とだけ回答した。
一方、在日米空軍の機関で航空機と基地の交信を記録する「東京モニター」は、ジョンソン基地からの「館山通過後一〇分間高度二〇〇〇フィート」という指示を傍受していた。だが、米軍側は公式にはあくまでも「六〇〇〇フィートを指示」と押し通した。録音テープの提出を再三の要請にもかかわらず拒み通した。

…そこで注目されるのが、羽田出発時の当初の管制官の指示「館山通過後一〇分間高度二〇〇〇フィート」の背景には、もく星号の飛行予定の方向に、約一〇機の米軍機が飛行中という事情があったことだ。
「もく星」号が羽田を離陸するとき、「東京地区の各飛行場から出発して、同時刻ごろに同じ方向に向かっていた米陸海軍機が十機ほどあった」(『科学朝日』昭和二七年六月号)
(p.p.142-145)

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民間航空機を追尾し急接近する米軍機

一九九七年九月一二日、小松発札幌行き全日空A320旅客機が青森県の陸奥湾上空を高度約六四〇〇メートルで飛行中、米空軍三沢基地のF16戦闘機二機が後方から急接近してくるのが、全日空機の空中衝突防止装置(TCAS)のレーダーによるコンピューター画面に映り、「降下」を指示する警告音が鳴ったので、急降下して衝突を緊急回避した(「朝日新聞」一九九八年一月四日朝刊)。
…パイロットは「まるで標的機を要撃するように追尾しているように感じた」と報告しています。


一九九八年八月には、日航の広島行の便が高度一万七〇〇〇フィートで飛行中に、厚木から岩国に向かっていた海兵隊の戦闘機が急接近、日航機は急降下して衝突を回避した事例、さらに一九九七年一一月には高知県上空で関西空港に向かっていた日航機に米軍戦闘機が急接近、機長の緊急回避操作で空中衝突を免れた事例など、米軍機の異常接近が相次いで報告されました。

二〇〇七年八月八日にシドニー発成田行きのJALWAYSボーイング747旅客機が、グアム島南方上空を高度一万一六〇〇フィートで飛行中、右後方上空から米空軍F15戦闘機二機に追尾され急接近された事件は、米軍側が国際的な飛行規則に違反したことを認め、異例の謝罪をした珍しいケースである。
(p.p.149-151)

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新型コロナウイルスの検疫も米軍まかせ

在日米軍内でも新型コロナウイルスの感染が相次いできたのに、日本政府は米軍関係者(軍人・軍属・それらの家族)の入国禁止措置をとれず、基地から入国する際の検疫も、感染防止策も米軍まかせで、まったく手出しできないのである。
米軍関係者は日米地位協定にもとづき、基地を通じて自由に出入国でき、日本の出入国管理に服さなくてもいいからだ。
(p.172)

Saturday, June 28, 2025

有馬哲夫 『一次資料で正す現代史のフェイク』

Arima Tetsuo,  (2021). 一次資料で正す現代史のフェイク. 育鵬社.
 
東条、そして日本の考えていた戦争は、いわゆる限定戦争だった。ルーズヴェルトはこれを、相手が無条件降伏を呑むまで殺戮し、破壊し続ける無制限戦争に[途中から〕変えてしまった。これによって和平のハードルを高くしてしまった。
(p.p.40-41)
一方、アメリカ諜報機関とりわけ戦略情報機関(OSS)スイス支局などが、天皇制存置さえ認めれば、ソ連の仲介なしでも、日本が降伏することを[ルーズヴェルトの無条件降伏原則を引き継いだ]トルーマンに報告していた。
これを踏まえて、五月二八日、国務長官ジョセフ・グルーは、天皇制を含め日本人に彼らの自由意志によって政体を選ぶ権利を認める降伏勧告を日本に対して出すよう求めた。
(p.p.42-43)
…[トルーマンは〕四五年四月二四日に[陸軍長官〕スティムソンから原爆が八月頃完成予定だと報告を受けていた。これによってトルーマンは日本本土上陸作戦を回避するために条件付降伏を日本に認めることで早期和平を図るよう求めてくるアメリカ軍関係者のプレッシャーに耐えることができた。…さらに、ポーランド問題でソ連と決裂していたので、ソ連にこれ以上協定違反をしないよう警告するためにも原爆を使用したいと願っていた。
天皇制存置条件付降伏支持者のスティムソンさえ、原爆の使用には積極的だった。およそ十九億五〇〇〇万ドルの巨額の予算を使って開発しただけに、使用しなければ開発責任者として責任を問われると思ったのだった。こうして、ポツダム宣言から、天皇制存置条項が削除された。これを残せば、日本は宣言が出るやいなや降伏してしまい、原爆を使用する機会が失われるからだ。
(p.p.44-45)

トルーマンは原爆で真珠湾攻撃の罰を与えたかった

[トルーマン大統領は]上院議員時代から「パールハーバーの騙し討ちをした日本を懲罰すべし」と公言していた。加えて、四月二三日にソ連外務委員長ヴャチェスラフ・モロトフとポーランド問題に関する協定違反のことで言い合いになってからは、ヨーロッパで勢力拡大をはかるソ連を威嚇するため原爆の威力を見せつける必要があるという考えを持ち始めていた。
(p.p.92-93)

スティムソンも自著『平和と戦争に力を尽くして』でこう述べている。

アメリカが天皇の地位についての見解を明確に示すのを遅らせたことが戦争を長引かせたということだ。
(p.107)

Friday, June 20, 2025

中西董『米英軍占領下の名古屋』


 日本人が進駐軍の命令に違反した場合の罰則に、死刑または銃殺刑などの極刑が盛り込まれていた…。
その注目すべき実例を次にいくつか列挙してみよう。先ず第一に「日本人は米国を尊敬すべし。日本人の車馬は米軍を追い越すべからず。違反者は射殺する事あるべし --進駐軍--」…また前文と同じような「===進駐軍命令===日本人の車馬は、米軍ジープや軍用車両の前方を通行したり、追い越すことを厳禁する。又、交差点付近で停止する場合は、必ず米軍の車両10フィート後方に下がって止まれ。違反者は射殺することあるべし。---連合軍最高司令官---」と言ったような何れも米軍の軍事行動に少しでも妨害したと見なされるようなささいな交通違反にまで極刑が科されていた。
(p.54)

そのほか最も象徴的な進駐軍の命令に報道管制のプレスコードの発動が挙げられる。…「連合国軍に対し破壊的なる批判を加へ又は同軍に対し不信若しくは怨恨を招来するが如き事項を掲載するべからず」と定められていた。(p.55)

連合国軍が7年近い日本占領期間中に、日本国内において主に米英軍将兵の不法行為によって、実に1万人にも達する多数の罪のない日本人が無残にも虫けらのように射殺されたり、また死亡には至らなかったものの身体に何らかの大きな傷害を受けたりしている。

連合国軍の日本占領期間中における不祥事件は、新聞やラジオなどのマスコミも米軍の厳重な報道規制や検閲を受けて、日本人にほとんど公表することが禁止されていた…。

昭和20年6月26日の早朝、名古屋市熱田区六野町にあった‥大同製鋼の男性職員が事務連絡で同所を訪れたところ、この工場に進駐したばかりの米軍黒人兵に、いきなり背後から頭部と腹部を自動小銃で撃たれて虫けらを殺すように無残にもその場で射殺された。この事件は、日本人の目撃者もあり犯人も分かっていたのに、実情を調査した米軍憲兵隊は、「米軍に該当する犯人(または容疑者)は存在しない」の一言で、うやむやにされてしまった。

またこの日の午後にも‥たまたま港区の港北運河を米軍が通過した際に、…食糧不足を補うため運河べりの草むらに身を潜めて魚釣りをしていた男性が軍用トラックの上から米兵に頭部を自動小銃で狙撃されて射殺された。
さらに同じ日の夕刻、…中川橋の上を上陸用戦車(舟艇)に乗って通過していた米兵が、家を空襲で焼かれ停泊中の艀で船上生活をしていた母子の二人を鳥でも狙うように撃ち殺して海中に転落させた。

それから数日経過した11月初旬の深夜には、名古屋市営路面電車の車庫になっていた港車庫構内の一番奥に停車していた修理中の電車の中で、一人の婦人が暴行された挙句に心臓をピストルで撃たれて全裸に近い姿で死んでいた。…犯行現場の車内には進駐軍の洋モク(米国製たばこ)の吸い殻や米国製ウイスキーの空きびんが散乱していた。…米第25師団兵士の中の不良分子の仕業による犯行であることは疑う余地もなかった。

特に米第25師団の本隊が名古屋に上陸してから10日間位経過した頃から、婦女子への暴行事件が続発するようになった。…ことに夜の一人歩きの女性や娼婦風の女性が基地内に連れ込まれて夜通し大勢の米兵に輪姦された挙句、朝方になって無残にも軍用ナイフで刺し殺されたり、また銃殺されたりした。その上、犯行を隠すために遺体は、基地の北側を流れている横運河に投げ捨てられていたこともあった。…運河の中から引き揚げられた遺体は、米軍の犯行と分かっていても大抵の場合は、「生活苦による入水自殺」として片づけられてしまった。(p.p.245-246)

ことに戦後の2、3年間は、名古屋港内をはじめ名古屋市内を流れる庄内川や中川運河などの河川で、若い女性の水死体がよく発見された。それらの遺体の大半は、詳しく検死したり、死亡解剖するまでもなく、一目して明らかに強姦された後に殺されて捨てられた事が歴然としている遺体も多かったのである。しかも、その犯人のほとんどが米軍兵士であった。死人に口なしの例えのように、日本の警察も米軍の犯行とわかって米憲兵隊に通報しても、返ってくる言葉はいつも決って判を押したように調査をしたが「米軍に該当する犯人(容疑者)は存在しない。恐らく〔生活苦による入水自殺〕と考えられる」の一言で簡単に処理されてしまったのである。文字通り、やりたい放題の治外法権であった。

昭和21年の五月上旬には、名古屋に短期間進駐した英連邦軍の印度兵に農夫が自動小銃で近距離から撃たれて重傷を負っている。また三菱航空機製作所大江工場では、昭和20年11月頃に約2000名以上の米軍兵士が進駐していたことがある。ここでは、日本人のコックや雑役労務者たちが大量に採用されていて、彼ら米兵たちの食堂や洗濯場で働いていた。米兵たちは、これらの日本人労務者の働きぶりが気にいらないと、すぐ殴る蹴るの暴行を加えていた。殴られた場所が急所であったような場合は、内臓破裂などの症状を起こして死亡する事件も発生した。

筆者の父(戦後、強制的に愛知県の通訳官をさせられていたが米軍の軍事異動命令を受けて昭和21年10月に神奈川県の通訳に転任になった)も、米第八軍横浜軍用図書館に勤務していた昭和26年9月に、勤務を終って単身赴任していた鶴見区生麦町の下宿に帰る途中の夜道で3人組の米軍兵士に集団で襲われた。殴る蹴るの暴行を受けて半殺しの状態になり、所持していた月給も全部奪われた。意識不明で倒れていた所を別の米兵に発見されて米軍の病院に収容された。しかし、この時、顔面と腹部に受けた強烈なパンチの傷害が原因で肋骨損傷、眼底出血と腸内出血の被害を受けた。そのため休職して名古屋に戻り治療に専念したが、病状は回復することなく次第に悪化し、ついに4カ月後の翌27年1月に他界してしまった。
…米陸軍長官宛にも協力要請の嘆願書を出してみたが、敗戦国民の訴えなんか無視されて、何の連絡もなくナシのつぶてであった。そのため父が入院していた米軍病院の証明書が提出できず、ついに一銭の補償金や見舞金も支給されず、文字通り殺され損となったまま今日に至っている。これが父の青春時代のすべてを費やして、明治から大正時代にかけて自由社会の米国に憧れ、はるばる太平洋を船で渡り皿洗い生活などを続けながら学資を稼いで十数年間も米国各地で留学生活をしていた国の軍隊行動であったのかと思うと強い憤りを感じた。しかも日本の敗戦で無理やり米軍に命令されて通訳官にさせられた父が、本業を捨てて微力ながらも自分自身では日米両国の懸け橋になるつもりで、懸命に努力を続けてきた甲斐もなく不慮の死を遂げてしまった。
(pp..247-248)

名古屋進駐当初の頃の米軍の軍用車両は、右側通行の習慣が抜け切らず道路の真ん中や右側を通行する車両も現れた。そのため市民はよく米軍の車両にはねられたり、ひき逃げされたりしたのである。しかもジープやトラックを運転していた進駐軍兵士が市民に人身事故を引き起こした場合は、そのほとんどが当て逃げやひき逃げ事件となって犯人は逃走した。米兵たちは、幼い子供が道路上で遊んでいる所をひき殺したり、田舎へ食料を買い出しに出掛けるため名古屋駅前を歩いていた2人連れの主婦たちを大型トラックで跳ね飛ばして死亡させても、何ら謝罪せずにそのまま走り去ってしまった。もちろん見舞金なども米軍は支払わなかった。文字通りやりたい放題の切り捨て御免であった。たとえひき逃げの犯行がばれても米軍兵士たちは日本人が米軍の進路を妨害したために起きた事件と報告すれば、ほとんどが不可抗力の事件として軍法会議でも無罪になってしまった。
(p.249)

このような進駐軍の犯罪を全国的に見た場合、やはり日本本土で最初の地上戦となった沖縄では、死亡事件を筆頭に各種凶悪犯罪事件が最も多く発生している。次いで関東、関西、東海地方の順に多発している。それに米軍は最後まで進駐軍の不法行為の実態を正確に公表しなかったので、その事件内容や件数も定かではなかった。しかし日本側の調査資料としては、全国調達庁職員労働組合が1958年の時点で実施した調査では、「占領期間中に犠牲となられたお気の毒な方の数を調べた所、全国で1万人から居られることが判明した」と公表している。

…これに対して日本の進駐軍被害者の遺族たちは、敗戦国の悲しさで日本人の人権は全く無視されて、何一つ進駐軍に抗議する事も許されず、ただ何事も黙って泣き寝入りするばかりであった。…ようやく昭和34年前後から日本各地で各県別単位の進駐軍被害者連盟を結成して機関紙も発行されるようになった。だが機関紙の紙面に掲載されている被害者や家族たちの悲しい手記を読んでも、依然として進駐軍の影におびえたり進駐軍を極端に意識していることが歴然としていた。なぜなら本当の感情をぶちまけた手記を書いたために、何時なんどきまた不都合な事態が発生して米英軍の報復のあることを憂慮して、心の底から米英軍兵士たちの犯罪行為を痛烈に批判したり、抗議したりすることを差し控えていたのが、余りにも哀れであり惨めであった。

また敗戦当時、日韓併合で日本国籍にあった在日韓国・朝鮮人たちの被害者には、同じような占領軍の迫害を受けたにもかかわらず、〔米軍に代わって遺族へ補償をさせられた]日本政府からは何らの連絡もなく補償もされなかった。
(p.p.251-252)

米英軍将兵が引き起こした数々の暴行事件や悪質な不法行為も戦後史の中に記述されておらず、すべて欠落している…これはその当時、政府機関をはじめ各地方公共機関が編纂した各種の行政年報や報告書等でも明確に実証されている。…進駐軍の厳しい言論の検閲を怖れた結果、占領軍の不法行為に関する実態の記述については、すべて‥自ら削除してしまったからである。(p.255)

占領軍は…昭和20年12月に米軍の占領政策を日本人や特に日本のマスコミが批判することを厳禁してしまったのである。
…特に米軍は進駐当初、人類史上最大の悲劇をもたらした広島、長崎の原子爆弾の被害に関する報道は、日本人の大きな憎しみと反感を買うのを恐れて、米軍が公表する場合を除いて絶対に記事にする事を禁止し厳重な報道規制を実施した。またB29の空襲で被害を受けた名古屋の詳細な人的被害の実態調査や報道も厳禁してしまった。そのため戦時中に190回あまり(米軍極秘統計報告書に拠る)にわたり爆撃された名古屋大空襲の正確な戦争被害は確認されないままになっている。
(p.259)

****************

昭和21年8月3日に岐阜県の陸軍各務原航空隊に進駐していた米第25師団第27連隊の下士官が、空襲で焼失した名古屋城に現われ、金鯱の鱗が溶けて固まった推定300グラム(米軍側の判断)の残骸を接収した…。米軍が押収した金鯱の数量は、秤で正確に計量することも許されなかった。実際には推定の300グラムよりも、はるかに多い2倍以上の分量の金塊であったようだ。当時、名古屋に駐留していた米極東第5空軍司令部内の将校たちの間では、押収された金鯱の溶解した残骸のすべては、小牧飛行場(現・名古屋空港)から直接アメリカ本国へ戦利品として空輸された話題でもちきりであった。

…このようにして各地から集められた日本の貴重な文化財の山は、普通の価値しかない昭和軍刀などと一緒にされて、名古屋港の埠頭桟橋倉庫に運び込まれた。ここで更に選定仕分けされて、上物と思われる逸品だけを米統合参謀本部や米国防総省へ戦利品として空輸されたり、また米軍の高級将校用の土産品として、入港してくる艦船で次々に米国へ送り届けられた。更にその他の普通の軍刀やサーベル、日章旗などは、下級兵士達が本国に帰還する際に、戦利品や記念品として大きな雑嚢袋に入れて持ち帰ってしまったのである。このように敗戦後の日本から持ち去られた貴重な文化財や美術品の中には、その後アメリカのボストン美術館やイギリスの大英博物館などの米英諸国に密かに持ち込まれた収蔵品もあり、その数は相当の量にのぼっていることは、美術専門家や学者の間で周知の事実となっている。しかもこれらの美術品の秘蔵については、今日ではご丁寧にも明治初年の神仏分離令によって起きた廃仏毀釈運動で、日本の庶民が二束三文の安値で手放したものを収集したというまことしやかな理由や説明までつけられている有様だ。
(p.p.134-135)

名古屋周辺地区では、戦災を免れたり野積みにされたままの軍需物資が未だ大量に残されていた。また田舎に工場を疎開したために、機械をはじめ原材料とも無傷のまま終戦を迎えた軍需工場も多数存在していた。

戦後米軍の指示により、これらの軍需工場や陸軍造兵廠等から没収された軍需物資の内訳は、ジュラルミン板、アルミのインゴット、鉄鋼、ゴム靴、合板、玄米、大麦、板ガラス、綿布、紡績機、各種工作機械、旋盤、軍用トラック、硫安、セメント、鉄道用レール等の多品種に及んでいた。その何れの物資も焼け野原と化した敗戦国の日本では、再建のため喉から手が出るほど欲しい必需品ばかりであった。だが米軍は無情にも、これらの物資を連合国の現物賠償物資に指定し、日本人の民需用に転換して平和利用することを一切禁止してしまったのである。ことに陸軍の熱田造兵廠には、武器弾薬の他に何故か大量の古米や大麦なども備蓄していた。言うまでもなく日本人の主食になっていた米や麦は武器ではないのに、すべて賠償物資として没収されてしまったのである。

このように名古屋を中心とした東海地方から米軍に強奪没収された大量の残存必需物資や文化財等は、名古屋港の中央埠頭桟橋へ続々と集められた。これらの物資の中で利用価値の高いものは、真っ先に米国に搬出された。また、その他の物資は、主に米国と作戦行動を共にして対日戦を戦ってきた中国、フィリピン、オーストラリアなどの各国へ現物賠償物資として毎日のように船積みされて海外に大流出したのである。

…それを国民の復興のための民需に再利用することができれば、あれほど戦後に市民が物資の不足で困窮しなくても自立し再建することができたはずである。
(p.p.135-136)

米軍は占領初期の頃の日本を密かに食糧攻めにして、容易に立ちあ上がれない様にしておく事を重要な占領政策にしていた…。そのため窮乏していた日本の主要食糧の米や麦は、昭和20年度産の米作が悪天候による不作を理由にして、米軍の厳しい指示により日本国民の主食の配給量を極限に近いところまで減らしたり欠配させていたのである。

師団長モラン(C.I.Mullins)少将
「連合国軍の日本占領を成功させる手段としては、先ず日本人の食糧不足を利用して、当面は食糧を封鎖して日本人の抵抗意識を防止することを第一目標にする。…次に…徐々に米国の余剰農産物を活用して無償援助または有償援助を実施して、日本人に恩義を感じさせる。それまでは、たとえ日本農業の米麦が増産されたとしても、配給量を絶対に増加する許可を日本政府に与えてはならない」(p.p.136-137)


また悪辣な米兵たちは、日本側の説明で命令事項が期日までに履行できないことが分かるとその延期を認める代償として暗に女(占領軍慰安婦)を無償提供したり、土産やプレゼントの賄賂を要求することも日常茶飯のように行われた。こんな狡猾な軍政が繰り返されるたびに進駐軍の絶大な権力に恐れをなした官公庁や商社の幹部は、ただ彼らの命令に言うなりに従うより仕方がなかった。それに味をしめた一部の米軍将兵は、ますますエスカレートして事あるたびに無理難題を押しつけるようになった。

ことに米極東第5空軍司令部の中堅クラス以上の一部の軍政将校の中には、暇さえあれば連日のように日本側の弱みにつけ込んで命令の履行状況や市民生活のあらゆる面に難癖をつけて、その見返りとしてパーティーを開かせたり芸妓を抱かせることを強要した。しかもそれだけでは物足らず、彼らは事あるたびに日本の美術工芸品や高級和服絹製品などを盛んに無償で調達するように命じた。
(p.191)

森良雄『日本刀受難記』

東京: 創栄出版 星雲社(発売); 1998.


占領軍の本土進駐以来、占領軍兵士による暴行略奪が各地で多発しました。九月七日の朝日新聞によれば、神奈川県下では米兵が横須賀に上陸した八月三十日から九月五日までのわずか七日間に、九百八十六件の事件が発生したことを日別・種類別に分けて伝えています。参考までに強盗まがいの事案について見てみますと、

…物品強奪      百四十三件

 自動車強奪     百二十八件…

 警官からの帯剣強奪 四十一件

 金銭強奪      三十七件

となっていて、占領軍司令部に事故防止を申し入れたところM・P(憲兵)を要所要所に配置して秩序維持を強化してくれた、と報じています。(p.p.113-114)

 

しかし、地方では、東京地区同様に保護指令が出されたはずですが、これが守られず、旧家や社寺の宝物とされていた刀剣類が占領軍兵士によって略奪されるという事件が発生しています。(p.116)


…日本近代郷土史研究所理事長の中西董氏には「米軍占領下の名古屋」と題した著書があります。…同所の第10章「戦利品や賠償物資の海外代流出」には刀剣接収時の模様が生々しく描かれています…。


米軍は名古屋進駐三日目にして…「資産階級の家庭には通訳を同伴してジープで直接乗り付けて家宅捜査を実施した…相次ぐ空襲で焼き出されて裸同然になり、ほとんど何も残っていなかった」名古屋を離れて、「戦災の被害が少なかった地方都市に目をつけ、関、大垣、米原、津、宇治山田、岐阜、高山、各務原、瀬戸方面まで足を伸ばして戦利品の宝探しを始め…先祖代々から伝わる…刀剣類を…一枚の受領証も交付せずに持ち去られてしまった。


…(米軍の)特捜隊は、戦時中に熱田神宮本殿の裏側に極秘で構築された堅牢な地下室の宝物収蔵庫を厳重に立入り捜査した。そして奉納されていた軍刀のすべてを没収した。その数は約百五十本余りもあり、米軍トラックに積み込まれ」さらに「ご神体である草薙剣をはじめ、その他の由緒ある古代刀なども武装解除の対象物件として強引に接収しようとした」…。


日本側は通訳(中西氏の父君)を介して日本の歴史や伝統を引用しつつ、草薙の剣は「日本人の文化と伝統のシンボルとなっている貴重な最高の歴史的文化遺産」であることを説明し、「もし米軍が三種の神器の一つである草薙剣を没収すれば、日本国民はもう黙ってはいない。恐らく日本各地でゲリラ戦や大暴動が発生し、再び日米双方でおびただしい数の死傷者が出る事は確実である」と主張します。結局神社側は「奉納された刀剣類の中から、金色の装飾がほどこされた大型の太刀を適当に選んで草薙剣のレプリカと偽って、唐織りで作られた豪華な雲龍模様の太刀袋に入れて米軍に提出」します。ところが、これを見た米軍兵士たちはますます本物を欲しがって「地下室まで入り込んで徹底的に捜査を実施した。その結果、むしろに包んで隠してあった年代物の刀剣類を見つけて、その中から宮司や通訳らが制止するのも聞き入れず、刀の柄や鞘の装飾が華麗に施された外人好みのする太刀ばかり、数本を選んで大量の軍刀と共に持ち去ってしまった。」

(p.p.116-118)


略奪であったにせよ、神宮の任意提出であったにせよ、神宮保有の刀剣が戦前に比べて激減していることは確かです。(p.119)

Thursday, June 12, 2025

木元寛明『気象と戦術』

 Kimoto, H. (2019). 気象と戦術 : 天候は勝敗を左右し、歴史を変える. SBクリエイティブ.

気象という名の「兵器」


「テロリストたちは、電磁波遠隔操作により気象を変更し、地震を誘発させ、火山を噴火させるという手段で、エコタイプのテロリズムにすら手をつけている」
 ――米国防長官ウィリアム・コ―ヘンの「テロリズム、大量破壊兵器、および合衆国の戦略」に関する会議での講演
  (1997年4月28日、ジョージア大学)


目的達成のための気象・自然の軍事利用
気象・自然を「兵器」として使用する

1967年から1972年まで、米空軍気象局は、地域一帯を水浸しにしてホーチミン・ルートを泥寧化し、人や物資の移動を妨げようとしました。そのため、3機の改造型WC-130輸送機からヨウ化銀などのフレアを散布して雲の種をまき、ラオスおよびカンボジアに人工雨を降らせる作戦を行っています。
(p.150)


気象、地震、火山をコントロールする?
あながち荒唐無稽ともいえない

欧米の多くの国は第2次大戦の終了直後から、気象を変更する(=操作する)技術の実験をスタートしています。…冒頭のコ―ヘン国防長官の発言のように、気象の変更、人為的な地震の誘発、火山の噴火などが兵器として使用されるという推論は、あながち荒唐無稽ともいえないようです。(p.155)

吉田敏浩 『横田空域』

Yoshida, T. (2019). 横田空域 : 日米合同委員会でつくられた空の壁 (Saihan). 株式会社Kadokawa.

 米軍の活動を規制できるドイツとイタリア


根本的な相違点として沖縄県の「他国地位協定調査中間報告書」があげるのは、ドイツもイタリアも、「自国の法律や規制を米軍にも適用させることで自国の主権を確立させ、米軍の活動をコントロールしている」点である。

…「横田空域」と「岩国空域」での航空管制を日本政府は米軍に「事実上、委任」している。国内法である航空法には、外国軍隊に航空管制を委任できる規定はない。…密約が国内法を超越していることになる。


Wednesday, February 19, 2025

森永卓郎,et al 『日航123便はなぜ墜落したのか』

 Morinaga Takurō;Aoyama Tōko;Maeyama Midori, Morinaga, Takurō., Aoyama, T., & Maeyama, M. (2024). マンガ誰も書かない「真実」日航123便はなぜ墜落したのか. 宝島社.

日航123便の墜落からわずか41日後の1985年9月23日、先進五ヶ国の大蔵大臣、中央銀行総裁は、ニューヨークのプラザホテルに集結し、過度のドル高を是正するために為替市場に協調介入する声明を発表した。「プラザ合意」である。
…1985年に42兆円だった日本の輸出総額は、86年に35兆円、87年には33兆円と急減。
…当然、ドル安になったアメリカは逆に、国際競争力を取り戻す流れをつかんだ。(p.p.128-129)

…1986年9月2日、123便墜落の約1年後には、もう一つ、日本には明らかに不利な政策が決定された。日米半導体協定の締結である。…要するに、「アメリカに市場を開けろ。そちらの価格はアメリカが決める」という要求を日本は、なぜか呑んだのである。
1980年代半ば以降、日本の半導体産業は世界シェアの50%を占め、NEC、東芝、日立製作所と、日本企業がトップスリーを独占していた。
…日米半導体協定には「秘密書簡(サイドレター)」が存在。…日本市場で外国製品のシェアを5年以内に20%にするとの合意があった。これはGATTの協定に明確に違反する。(p.p.130-131)

オレンジ色の飛翔体
「赤い楕円」が機体の胴体腹部に付着しているように見えた、との目撃証言も。
(p.142)
現場から退去した米軍ヘリ
21時頃に到着。近くに乗組員を降ろすことは可能だった…。
(p.145)
遺物から見つかった「ベンゼン」
現場の炭化遺体の様子は、ベトナム戦争時にナパーム弾の犠牲となった人の遺体に酷似。ナパーム弾の燃料には、パーム油やゲル状にしたガソリンが含まれる。
(p.146)

[日航123便墜落当日]

19時15分 上野村住民の証言
19時半前後からヘリを多数目撃

20時30分 アントヌーチ氏証言
米軍海兵隊の救援ヘリが地上の様子を偵察するために降下中であることを視認

20時40分 落合証言
上空にヘリコプターの音、手を振る。しかしヘリコプターは爆音とともに遠く去って行った。
(p.p.153-155)

Sunday, January 19, 2025

吉田敏浩 『「日米合同委員会」の研究』

 Yoshida, T. (2016). 「日米合同委員会」の研究 : 謎の権力構造の正体に迫る (Dai 1-han). 創元社.


日米合同委員会という、名前だけは知られていても、その実態は謎につつまれた、日本のエリート官僚と在日米軍の高級軍人からなる組織(日本側代表は外務省北米局長、アメリカ側代表は在日米軍司令部副司令官)。その組織が、何十年にもわたって隔週の木曜日ごとに都心の米軍施設や外務省の密室で、日米地位協定の解釈や運用について人知れず協議を重ね、米軍の特権を維持するために数知れぬ秘密の合意=密約を生みだしている。しかもそれらの密約は、日本国憲法にもとづく日本の国内法(憲法体系)を無視して、米軍に治外法権に等しい特権をあたえている。
たとえば「横田空域」という、首都圏を中心に一都九県の上空をすっぽりとおおう広大な空域があります。そこは日本の領空なのに、日本の飛行機が自由に飛べず、米軍が戦闘機の訓練飛行や輸送機の発着など独占的に使用しています。
…つまり事実上、日本の空の主権が米軍によって奪われている。しかもそのことに国内法上の根拠がない。日米地位協定にも法的根拠が明記されていない。そのような独立国としてあるまじき状態が、独立回復後、六〇年以上も続いているのです。(p.p.1-2)

…ほかにもあります。たとえば、米軍関係者(軍人・軍属・それらの家族)の犯罪で、「日本にとっていちじるしく重要な事件以外は裁判権を行使しない」という「裁判権放棄密約」や、米軍人・軍属の被疑者の身柄をできるかぎり日本側が拘束せず、米軍側に引き渡すという「身柄引き渡し密約」などです。
これらの密約は米軍関係者を特別扱いする甘い事件処理を生みだし、米軍関係者の犯罪の起訴率がきわめて低いという現実をもたらしています。そして、この程度なら罪に問われることはないという意識を米軍関係者の間にはびこらせ、後を絶たない米兵犯罪の温床になっているのです。(p.p.2-3)

こうした日米合同委員会の合意文書や議事録はすべて原則として非公開です。国民の代表である国会議員に対しても秘密にされ、主権者である国民・市民の目からも隠されています。ごく限られた高級官僚たちが在日米軍高官らと密室で取り決めた秘密の合意(密約)が、日本の国内法(憲法体系)を侵食し、日本の主権を侵害しているのです。合意がいったいいくつあるのかさえわかりません。日米合同委員会の文書・記録として処理すれば、すべては闇の中に封印できる仕掛けになっているのです。
…日米合同委員会では、協議といってもアメリカ側の米軍人が強硬に主張したことは、日本側の官僚たちによって、ほぼすべて受け入れられているのが実態…米軍上層部から見れば、日米合同委員会は日本における米軍の特権を維持するためのリモコン装置のようなものといっていいでしょう。(p.4)


米軍が日米合同委員会の密室協議の仕組みを利用して、事実上の治外法権・特権を日本政府に認めさせるという一種の「権力構造」がつくられ、今日まで続いている。(p. 286)

Friday, December 6, 2024

中村裕美 「味覚の人為的制御」

 健康と疾患を制御する精密栄養学 : 「何を、いつ、どう食べるか」に、食品機能の解析と個人差を生む分子メカニズムの解明から迫る. 羊土社.

味覚電気刺激による味覚の制御

味覚電気刺激による味覚提示は、新たに呈味物質を口腔内に取り込むことなく、すなわち余分な成分を追加せずとも飲食物の呈味を制御できる。…また、刺激装置の構築も安価・小型・軽量で実現できること、即時性、可塑性に優れ時系列的な変化を加えられること、刺激位置によって味を感じる位置も変化することなど味覚表現のダイナミックレンジの広さが、エンターテインメント的用途での活用においても優れている点だろう。

…筆者らは2021年に、経皮電気刺激といって顎と首後ろに電極を貼り付け電気刺激を与える手法を用いて陽極刺激を与えた際に、塩味を最大3倍まで増強できることを実験で検証している。

Thursday, November 14, 2024

佐渡龍己 『テロリズムとは何か』

 佐渡, 龍己, & Sado, R. (2000). テロリズムとは何か. 文藝春秋.

正規戦とテロリズムの違い

テロリズムは自己の力が弱いため、交戦という物質的強力行為ではなく、恐怖という精神的強力行為を手段として、直接、政策決定者あるいは他の強力な力(民衆、第三国、国際世論)を利用して、自分たちの意志を強要することを目的とする。(p.87)

Tuesday, October 15, 2024

佐渡龍己 『対テロリズム戦略』

 佐渡, 龍己, & Sado, R. (2005). 対テロリズム戦略 : バグダッドでの実戦体験. かや書房.


テロリストが攻撃しようとするのは、銃、砲、戦車などの物質ではなく、人の心である。テロリストは、人々に恐怖を与えることにより、社会の秩序を破壊し、事態の鍵を握る人物の心に直接あるいは間接的に影響を与えようとする。このための手段は、必ずしも物理的暴力を使用する必要はなく、精神的暴力を手段とする。(p.40)


テロリズムの分析基本モデル

①テロリズムの基本モデル1

A(いわゆるテロリスト)が、ある事項に非常な恐怖感を抱く。その原因となるB(為政者)を脅す。Bは追い払われるか、またはその事項をやめる。この方式に相当するテロリズムが、フランス革命のテロリズムである。…

②テロリズムの基本モデル2

Aが、ある事項に非常な恐怖感を抱く。その原因となっているのはBであるがBを直接的に脅すのではなく、C(民衆)を脅し(恐怖を与える)その民衆をしてBにその事項をやめさせる。


テロリズムの分析応用モデル

①応用モデル2-2

基本モデル2のC(民衆)の要素に換えて、国際世論に働きかけるテロリズムがある。

②応用モデル2-3

Cの民衆の要素に換えて、第三国に置き換えた場合が、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)およびトゥバクアマル革命(MRTA)のテロリズムである。この場合攻撃目標は第三国の市民となる。期待する効果は第三国の圧力である。…第三国の外国人を人質にして、第三国の圧力で敵に対して彼らの要求を強要している。

③応用モデル3

AがBを攻撃し、Bに過剰な報復をさせる。さらに支配者側が理性を失い、民衆を殺害させるように工作する。この双方の結果を大きく世界へ宣伝し国際世論へ訴える。国際世論に訴えてその国際世論の圧力でBである政府あるいは支配者を追い払うあるいはある政策をやめさせる。(p.p.44-49)


今回の米中枢同時テロにおいて、果たして米国は一方的な被害者であろうか、と問い直してみる必要がある。正義は米国側にあり、米国にはまったく罪はないのであろうか。すべての悪はテロリスト側にあるのであろうか。

…具体的には次の四つの事項がイスラムの人々を苦しめてきた。一つは米国のイスラエル支援である。この結果、イスラエルとパレスチナとの戦争および紛争によって多くのパレスチナ人が家を追われ、殺害された。二つめは、米軍の聖地サウジアラビア駐留である。三つめは湾岸戦争におけるイラク市民の殺害、四つめは米国側に都合の良いように他国政権を操作する米国の政策である。・・・米国は直接的には意図しなかったが、結果的にはイスラエルの人々を苦しめ、間接的に殺害した。すなわち最初に殺人を犯していたのは米国となる。これに対してイスラム過激派テロリストは米国に対して復讐を企てた。その実行が米中枢同時テロである。

…この視点に立つと、米国は、まったくの被害者ではなく加害者でもある、という見方が成り立つ。・・・他方、一般的にいわれるイスラム過激派テロリストが完全なる犯罪者であるという批判は必ずしも当を得ているとはいえない。これは一種の仇討ちという見方が成り立つ。(p.p.176-177)


佐渡龍己『対テロリズム戦略』

Thursday, September 5, 2024

Tennessee lawmakers give final approval to 'chemtrails' bill

Melissa Brown
Nashville Tennessean
Apr. 1, 2024

Tennessee legislation banning the intentional release of chemicals into the air is headed to Gov. Bill Lee's desk to be signed into law.

The bill has been criticized as codifying a ban on "chem trails," a widely debunked conspiracy theory that the federal government is spreading chemicals for nefarious reasons, though House sponsor Rep. Monty Fritts, R-Kingston, said he brought the bill due to ongoing weather and climate control practices.

HB 2063/SB 2691, which House Republicans gave final passage to Monday, bans the "intentional injection, release, or dispersion" of chemicals within Tennessee "with the express purpose of affecting temperature, weather, or the intensity of the sunlight is prohibited."


Wednesday, September 4, 2024

伊藤祐靖 『自衛隊失格』

  Itō Sukeyasu, & Itō, S. (2021). 自衛隊失格 : 私が「特殊部隊」を去った理由. 新潮社.

拉致船との遭遇

確認すると「第二大和丸」と書いてあり、早朝にP3Cから[偽装工作船であるとの〕連絡が来た船名だった。そして完全に回り込み、漁船の真後ろについて船尾を見ると、漁船の船尾に縦の線が入っていた。

それは船尾が観音開きで開く構造になっていることを示している。そこから小舟(工作船)を出せるということである。

これこそが日本人を拉致し、北朝鮮に連れ去っていった「拉致船」なのだ。

…海上保安庁と連絡がつき、新潟から高速巡視船が追ってくることになった。それまでの間は写真撮影をしたり、船体の特徴を報告したりしつつ、工作母船の位置情報も送っていた。

(p.203)


帰投する巡視船

日没直前の18時頃になってようやく、巡視船が追いついてきた。 相手は拉致船、北朝鮮の高度な軍事訓練を受けた工作員が多数乗っている。密輸や密漁をしている船とはレベルの違う抵抗をすることは目に見えているのに、いつも通りに海上保安官たちは飛び移ろうとしていた。そしてまさに飛び移ろうとした瞬間、それまで12ノット(時速20キロ)程度の航行だった工作母船は大量の黒煙を吹き出しながら増速し、最終的には34ノット(時速60キロ)まで上げた。

…「みょうこう」にとっては、まだ余裕のあるスピードだったが、巡視船の方は工作母船に少しずつ離されていった。しばらくすると、巡視船から無線連絡が入った。

「護衛艦みょうこう、こちらは巡視船○○○。ただ今から威嚇射撃を行います」

すると、「パラパラパラ」と、上空に向かって小さな口径の弾をばらまく射撃が行われた。

これは試射で、今から本射が始まり、工作母船の船体付近に威嚇射撃を開始するのだと私は思っていた。だが、いつまで経っても本射は開始されず、巡視船は再び「みょうこう」を無線で呼び出してきた。

「護衛艦みょうこう、こちらは巡視船○○○です。威嚇射撃終了」

えっ、あの上に向かって撃ったのが威嚇射撃? 『天才バカボン』のおまわりさんじゃあるまいし、あれが威嚇のつもりだったのか? さらに無線連絡が入ってきた。

「本船、新潟に帰投する燃料に不安があるため、これにて新潟に帰投します。ご協力ありがとうございました。」

…航空機ならまだしも、燃料がなくなったところで沈むわけではないのに、日本人が連れ去られている真っ最中の可能性が高いというのに、その工作船に背を向けて帰投するというのだ。…そうして本当に、巡視船は進路を南に向けて帰投してしまった。

(p,p.205-207)

海上警備行動の発令

突然、けたたましいアラームが鳴り出した。「カーン、カーン、カーン、カーン」 アラームは、全乗員を戦闘配置につけるためのものである。再び副長の声が響いた。

「海上警備行動が発令された。総員、戦闘配置につけ。準備でき次第、警告射撃を行う。射撃関係員集合、CIC(戦闘行動をコントロールする中枢部)、立入検査隊員集合、食堂」

(p.209)


突然止まった工作母船

艦長は、目をカッと見開くと、押し殺したような低い声で戦闘号令を発した。「戦闘、右砲戦! 同航のエコー〈E〉目標!」(このときは工作船をEと呼んだ) いよいよ訓練ではない射撃が開始されてしまった。

…初弾は依然として34ノットで進む工作母船の後方200メートルに着弾させたが、工作母船に減速する兆候はまったく見られなかった。前方200、後方100、前方100と弾着点を工作母船に近づけていった。工作母船を木っ端みじんにしてしまうギリギリの距離まで弾着点を近づけて、何十発も警告射撃を行った。だが、工作母船は減速の兆候をまったく見せなかった。

…それは本当にギリギリで、ちょっとでもどこかにミスがあれば、乗っているかもしれない拉致された日本人ごと木っ端みじんにしてしまうからである。その思いが通じたはずは絶対にないが、工作母船は突然、停止した。

(p.210-211)

総員戦闘配置につけ

もともと海軍の仕事は船の沈め合いがすべてだったが、90年代から武器による抵抗が予想される船舶に乗り込んで、積み荷の検査をしようという考えが世界的に広まり始めた。海上自衛隊もその流れに乗る形で研究を開始し、各艦にその資料を配付し始めた時期だった。だからまだ、艦内には防弾チョッキさえも配備されていなかった。訓練さえもできる状況ではなかったのである。それなのにいきなり北朝鮮の工作母船に乗り込め、というのだ。

…「海上警備行動が発令された。総員戦闘配置につけ」という副長の艦内放送の声で、立入検査隊員たちは食堂に集まってはいた。

(p.p.212-213)


命令が間違っているという確信

…10分前とは、まったく別人になっていた。悲壮感のかけらもなく、清々しく、自信に満ちて、どこか余裕さえ感じさせる。私は、彼らに見とれてしまっていた。半世紀以上前に特攻隊で飛び立って行った先輩たちも、きっとこの表情で行ったに違いない。

…「これが覚悟というものなのか」と納得しつつも、心の奥底では気づいていた。この表情は覚悟だけではないのだ。“わたくし”というものを捨て切った者だけができる表情なのだ。彼らは、短い時間のうちに出撃を覚悟し、抱いていた希望や夢をあきらめた。そして、最後の最後に残った彼らの願いは、公への奉仕だった。それは育った環境や教育によるものではなく、ごく自然に、自らを滅することに意義を感じ、奉仕を全うしようとする清々しい姿勢だ。

だから、そんな彼らを“わたくし”のためにばかり生きているように見える政治家なんぞの命令で行かせたくないと思った。

(p.216)


忘れられない3つのこと

一つ目は、燃料に不安があるからと、海上保安庁の巡視船が日本人を連れ去っている真っ最中かもしれない工作母船に背を向けて帰投してしまったことである。[...]

二つ目は、[停船した工作母船へ]「立入検査」の命令が出たことと、それがそのまま末端の隊員に伝わったことである。…私は、任務が絶対達成できないことも立入検査隊員が全員死亡することもわかっていた。…[主に幹部用である]拳銃を触ったこともない者が、夜間、自爆装置がセットされている北朝鮮の工作母船に乗り込んで、北朝鮮の工作員と銃撃戦の末に日本人を救出してくることは絶対に不可能で、彼らが全滅することも確実だった。

それは、私が「みょうこう」航海長で、教育訓練係士官として乗組員の練度をよくわかっていたからではなく、海上自衛隊の艦艇乗りなら誰でも知っていたことである。

ということは、「立入検査を実施させる」という政治決定がなされる時に、現職の海上自衛官に任務達成の見積もりと生還の可能性を確認せずに決定がなされるはずがないので、現状を知っていながら可能だと言った海上自衛官がいるか、不可能という現状を理解したうえで実施させるという政治決断がなされたのか、そのどちらかなのである――。

(p.p.220-222)

愚直なまでに命令に従う

あの命令が間違っていたとか、取り消すように動くべきだったということではなく、いったいなぜ任務を達成できず、全滅するとわかっているのに彼らを行かすと決めたのか。その理由を確認して、彼らに伝えるべきだった。そんな当たり前のことをせずに命令に愚直に従おう、従わせようとしたのである。これは、私が一生恥じていかなければならないことだ。

そして、決して忘れられない三つ目は、それでも彼らは工作母船に乗りこもうとしたことである。(p.223)


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20歳前後ですでに「中年自衛官」

中年以降の典型的な自衛官とは、目指していると思っていることと、実際に目指していることの間に大きなギャップがある人のこと、加えて、それに気づいているのか、気づいていないのか微妙な人たちを指す。

例えば、自衛隊員が射撃訓練をする時の目的は、射撃制度の向上である。しかし自衛隊ではいつの間にか、怪我人を出さないとか、薬莢を紛失しないとか、時間内に終了させるとかいった方を重要視してしまう。それらも大切なことではあるが、問題なのはそのせいで射撃制度の向上がないがしろになってしまうことだ。

気づいているか微妙というのは、当初はそのことに気づいていながら気づいていないふりをしているうちに、本当に気づかなくなってしまうからである。若いうちは入隊時の志や思い入れがあるため、有事を想定した能力の向上に努めようとする。が、年月を積むにつれ、徐々に組織が抱える矛盾や本来の目的に背を向け、安定した日常の維持を優先するようになる。見て見ぬふりをし続けると、本当に見ることができなくなってしまう。

(p.p.165-166)

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若者は成長する。防大生は磨けば光る。光らないのは大人のせいだ。我々指導官の教えざる罪だ。

(p.176)

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[防衛大] 離任の辞

我々の職業は究極のボランティアだ。知らない奴のために自分が死ななきゃならない。人を殺さなきゃならない。敵ばかりじゃない。部下も殺さなきゃならない。「ガタガタ言わずに死んでこい」と言わなきゃならない時もある。しかも、ボランティアである以上見返りも求めてはいけない。「国民に感謝されたい」などと、せこいこと考えちゃいけねえよ。どう思われたっていいじゃないか、その人達のためになるなら。

ところで軍人らしさってなんだ。‥‥任務達成のためにすべてのことをあきらめることが軍人らしさだ。…何の見返りもなく、任務達成を目指す。これが軍人らしさだ。

(p.188)

Sunday, June 16, 2024

SILENT WEAPONS: EXAMINING FOREIGN ANOMALOUS HEALTH INCIDENTS TARGETING AMERICANS IN THE HOMELAND

[沈黙の凶器:アメリカの国民を標的にした国外勢力による特異な健康被害事例に関する調査]

Homeland Security Committee | Republican

U.S. House of Representatives

H2-176 Ford House Office Building

Washington, DC 20515




What: A Subcommittee on Counterterrorism, Law Enforcement, and Intelligence hearing entitled, “Silent Weapons: Examining Foreign Anomalous Health Incidents Targeting Americans in the Homeland and Abroad.”

When: Wednesday, May 8, 2024, at 2:00 PM ET

Where: 310 Cannon House Office Building

 https://homeland.house.gov/hearing/silent-weapons-examining-foreign-anomalous-health-incidents-targeting-americans-in-the-homeland/

Sunday, March 24, 2024

西田公昭 『マインド・コントロールの仕組み』

 西田公昭監修. (2023). マインド・コントロールの仕組み. カンゼン.


一般的に人が意思決定を下す際には、トップダウン情報とボトムアップ情報のふたつの情報処理を行っています。…マインド・コントロールが操作するのは、まさにこの情報部分で、意図的に都合のいい情報のみを与えることで相手の思考を操作し、自発的にこちらが望む通りの決定を引き出せます。(p.10)

マインド・コントロールの大きな特徴は、相手に悟られることなく、その思考や行動を操ることができる点にあります。したがって、マインド・コントロールの支配下に置かれた本人には、自分の心が操作されているという自覚がありません。…一度その支配下に置かれると抜け出すことは容易ではありません。

(p.8)

完全に支配下に置かれた場合、財産を騙し取られるといった被害者になるだけでなく、支配者に命じられるまま犯罪行為に及んでしまうことすらあります。…殺人やテロは言うまでもなく「悪」と呼べる行為です。しかし、[オウム真理教]信者たちは、マインド・コントロールによって、それが「正しいこと」だと信じ込まされた結果、通常であれば絶対に行わないであろう凶悪な犯罪に手を染めることになりました。

(p.9)

オウム真理教のマインド・コントロールの手口

信者は、リーダーである麻原を絶対的に崇拝します。その麻原が、犯罪行為を正当化するような教えを説いたのです。たとえば、法律上は殺人となるような罪を犯したとしても、それは今の社会が目覚めていないからで、真に覚醒したレベルから見れば、その人は救済されたのだというような具合です。(p.144)


マインドコントロールと殺人・遺棄致死事件

「信頼関係を築いて相手の弱みを握る」

「人間関係を破壊し孤立させる」

「共犯関係の構築による罪の意識の植えつけ」

「情報操作によって恐怖心をあおる」

(p.117)

尼崎連続殺人・傷害事件

美代子が家族を支配するために用いたのが、相手の弱みにつけ込んで、分断させる手法です。当時高校生だった少女は、かねてから「母や姉は私のことを見下しているのではないかという劣等感を持っていました。美代子はそうした少女のコンプレックスにつけ込み、自分は少女の味方であると思わせる一方で、暴力で母親を追いつめ、少女の前で「いらない子だった」と言わせるなどして、少女と母親の絆を完全に断ち切ります。

これ以降、少女は家族よりも美代子のほうを慕うようになり、母親や姉に対しても虐待を行うようになるなど、完全にマインド・コントロールされた状態になります(少女の母親と姉は激しい暴行や虐待によって、のちに死亡)。

(p.115)


たとえば、ある人が多額の献金をしたとして、それが本当に「本人の自由意志とみなせるもの」なのか、それとも「マインド・コントロールされた結果なのか」を客観的に判断することは、なかなか難しいわけです。…一方で相手を支配してやろうとするマインド・コントロールの”行為”については、比較的わかりやすい。ですから、そこについての規制はかけられるのではないかと思っています。…これは個人の合理的な意思決定を妨害する行為、つまりその人の尊厳や基本的な人権を侵害する行為ではないのかという議論に持っていけるとは考えていて、そうした法的規制を議論していくことが、将来的な被害を減らすという意味でも今後取り組むべき課題であると思っています。(p.46)

マインド・コントロールから身を守る10の方法

(1)つねに誠実でなくてもよい。


(2)相手の誘いを断ってもいい。


(3)答えをすぐに出さなくてもいい。


(4)知らないことを恥じなくていい。


(5)難しい問題には正解はないと心得る。


(6)すぐに親しくなろうとする相手に注意する。


(7)おかしいと感じたら全力でその場から逃げ出す。


(8)他人に依存しないで自分で考える。


(9)従うことに慣れてはいけない。


(10)できる限り情報を集める。