Tuesday, December 17, 2019

由井寅子『毒と私』

Yui, T. (2011). Doku to watakushi. Tōkyō: Gentōshamediakonsarutingu. 

「山口市の助産師(43)が、出産を担当した同市の女児に、厚生労働省が指針で与えるよう促しているビタミンKを与えず、代わりに「自然治癒力を促す」という錠剤を与え、この女児は生後2か月で死亡していたことが分かった。
助産師は自然療法の普及に取り組む団体に所属しており、錠剤はこの団体が推奨するものだった。 …」(『読売新聞』2010年7月9日)


名前こそ出ませんでしたが、記事本文中にある助産師が所属する団体とは、日本ホメオパシー医学協会のことです。記事は明らかに私たちを非難する方向性で書かれていました。
記事の内容は私たちの把握している事実とは異なっていました。事実は、…母親がビタミンKの投与を不要だと言うので、ではせめてレメディーを、と与えただけだったのです。
(p.p.104-105)


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2011年3月2日から5日にかけて、ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンなどを同時接種した子どもたちの死亡事故が5例起きました。
…厚生労働省は事故を受けて、一時的に接種を見合わせるよう通達しましたが、医師など専門家による「接種と死亡に直接的な明確な因果関係は認められない」との結論を受けて、接種再開を決めました。誰が見たって「因果関係」がないはずはないのですが、「直接的」で「明確」でないためにうやむやにしてしまおうという魂胆でしょうか。

(p.160-161)

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予防接種法は、GHQの意向を受けて194年に厚生省が作ったものです。これは政府の文書にも記録されている事実です。…ちなみにアメリカで予防接種プログラムの決定システムができたのは、1964年です。日本人で人体実験を十分に行ったうえで満を持して推進したのでしょうか。…今もなお、インフルエンザの集団予防接種をとりいれるかどうかなどの議論で、日本の「先進的」な過去の試みを参考にしていると言われています。
日本では、予防接種の拙速な施行によって、公布された1948年には早くも被害者が現れました。メーカーのミスによってジフテリア・ワクチンに毒素が残ってしまい、このワクチンを接種した子どもの中から83名の死者が出たのです。(p.p.190-191)

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…立石和さんの書いた『「元祖」野菜スープ強健法 ガン細胞も3日で消えた⁉』は1994年3月に発売されるやいなやベストセラーとなりました。翌月には医師が野菜スープの効果を追認した便乗本まで出版されたほどです。
ところが、出版から3か月後、立石さんは突然、逮捕されてしまいます
…実は私は日本でホメオパシーの普及活動を始めた頃に、この立石さんの友人にお会いしたことがあります。彼は私に次のように忠告してくれました。
「気をつけてください。自然健康法は、必ず叩かれます
その言葉通り、ホメオパシーへのバッシングが、マスコミとネットを使って行われました。…ホメオパシーが広がると困る人たちいるだろうことは想像できます。
マスコミが決して中立ではないことは、正力松太郎氏がCIAの意向に従って原発を推進してきたことからもよくわかります。(有馬哲夫『原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史―』)
(p.p.194-195)

Wednesday, December 11, 2019

甘利俊一 『脳・心・人工知能』

Amari, S. (2016). Nō, kokoro, jinkō chinō: Sūri de nō o tokiakasu

心を読む ――脳と機械を結ぶ技術BMI

脳科学は、脳の仕組みを明らかにしたい。もし脳内の情報が外部から読み取れるなら、研究が大いに進む。こうして登場したのがBMI(Brain-Machine Interface)である。

…さらに、外部から脳に情報を直接に入れることができれば、これもまた素晴らしい技術が作れる。目の見えない人の脳に、視覚情報を直接送ることができるようになるかもしれない。現に人工内耳は、聴覚細胞を直接に刺激して外の情報を脳内に送り込む。


…BMIは脳内の情報を取り出して解読し、また、脳に情報を直接送り込む技術の総称である。脳内から取り出した情報をコンピュータで解読し、これを処理して再び脳に送り込めば、脳とコンピュータをつないだ仕組みができあがる。アメリカの軍事技術として誕生したとはいえ、これは脳科学、そして現代社会に大きな影響をもたらす技術である。(p.p.219-220)

ATR脳情報通信総合研究所の川人光男に代表されるグループは、脳の活動の情報をただそのままフィードバックして知らせるのではなくて、しかるべき部位の脳情報を解読してこの情報[いまが望ましい状態にいるか否か]をフィードバックする技術を開発した。…これを「脳情報複合フィードバック法(DecNef:Decoded Neurofeedback)」という。(p.221)

…斜め30度の線分を検出する[脳内の]部位のニューロンが活動したとしよう。脳は必要なとき以外にもいろいろな活動を行っているから、これは線分を見ていないときでも起こるし、他の角度を見ているときや安静時にも起こる。

被験者には何を測定しているのかを知らせることなく、この脳内情報を解読して、30度の線分に対応するニューロン活動があれば、いまはよい状態、そうでなければ悪い状態であることを知らせる。

被験者は何がよいのか、何を基準としているのかはまったくわからない。それでも、このように状態のよい・悪いを知らせることで、この被験者の30度の線分に対する検出の感度がわずかとはいえ上がり、これが何週間も保持される。脳の回路のシナプス結合に変化が起こり、ダイナミックスの特性が変わったといってもよい。脳への介入である。(p.222)

心を操作することも可能になる

脳は驚くほどの可塑性があり、脳内のシナプス結合は常時変えられる。…そこで、脳の情報を解読し、その状態が何に対応する[反応している]のか、その[状態にあることの]良し悪しを[実験者が]決めてフィードバックすれば、[被験者の]脳はその方向に[シナプス]結合を変えていくというわけである。…これだと、何をフィードバックしたのかが本人にわからないうちに、特定の情報に適合するように脳を改変できることになる。

女性の顔写真を何枚か準備して被験者に見せたとしよう。被験者は、写真を見てどの女性が好きであるかを答える必要はない。ただ、実験者がある女性の顔を見たときに被験者に起こる脳内活動をよい状態であると、仮に決める。そして被験者の脳内にこのパターンが起こるたびに、これを好ましい状態として、いま何を見ているかには関係なくフィードバックしていく。
すると、被験者には何もわからないうちに、実験者が決めた特定の女性に対する好感度が上がり、これがある期間保持される。つまり、誰かを好きになるという感情を、本人が知らないうちに操作できてしまうのだ。(p.223)

Friday, November 29, 2019

島村英紀 『多発する人造地震』

Shimamura, H. (2019). Tahatsu suru jinzō jishin: Ningen ga hikiokosu jishin. Tōkyō: Kadensha. 

第7章 地下核実験が起こす人造地震

<地下核実験を地震に見せかける工夫>

 地下核爆発は隠れて行うのに好都合で、探知されにくいという面も持っていた。こうして、地下核爆発は隠れて行われるようになり、米ソ両国では、地震学の知識を動員して、核爆発による地面の振動を自然に起こる地震に見せかける研究もさかんに行われた。(p.p.119-120)

Thursday, November 14, 2019

福山隆・池田整治 『[親米派・親中派]の嘘』

Fukuyama, T., & Ikeda, S. (2013). Shinbeiha shinchuha no uso: Nihon no shin no dokuritsu o habamu mono no shotai. Wanipurasu. 

防げたはずの地下鉄サリン事件

池田 …松本サリン事件が起こった際、事件現場の土壌の薬剤サンプルと、以前から異臭事案が問題視されていた上九一色村の土壌を、自衛隊の化学部隊にサンプリングさせてみたんですね。そうしたらピッタリ合ったんです。ということは、間違いなく松本サリン事件はオウム真理教によるものだと判断できるわけです。…
福山 
松本サリン事件直後の時点で?

池田 はい。[…]その時点で、普通ならば、当然すぐにオウムに強制捜査が入ってもおかしくありません。ところが、警察の上層部というか、そういうところが「待った」を掛けたのです。要するに、「オウムには手を出すな」と。[…] ②のグループ[※アメリカ議会や歴代アメリカ大統領など]から日本政府に圧力が掛けられたようで、国家公安委員長レヴェルから現場に「待った」が掛かったというわけです。(p.p.23-24)


焼け跡から武器が!驚くべき治安機関各所での危機対応の温度

池田 神戸の震災現場に出向いて情報収集をしているときに、ひとつの兆候として、焼け跡から武器らしきものが出てきたという情報がありました。それは、この震災で最も火災被害の大きかった神戸市の長田区からです。長田区といえば、在日朝鮮人が多く住んでいたことで知られていました。
福山 それは、そこに北朝鮮のコマンドがいたことの証左ではありませんか?
池田 
そうです。(p.30)
[…]
池田 [オウム真理教事件の]事後、強制捜査でわかったのですが、彼らはサリンの材料である三塩化リンの入ったドラム缶を七〇〇本持っていました—―これだけでも、仮にたった一本を東京に落としたら数万人が死ぬんですよ。それを七〇〇本持っていたわけですから……。
「[サリンを搭載した]ヘリが飛び立ちそうになったときはどうするのか?」と[警察に]聞いたら、「いや、それはそのときに考えるから」と。……もう、まったく話にならないわけです。(p.33)

麻原彰晃はトカゲの尻尾切り。「本体」は残存している

福山 もし仮に、ロシアや北朝鮮が一連の事件に関わっていたとするならば、大規模なテロを宗教団体に実行させるためには、破壊工作のスペシャリストやエージェントを対象国に入れるものですよね?あるいは各国の大使館、北朝鮮大使館はないから朝鮮総連あたりがサポート、コントロールして、日本の治安機関に捕まらないようにするはずです。…
池田 当然、オウムの中にそういうエージェントが入っていたと思います。そして、彼らが設備を全部つくったのではないでしょうか。[…]実は、サティアンの中でドラム缶七〇〇本の得体のしれない薬剤が見つかったとき、…直ちに、陸上自衛隊化学学校の甲元一佐以下11人の幹部だけで編成した処理チームをヘリで呼びました。…彼らに言わせると、これはもう専門の軍人がつくっているものだと。専門家が「イラク以上のもの」と言っているのですから、間違いないでしょう。[…]だから、そういう製造施設をつくることのできるレヴェルの連中がいっぱい来てたわけですよ。そして、「東京地方雨」というAMの怪電波で、日本の治安機関がそちらに向かっているから、とにかく逃げろということを、そうした人間に伝えたんでしょうね。
福山 それで、本部に潜入していたプロたちはもう姿をくらましていて、もぬけの殻になっていたと。
池田 結局、麻原彰晃という存在は、トカゲの尻尾切りなのですね。オウム教団施設に捜査が入って、教祖たる麻原が逮捕されても「本体」がそのまま残っているわけです。
福山 現下も残っている?
池田 はい。ということは、それは相当な影響力を持っているということなんですよ。逆に言えば、その影響力を「知っている」人たちはおびえながら、抗うことができないでいる。(p.p.43-45)


サリン事件と原発事故に通じる情報隠蔽

池田 松本サリン事件の後、オウムへの強制捜査に「待った」を掛けたお偉いさんたちは万死に値しますが、「三・一一」後のスピーディ[緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム]情報の隠蔽もひどかったですね。福島県浪江町の人たちが必死に避難しているところ、そこが二日後には高濃度の放射能で汚染されることがわかっているにもかかわらず、結局、最後まで言わないなんて……。でも、その情報はアメリカには政府が伝えているんですよね。
福山 アメリカに伝えたと同時に、アメリカは空中から正確に測定して。
池田 そうそう。にもかかわらず、出動する自衛官にも教えていないんだから。[…] 知らないうちに、気分が悪くなった作業員が現場からいなくなっているんですよ。でも、その作業員たちは病気になっても絶対訴えないという契約書にサインをしているから。ましてメディアとは絶対接触しない契約になっている。(p.p.60-62)
[…]

池田 ほんとにきちんと検証すれば、当時の政府にいた人たちは刑事訴訟ものですよ。人の、住民の「命」がかかっている話ですから。お金の話だったら、民事ですけどね。そんな人たちがずっと政権に居座っていたのに、特捜は何をやっていたかといったら、原発に反対する人を捕まえていた。(p.137)

自衛隊の人件費を削って賄う「トモダチ作戦」予算

福山 福島の話に戻りますが、現場に入った自衛官たちから後々、被曝障害が出るかもしれませんね。
池田 出ますよ。数字はあやふやですが、五〇〇〇人ぐらいは出ると思います。 […] それに放射線の測定も、ガンマ線だけではなく、アルファ線、ベータ線も調べなかったらキチンとしたことはわからないですよ。ほかにストロンチウムやプルトニウムなども測定しなきゃ。… しかし、そうした情報は派遣された自衛隊には行かなかったんです。米軍には入っていたので、「トモダチ作戦」と銘打ちながらも、八〇キロも離れていて支援していたわけです。しかも、「トモダチ作戦」の負担金、[※日本人の税金から]今後五年間で思いやり予算として一八五〇億円ですよ。(p.p.64-65)
[…]
池田 あと驚いたのは、例えば北海道有事が起こった場合のことです。一部の北海道の部隊が戦っている間に、ほかの陸上自衛隊が応援のために北海道に駆けつけることになるのですが、その部隊を北海道に送る輸送船を、当然、海上自衛隊の艦隊が守ってくれなきゃダメなんです。ところがですよ、その艦隊を海上自衛隊は出せないって言うんですよ。なぜなら、アメリカの空母を守らなきゃいけないからだそうです(笑)。…「いや、俺たちの役目はアメリカの艦隊、空母がやられないための駆逐作戦をすることだから」と……。
福山 海上自衛隊は[アメリカ]空母機動部隊の一部ということですね。(p.p.202-203)
[…]
池田 東南アジアで米軍基地を置いている国はもはやありません。とはいえ、中国がベトナムやタイ、フィリピンでいろいろやっていますが、全然、侵略はされていません。…だから、同盟と基地を置くということは別物なんですよ。基地は、その国を隷属させるために置いているものだと、そろそろ日本人は気づかないといけません。(p.p.269-270)

ハリウッド映画でわかるアメリカ

池田 ‥ハリウッド映画を見てみると、彼らが何をやりたいというのが、けっこうよくわかりますね。[…]例えばですね、『地球が静止する日』(一九五一年公開。二〇〇八年リメイク版公開)という作品があったんですよ。[…]人類を滅ぼす小さな虫って何を意味しているかというと、要するに人工ウイルスなんです。‥これから何がわかるかというと、彼ら―世界金融支配体制―、は次にはウイルスでテロを起こし、人類を滅ぼそうとしていることです。
「そんなバカな」という人がいますが、現実に彼らはウイルスを使った人口統制を過去に行ってきました。例えば天然痘の種痘と偽って黒人に投与していたのがエイズ・ウイルス、それから中国人をターゲットにしたのがSARS、そして日本を狙ったのが鳥インフルエンザだったと私は考えています。(p.76)


ウイルス・テロの狙いは金儲け?

池田 実は、創価学会と対立している五井野正博士という人が、かつてSARSウイルスが中国で集団発生したときに、『週刊ポスト』誌上で「SARSは中国人を狙った生物兵器テロである」と指摘したら、拡大感染はピタッと止まったんです。それから、豚インフルエンザが第一次世界大戦のときと同じウイルス・テロであると、私が指摘した記事が『週刊SPA!』に掲載されると、それ以降のメディアを使ったワクチン接種キャンペーンは止まりました。
[…]
宮崎県の口蹄疫ワクチンに続いて、日本人を絶滅に陥れる可能性のある「子宮頚がん予防ワクチン」狂騒が始まりました。…子宮頸がんワクチンには、動物の断種のためのタンパク質、蛾の遺伝子を操作したアジュバンド(補助剤)を入れています。しかも免疫増強剤として、有機水銀やアルミニウムなども含まれていると言われているのです。 あんなものを打ったら子供が、できなくなりますよ。…ちなみにアメリカでは下流階級の子女が多く通う学校などでは全員接種が義務づけられていますが、上流家庭の子供は接種していないそうです。(p.p.77-78)

Saturday, September 28, 2019

白石拓 『透明人間になる方法』

 -- スーパーテクノロジーに挑む
Shiraishi, T. (2012). Tōmei ningen ni naru hōhō: Sūpā tekunorojī ni idomu. Tōkyō: PHP Kenkyūjo. 

念じてコンピュータを操作

二〇〇九年にはホンダのロボットASIMOを脳で念じて動かす実験に成功した。…「近赤外光脳計測装置(NIRS)」と脳波計測の二つを併用して、被験者の脳神経活動の読み取りを強化した。NIRSは、近赤外線を頭蓋から照らし、脳に当たって反射する光を捕らえて、脳血流の変化を計測する装置である。
被験者はまず「右手」「左手」「足」「舌」の単語について、それぞれ自分のイメージを思い浮かべる練習をする。…そして、そのときの神経活動データを蓄積し、計測データから単語を特定するアルゴリズムを構築した。こうした結果、被験者が「左手」(のイメージ)を思い浮かべただけで、ASIMOが左手を上げる動作をすることに成功した。(p.p.40-41)

脳リーディングを利用した犯罪捜査

たとえば、被験者を尋問する際、犯人しか知り得ない事実や写真を提示すると、被疑者がもしそれを知っていればP300という事象関連電位[脳波]が発生する。P300の発生も不随意で、被疑者が「知らない」と答えても記憶と合致すると必ず出るのでウソをつくことができないのだ。(p.49)

脳内の映像を読み取るfMRIと認識パターン


さらに二〇一一年、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校の西本伸志研究員らのチームが、やはりfMRIを使って、映画の予告編を見ている被験者の脳活動を読み取り、ぼんやりとした映像ではあるものの、動画の再生に成功した。…この技術を使えば、人が見ている夢や空想していることをディスプレイに映し出すことも不可能ではない。脳リーディングの技術は確実に進歩している。(p.53)

Wednesday, September 11, 2019

亀岡修、百瀬孝 『よみがえる戦前日本の全景』

Kameoka, O., & Momose, T. (2015). Yomigaeru senzen nihon no zenkei: Okurete kita kyōkoku no seido to shikumi. Tōkyō: Mainichiwanzu. 


非常に強力だった警察の権力

…悪名高い特別高等警察(当初は特別高等課)が警視庁につくられたのは、一九一一年(明治四四年)です。こちらは各種社会運動の取り締まりを任務にしたので「思想警察」ともいいました。…彼らはスパイを潜入させ、拷問を行い、法を乱用しましたが、それは当時の世界の警察では当たり前のことで、特別高等警察に限りませんでした。
 また、全国の特高を統制していたのは内務省警保局の保安課で、全国の特高課長人事を握り、全国一斉検挙などの指令を出していました。戦後、特高警察官は一斉罷免になっていますが、保安課長と所属員は内務事務官という名であって警察官ではなかったため、罷免には該当しませんでした。ただし、課長は自発的に辞職しました(のちに復活)。 (p.p.57-58)


米兵による自動車強盗事件

[米軍]先遣隊が入って早くも三日後には、進駐軍による強盗事件が発生しています。
一九四五年(昭和二〇年)八月三一日、夜。大蔵省主税局長の池田勇人、大日本麦酒(現アサヒビール)常務の山本為三郎が、大蔵次官を辞めたばかりの田中豊を誘い、銀座の牛鍋屋で送別会を開いたあとのこと。三人の乗る車が米兵に止められます。手には大型拳銃を持っており、「降りろ」といわれ、三人と運転手、そして助手席にいた大蔵省課長の前尾繁三郎はすぐに降ります。代わって米兵たちが乗り込み、猛スピードで走り去りました。


…このとき国民が最も不安に感じていたことが、そういった略奪と、米兵による婦女子に対する暴行です。…イの一番に進駐してきた横浜界隈からは大量の避難民が流れ出し、京浜国道にひしめき合ったといいます。田舎に逃げ出そうと上野駅や新宿駅も疎開騒ぎのときのような混雑だったそうです。…心配したほどではなくても、やはり強姦事件は起きていますし、その防波堤をつくろうという動きも起きています。(p.p.264-266)

Saturday, July 27, 2019

茂幸雄『自殺をくい止めろ!東尋坊の茂さん宣言』

Shige, Y. (2010). Jisatsu o kuitomero tōjinbō no shige san sengen. Tōkyō: Sanseidō.

 課長は…別名「瞬間湯沸かし器」とまで言われる直ぐ大声を出す口の悪い人で、一般人がいる前であってもヒステリックに大声を出して指示する嫌なヤツでした。
 こんな嫌なヤツですから他の職場にも知れ渡っており、そこへの異動が決まったときには同僚たちから同情の目で送り出されたのです。

…仕事に対する指示は厳しく、一つの小さなミスでも見付けだしては課長席の前に直立不動で立たされ、子供に物を言っている口調で延々と指示するのです。その態度は、脇から見ていると指示をして楽しんでいるといった感じであり、相手が何度“判りました”と言っても、同じことを何度も何度も言い、人に恥をかかすことなんかは平気です。

…[業務の]結果を報告しても、話の内容もろくに聞かず、何度も言い直しさせられました。そして報告に対する回答を求めても何も答えられず、その挙句にはお前が考えてチャンとしておけと言うだけで、ただ大声を出して指導・育成の名目で彼を罵るだけでした。
 前任者である2人の職員がうつ病に罹り、職場を去って行ったとの噂もありました。

…そんなことから寝不足も続き、ミスが多くなった半年後のある日、月報の締め切りが迫ったとき、“お前はこの職場には適さん!お前は用務員以下の人間だ”と言われてしまい、目の前が真っ暗になって体の震えが止まらず、病院に担ぎ込まれてしまったのです。そして、2日間の入院休暇をとった最中に東尋坊の岩場に立っていたのです。
 この話を聞いた私は、これこそがパワー・ハラスメント(職場の上下関係を不当に利用して行う嫌がらせやいじめ)の典型的な被害者(名誉棄損・侮辱・傷害・労災など)だと考えたことから、この実態を証拠化するため、嫌がる彼を説得してボイスレコーダーを持たせて出勤させ、午前中にあった同僚たちとの会話を録音させ、監察室を訪問して善処をお願いしたのです。
 監察室ではこの事態を重くみて真剣に取り上げていただくことになり、課長には従前から精神障害があるとのことで以降休職扱いになり、彼には、裏で私たちの働きかけがあったことも知らされずに無事職場に復帰させることができました。(p.p.39-43)

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 死を覚悟して東尋坊の岩場に立った人たちが訴えていた言葉から見えてきた日本の社会の問題点です。
1 宗教関係者による対策の怠慢です。
  宗教施設を訪問しましたが、どこの施設も受け入れてくれなかった…。
 との訴えがあります。
  [...]


2 教育関係者による対策の怠慢です。
  義務教育時代、そこでいじめにあい、…それがPTSDとなって大人になっても人との交際ができず、人生の落後者になってしまった…
 との訴えがあります。
 [...]


3 精神科医による対策の怠慢です。
  うつ病になって精神科へ行ったが、副作用の強い薬を勧められ、カウンセリングも3分で帰された。…薬しかくれずに放置されている。このまま生き続けるのが辛い…
 との訴えです。
…現実は、お金儲けになる投薬の部分しか処方してもらえず、「環境の調整」とか「休養」については、ほとんど指導されずに放置されています。
…「自分の患者さんの半数近くの人が自死で亡くなっていると、堂々と発表された医師がいました。…医師として自分の患者さんが…バタバタと亡くなっているのを知りながら放置している現実について、何も心が痛まないのでしょうか?


4 行政による対策の怠慢です。
  生活苦から生活保護の相談をしましたが、住まいのない者には生活保護の適用は出来ないと言われました。…
 との訴えです。
…何の保護の手も差し伸べられずに路上に放り出されたと言う人もいました。
 [...]


5 「自殺の名所」と言われている自殺多発場所に対する対策の怠慢です。
  自殺の名所と言われている場所へ数箇所行き、最後の決断(再起か自殺か)をするために訪れました。しかし何処の名所へ行っても“お好きな所からどうぞ”という場所になっていました…
 との訴えがあります。
…福井県・東尋坊では、年間200人以上の自殺企図者が集まって来ており、過去30年間に600人以上もの人が自殺で亡くなっているのに、放置されているのです。…また、ここでの自殺防止活動をしている我々の団体に対しても妨害活動があり…ただ静観していろと言うだけでした。


6 警察による対策の怠慢です。
 自殺企図者として一時保護をされたが、自分の悩み事の問題解決にはならず、再び、自殺願望の気持ちが強まり、岩場に立ってしまいました…
 との訴えがありました。
 [...]


7 報道機関による対策の怠慢です。
 東尋坊における自殺の現状については、残念ながら、地元地方紙による報道が殆どなされていない現実です。…地元から何等かの圧力がかけられているため事実の報道が出来なくなっているのだとしか思われません。

(p.p.60-69)