Saturday, October 23, 2010

『人はなぜ足を引っ張り合うのか ~社会心理学からの学び』 斎藤 勇

相手を監視したり不利な立場に追い込めるなどの

強い権限を持つと、人はオモチャを与えられた子供と同じで、

それを使って遊んでみたくなるのです。

ただし・・・むやみやたらとそれを振り回すと生産性は落ち、

組織は疲弊していきます。

(p.205)

『情報操作のトリック』 川上和久


<<情報操作の類型>>

1.NAME  CALLING : 攻撃対象の人物・組織・制度などに憎悪や恐怖の感情を訴える、
           レッテルを貼る
2.華麗な言葉による普遍化 : 権力の利益や目的の正当化に使われる
3.転換:権威や威光により権力の目的や方法を正当化する
4.証言利用:尊敬・権威を与えられている人物を用いる
5.平凡化:大衆と同じ立場にあることを示して安心や共感を引き出す
6.いかさま:都合の良いことがらを強調し不都合なことがらを矮小化したり隠したりする
7.BAND WAGON:皆がやったり信じていることを強調し大衆の同調性に訴える

 (p.88) 参照

五感情報通信技術に関する調査研究会 報告書

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/gokan/pdf/060922_2.pdf
人間は五感(通例では、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚が五感として称されているが、本報告書では人間の感じるすべての感覚を五感として扱っている。)を通じて外界の情報を収集し、その情報により周辺の状況を分析し、適切に反応している。五感情報を通信するという技術は、これまで聴覚情報と視覚情報が中心であった情報通信の分野に新たなディメンジョン(次元)を付加するほど革命的なものである。本報告書は、本研究会における検討結果をとりまとめたものであり、これにより我が国における五感情報通信技術の研究開発が推進され、21世紀に相応しい新たな情報通信社会が開かれることを強く期待する。


(本文より抜粋)

『ストーカーからあなたを守る本』 高畠 克子 渡辺 智子

<抜粋>

ストーカーは
・相手に心の傷を刻み込む犯罪
「被害にあった者でなければ、その犯罪の残虐さ卑劣さ
は到底わからない」
・ストーカー行為を通して相手の心の脆い部分や繊細な
部分に忍び込み、癒しがたい傷を刻み付ける。第三者には
なかなかひがいの実態がつかめないのはこのため。
(p86)

・被害者はたった一人で、自分の人格が侵害され、
徐々に破壊されていく現実に向きあい続けなければならない。
・加害者の異常性に巻き込まれながら、過剰なストレスに
さらされて、自分の心が意のままにならないもどかしさを
感じ始め、いつしか正常心を失っていくのです。
(p.87)

「学習された無力感」-- Double Bind
 –- 長期間、持続的な暴力にさらされることによって
起こる心の変化。・・つらいことや、不当なことにも
敢えて声をあげず自分の心の中に抑え込み感情をマヒさせて
身を守ることを覚えてしまうこと。
(迷路を通って正しい道を選びゴールに辿り着かせる実験で、
鼠に)正しくても誤っても電気ショックという罰を与えると、
どの迷路も走らなくなり、うずくまってしまう。
(人間も同じく)自分は何もできない人間、とるに足らない
つまらない人間だと思い込んで、極端に自己に対する評価を
低下させる傾向がみられる。
・・それに反比例して自分に暴力をふるう人間、つまり加害者の
イメージは大きく実力のある圧倒的な存在のように巨大化していく。
(p89)

ストーカーの存在やストーキングも、それをうまく表現する
言葉がなかったために、ずいぶん長い間、潜在化し、
表舞台に上がることがなかった。
(ストーカーという)「名前」がなかったために社会問題化
されてこなかったということは加害者が加害者として裁かれる
こともなく、また被害者が被害者として保障されることも
なかった・・・
 
 加害者の不気味なつきまといや執拗な暴力的行為に
日夜分かたず長期間傷つけられているのに、ある時は
「痴話げんか」ある時は「スキがある」・・・といった自分の
周囲の人たちからの心ない言葉によって、二重三重に
傷つけられることも少なくない。
 このような二次被害はレイプなどの性犯罪に今なお
根強くつきまとっている。
(p.11)

 相談しても「痴話げんか」「思い過ごし」「考え過ぎ」と
いってまともにとりあわない人がいる。(そのため被害者は
相談することで)かえって傷つけられる。一人で陰湿な被害に
傷つき悩んでいる現在進行形の被害者の数ははかり知れない。
(p.20)

Friday, October 22, 2010

『社会悪のルーツ』 Donald W. Black

『  社会悪のルーツ  』 抜粋
(原題 “Bad Boys, Bad Men,” スタンフォード大教授・D.W.Black.  1999 Oxford Univ. Press )


【反社会性人格障害の克服】

  これらのアドバイスをほとんどの反社会性人格障害者(以下ASP)は
一笑に付すだろう。
そして自分は人生を十分コントロールしているし精神科やら心理学者などの助けは
必要ないと言うに違いない。そういう態度こそ彼らの典型的な「事実の否定」の
パターンであり、 彼らが反社会性人格障害者たる所以なのだ。(P.211)

①自分がASPであることを認める
②ASPであることを問題を起こすことの口実にしない
③進んで治療を受ける
④自主的に学ぶ
⑤ASPは一生の障害であると自覚する
⑨自分の罪を実感することを学ぶ

【具体的説明】
①自分がASPであることを認める
 長年にわたり自分に問題があることを否定し、他人を責めてきたのだから、
たやすいことではないが、まず最初にこれができないと何も始まらない。
自分はASPという人格障害があると自覚することで、これまで
自分がしてきたことがわかる。

②ASPであることを問題を起こすことの口実にしない

  あなたがASPであるという事実は悪い行いをする言い訳にはならない。
ASPという障害があっても、それで物事の正しい判断ができなくなるわけではなく
行動の責任はあなたも(100%)負っているのである。

 ③進んで治療を受ける
  自分にその障害があると知ったことで残りの人生を改善する機会とすればいいのである。
 ④自主的に学ぶ
・理由をつけて弁解しようとする気持ちが起きたら抵抗する
・そいう気持ち(手前勝手な正当化)が湧くことこそASPの症状であることを自覚せよ
・その症状は自分でコントロールできることを自覚せよ


⑤ASPは一生の障害であると自覚する

  なってしまった以上あなたは自分の症状をコントロール

することに100%責任がある。大切なのはあなたが

どうしてそのよう(i.e. 集団ストーカー犯罪に協力すること)に
なってしまったのかではなく、その事実に今後どう対処していくかである。

⑨自分の罪を実感することを学ぶ

  何か悪いことをすれば嫌な気分になるのが人間の正常な感覚だ。
だがあなたはそうならない。他人を責め自分の悪事に

言い訳ばかりを考えている。自分の責任を受け入れる練習から始め、

あなたの行動が他人にどのような影響を与えたかについて理解すること。

  感情は自然に湧き出てくるのだから、出てこない感情を

出そうとしても無理だが考え方を変えることはできる。

そうすることによって、その結果出てくる感情を
練習するとよい。

【今後の課題】

 この障害(ASP)のために社会がこうむる経済的被害は、

膨大な額に及んでいるが人々がこうむる精神的、

身体的被害はその比ではない。
 この問題の原因の究明と予防ということになると

政治的な理由からどの政党も及び腰になる。

もし特定の民族や人種に、強い暴力的傾向が

遺伝的に伝わっているなどということが

発見されでもしたら大問題になってしまうからだ。
  とはいえ、正しい情報を世に伝え

広めていく努力を続けなければならない。

【ASPの周囲の対処】
 ①診断を受け入れる ---( 関わっている者が)

  ASPと知らされたら専門家からよく学ぶ。
   参考になる本を読んでさらに理解を深める
  ②治療を受けるよう本人を説得する
   ・自分の望むように物事を運ぶために家族や

   周囲の心を操っていられた日々は
   終わったことを悟り、そういう自分を変える努力を 

   しなければならない。
   

 「身内をかばう家族」

  ある程度の地位や財力のある人間にとって

息子がASPであるなどとは一家の面汚しだ。

息子の本当の姿が世間の知るところとなったら
「いったい親はどんな育て方をしたのだ」と。
だから、どんな犠牲を払ってでも問題は

隠さなければならない、と考える。
(p.220)

③ 問題のある子供には毅然とした態度で臨む
・成人のASPも自分の行動の責任は自分にあることを学び、

自分がしたことの結果、起きたことは受け入れなければならない。
   ・・・ということがASPは、わからなくてはならない。

④虐待から身を守る・・・ASPの配偶者(あるいはそれに準じる人)は、

その関係から脱出すること。 ASPは自分のフラストレーションを

解消するために相手をひどい言葉で攻撃して傷つけたり暴力を

ふるったり性的にひどく扱うなどの危険がある。
 ・・・脅しや暴力によって保たれている関係を断ったほうが

よい結果を生むことが多い。
 「なぜ自分は、この相手と別れないで同じ状態に

とどまっているのだろうか」
 と自問してみるといい。


【反社会性人格障害 ~可能性のある原因】

1.セロトニン・・・1976 Sweedenの研究報告:セロトニンの

分泌機能が十分に働かないこと(遺伝の可能性あり)が

反社会性人格障害(以下ASPと略す)という人格障害を

起こす上で非常に重要な役割を演じていると推測される

4.脳の損傷・・・「前頭葉」=感情の羅針盤、モラルを

認識する機能をもつ。
  下等動物においては未発達で、つまり脳の

この部分こそ人間を他の動物と区別し人間を

人間たらしめている“おおもと”といえる。

5.神経系の異常

  ASP(サイコパスまたは反社会性人格障害者)の

神経系は正常な人に比べて奇妙なほど反応が鈍く

彼らは慢性的に「覚醒が不足」している状態にあり
脳の機能を正常にするために刺激(犯罪など?)を必要としているという。

 ①脳波・・・ASPの脳波のパターンは脳の未熟さを

意味しており、つまりASPは体の成長に比べて脳の発達が遅い

・・・繰り返し他人の生活を破壊し、なお被害者の気持ちを

まったく理解しない人間は実際に情緒的または倫理的な
面で脳の発達が遅れていると思われる。

  ②心拍数・・・普通の人間なら不安がわき起こって

しかるべき状況、例えば嘘をついたり罪を犯したり

危険性の高い行動をしている時にも心拍数が上がらない。

・・・慢性的な覚醒の不足の証拠と考えられる。
  ・自分が犯した悪い行いの証拠をつきつけられても平然
  ・不安や恐れや罪の意識などまったく表に出すことなく平然と反社会的行動ができる
(p.154)

Wednesday, October 20, 2010

『監視国家―東ドイツ秘密警察(シュタージ)に引き裂かれた絆 』

Anna Funder. 白水社、2005年
 (原書:Funder, Anna. Stasiland. London: Granta, 2003. Print. )
                   Youtube: Anna Funder on fear and conservatism in government



  シュタージとは政府が国を掌握するための手段として利用していた国内治安機関だ。その任務は全国民に関するあらゆることを把握するというもので、そのためなら手段は選ばなかった。個人に対して誰が家を訪ねてきたか、誰に電話をかけたか、配偶者が異性と関係を持っているかどうかまで把握していたという。東ドイツ中に張り巡らされていた官僚制度だ。公然と、あるいは内密に、自分の仲間や友人のことをシュタージに報告している者が、全ての学校、全ての工場、全てのアパート、全てのパブに存在した。
(p.15)
 (シュタージ関係者)
「我々は効率を最大限に求めていました。最盛期には
教会のリーダーの65%が我々の情報提供者だったことは
あまり知られていない事実です。残りの35%もいずれ
にせよ我々の監視下にありました。
(p.261)  
(シュタージ)「東ドイツの頃はアパートのドアにだって
鍵をかける必要はなかった。」

(著者)確かに必要なかったのだろう。
いずれにしても家の中は覗かれていたのだ。
 (p.114)
「シュタージが二十年にわたってリビングでの風景を監視しつづけていたある家族のファイルを見た時、わたしは自問しました。こんなことまで知りたがるなんて一体どんな連中だったのだろうと」(p.351)
                  ******
  「建築現場で働いていた頃、わたしは怖かった。あまりに多くのことを知っていました。・・・運転中とか作業中に“事故”に遭うかもしれないし、そうじゃなくても他の方法で始末されると思いました。」「あそこに部屋があって一日中交替で務めていたのです。」と暗い屋根裏の窓を指す。 「この辺りで何が起きようと、あそこからなら全てを見張ることができました・・・誰もそんなことになっているとは知りませんでした。給油所の従業員は密告者でした。しかし彼らでさえ、あの上の部屋で何が行われているかまでは知らされていませんでした。」

 (本文に紹介されている実例)
 ・少なくとも二人の人間に民間人の格好をさせて配置
 ・ポケットに録音機 
 ・車のヘッドライトに隠しカメラ
 ・車中で行われている会話を拾える盗聴器 
 ・給油所にも隠しカメラ

 「・・・・バレることはまずありませんでした。」
(p.209)

                  ******

<監視の際のサイン>
1.気をつけよ、被験者(ターゲット)接近中
---- 手かハンカチで鼻に触れる
2.被験者移動中、遠ざかっている、もしくは追い越そうとしている
 ---- 手を髪で撫でる、あるいは帽子を軽く上げる
3.被験者は立ち止まっている
---- 片手を背中か腹に当てる
4.気づかれる前に監視を切り上げたい
 ---- しゃがんで靴の紐を結びなおす
5.被験者が引き返す
 ---- 両手を背中か腹に当てる
6.チームリーダーか他に監視中のエージェントと連絡をとりたい
 ---- ブリーフケースかそれに代わる持ち物の中身を調べる

・・・・  非常に不愉快な偵察者のための振り付け。・・・・女性用のハンドバッグには飾りとして留められた花柄模様に隠しマイクが仕込まれていた。アパートの壁に埋め込まれていた盗聴器や西側に宛てられたまま届けられることのなかった郵便物も山のようにあった。  (p.17)

             *****
「情報提供者にはどういう資質を求めていたのですか?」
・・・「正直で誠実で信頼に足る人物であるということです・・・もちろん省に対してということです。」と彼の訂正が入る。「他の人間を裏切ろうが何をしようが関係ありません。」
(p.265)
                             *****

「情報提供者にとってはどういう旨味があったのでしょう?」
 どれくらいの金額が支払われていたか興味があった。
  「哀れなくらいでしたね …… 」
 「そういう条件でどうして彼らは情報提供者となったのでしょうか?」
 「・・・・そうすることで自分が何者かであると思えたんじゃないでしょうか・・・・自分は他の人間とは違うんだと思えたのではないでしょうか。」
    ---- 裏切りそのものが報酬だったのだ ---- 誰かより上にいる自分を感じられるという小さくて根深い人間の満足感。愛人のようなこの心理を東ドイツ政権は利用していたのだ。
(p.265)


 (ある者は)浮気を「信頼していた親友」に相談。その男は職場に報告。・・・・シュタージは自分たち側の人間が組織に対して秘密を持っているという状態に我慢がならなかったようだ。
  (p.114)


「東ドイツが犯した過ちは国民に一つの立場を選択するよう迫ったこと・・・ 味方になるか、それとも敵なのか、ということです。」
「情報提供者になれと言い寄られた時に、それを他の人に話したり、あるいはきっぱり断った場合は?」
「どうにもならなかったんです。・・・しかし当時はどうにもならないと知りうる人などいませんでした。だからほとんどの場合、拒否できなかったのです。」
(p.354)

                   ******
元シュタージ:「国民を監視するためなら、どんな手段を使うことも許されていたのです・・・」
著者:「では、ここでいう『統制』の対象となったのはどういう人たちなんですか?」
 「敵です」
 「なるほど、どうやって敵を見わけるのですか?」
 「そうですね。誰かが調査対象となったら、それは敵対者として活動していると疑われたということなのです。」
 まさに独裁者の論理だ。我々はあなたのことを調査しています。ですからあなたは我々の敵です、というわけだ。
(p.263)

  政府も晩年には国民に対する逮捕、監禁、拷問といった直接的な行動をほぼ全面的に控えている。代わりに国民を黙らせる別の手段、国際人権団体のアムネスティが記録困難と判断するような手段を選択している。

<<「抵抗する」人々に対して徹底的にダメージを与える方法について諜報員たちに出されていた指示>>
     “心(精神)を殺す・・・、社会的、個人的、仕事の面において、健康面、政治に関していずれの点において葛藤を抱いたとしても解消できない状況を作り上げる・・・、恐怖心を起こさせる・・・、失望させる・・・、才能や能力を制限する・・・、行動能力を低減する・・・、以上の目的をもって、意見の相違や矛盾を利用する。”
         “匿名の手紙などを利用して特定の人物に関する噂を広める・・・、事実を混乱させることで相手にとって不名誉になるような状況を作りあげる・・・、相手がヒステリックになったり落ち込んだりするよう仕向ける。” (p.379)

                       *****
(イタリア人ボーイフレンドとつきあっていたという理由だけで
政府による集団ストーカー犯罪の被害を受けたユリア)
  「わたしの頃の東ドイツで起こり得る典型的な出来事は、わたしたちのキャリアが始まる前すでに破壊されているということで、それはわたしの身にもすでに起きていたことなの!それにイタリア人ボーイフレンドとも別れたっていうのに ---- それでも連中はまだ奪い足りないのよ!」 (p.144)
  「出国の申請書を出した後は身辺がホントにひどくなったの」「道を歩くだけで嫌がらせをしてくるし ---  ほとんど毎回呼び止められてたわ。車に乗っても頻繁に後を付けられて連中はわたしの人生が不愉快なものになればいいって本気で思っていたのよ・・・」
(p.366)

  「当時は他のことに文句ばっかり言ってたから ---- 進学できないとか就職できないとか。でもこうやって振り返ってみるとわたしが何に一番参ってたかっていうと完璧に監視されてたってことなのよね。人間がどこまで自分の限界を超えられるかって、わたしはわかるの---- プライベートな領域が全て侵されたらおしまいなの。そしてそれを思い知るっていうのはたまらないことなの」 (p.152) 

  「わたしはこうした監視を現実として受け止めて暮らしてきたわけだし、好きではなかったけど、ここは独裁(ファシズム)国家なんだ、だからこういうもんなんだって思うようにしてたわ。・・・・こうしたことを西側の人たちが考えるみたいに真剣にとらえてたら、わたしたちはみんな自殺してるわよ、きっと」
ユリアはそう言って笑い飛ばすが、わたしは胸の内の穏やかでない感情に気がついていた。
(p.134)

                ******
    (別の被害者)クラウスは聞きなれない癌が原因で若くして死んだという。
・・・シュタージは(標的にされた人間を追跡しやすくするため)放射能を(標的の体に浴びせて)使っていた。
 「シュタージの連中ももう十分罰せられただろうしな。」「どういうこと?」
 「ん?もし連中にも良心みたいなものがちょっとでもあればってことさ」(p.255)
  
              *****

  「国家社会主義による独裁は底知れぬ苦痛、苦難、その他諸々の原因となりました。どんな補償が試みられたとしても真の意味で心に負った傷が癒されることはないのです。」
   (p.160)




<元シュタージ局員たちの秘密結社的存在>
・自分たちの側から見た歴史を書いて発表
・公的給与金の受給を求めて活動
・裁判となった場合に互いを弁護

<自分たちの正体を暴く恐れのある人たちに対する嫌がらせ>
・硫酸による襲撃を予告されたTV出演者
・チクタクと音のする小包を玄関先に配達
・夫が注文したわけでもないのにポルノグッズを受けとらされる女性
・トラック一杯の仔犬が運ばれ受け取りを要求される
・車のブレーキに細工。事故に見せかけた事件
・作家の子が連れ去られる
   (p.112)

ミールケの演説:「これだけは覚えておきたまえ。あなたたちが持っている中で何よりも大切なのは権力です!どんな犠牲を払ってでもその権力にしがみついているのです!」
 (p.310)
注:エーリッヒ・ミールケは秘密警察・諜報機関を管轄する国家保安大臣を長年に亘って務めた。2000年5月、老人ホームで死去。(WIKIより)


 ミールケはあまりに完璧すぎる組織を作り上げてしまったために、その運営能力などを様々な観点から考慮して、どこかで誰かが自分のことも監視していたんじゃないかと不安になった。(p.335)
                   *****
「最終的にシュタージはホントに多くの情報を持っていました・・・・情報が多すぎたために、みんな敵だと思うようになっていたのだと思います。シュタージの監視下になかった者はいません。誰が敵で、誰が味方か、あるいはみんな口を閉ざしているだけなのか、シュタージには分かっていなかったと思います。」

                                 *****
  ミールケが死んだ。新聞には「最も嫌悪された男の死」とあった・・・・「月曜日に骨壷が埋葬され火曜日には何者かによって掘り起こされたんです!(加害者側のシュニッツラー氏)」
  ミールケの墓を冒涜したのはおそらく西の人間ではないだろう。彼の声を聞いていると憤ってはいても、その奥に恐怖心をひた隠しにしているのが感じとれる。(p.336)




(元プロパガンディストに聞く)
「あなたの番組は西側のメディアの嘘を暴くことが主な狙いでした。自国での成功プロパガンダの嘘に気づいた時、同じことをしているということに疚しさのようなものは感じませんでしたか?」
「感じなかったね・・・・」
  自分が矛盾するということがあり得ないほど、真実が意味をなさない権力(正直者がバカを見る世の中)に慣れ親しんでいる証拠だろう。
(p.182)


(ある被害者の声)

    「この社会は嘘で塗り固められていたんだよ
 --- 嘘の上に嘘を上塗りし続けたんだ」
まさに裸の王様だ!
 (p.208)

(シュタージがシュレッダーにかけた個人情報その他のファイルをつなぎ合わせる作業員)
「人々が自分の身に起きたことを知って少しでも安堵するところがあるのだと知ることが我々の満足につながる・・・どうして自分たちが大学にいられなくなったのか、突然姿を消した叔父の身に何が起こっていたのか、被害に遭った人たちに彼らの半生に関する何かしらを知らせてあげることができるのです。」