Saturday, April 22, 2017

齊藤真『関西電力反原発町長暗殺指令』

Saitō, M. (2011). Kansai denryoku hangenpatsu chōchō ansatsu shirei. Tōkyō: Takarajimasha.

誰がやったか分からない殺し方

「凶器は、犬や・・・犬はワシら主人の言うことは、何でも聞くからな・・”絶対に誰がやったか分からない方法”というのは、犬のことや。原発の警備につこうとる、殺傷能力はピカイチの犬や・・犬を使って喉元喰いちぎらせるちゅうことや。殺(や)ってしもうた犬を捕獲しても、犬は誰の命令か言えへんもんな・・『犬が突然凶暴になってやってしもうた』と言えば、なんの証拠もあらへんし、ワシらは大丈夫や・・」(p.86)

完全に殺人未遂の告白ではないか!

「一番ええんは、町長が外で一人きりの時・・けど、なかなかそういうシーンには出逢えないんや・・だから・・ワシが凶器になったろうと思ったんや・・」
「ということは、矢竹さんが直接町長を殺ろうとしたわけ?」
「そういうこっちゃ。犬に殺らせるのはもどかしい。直接、ワシが殺ってやろうやないか、ということや」
 これは完全に殺人未遂の告白ではないか・・
「ストーカー、言うんか?そんな感じで、町長の出没するところをいろんな人間にさりげなく聞いてな、あちこち行ったり、張り込んだりしたんや。もし、二人だけになった瞬間があれば、ワシやっとった、思う・・・」
「どうしようと思ったんですか?」
「木刀忍ばせて、張り込んだり、隠れたりしたんや」
 矢竹は愛車の助手席にいつも木刀を忍ばせていたという。町長を見つけたらすかさず襲撃するために、である。
(p.p.91-92)

産経記者の奇妙な動き

「齊藤さんの記事は、どこの(新聞)社も、後追いしないと思いますよ」
・・“この記者は、これから言おうとしていることのために、ここまで来たのか。オレがここ[福井県]にいる間に、急いで・・・”
「『世田谷[一家殺人事件 侵入者たちの告白]』の件があるから、齊藤さんの記事では動きませんわ」(p.195)

公安警察のような行動確認

その人の持つ、曰く言い難い“雰囲気”というものがある。だれもが有するが、誰もそれを打ち消すことはできない。産経新聞のOという記者がまとっていたそれには、権力者の独特な臭味がしみついていた。それは例えばハムなどと言われる公安刑事が持つ、それのような雰囲気である。
結局、O記者は記事を書いていない。初めから書く意思がなかったのではないか?産経新聞は、福島第一原子力発電所の事故後、全国的に募る放射能汚染への危機感に対して、火消し役を買って出るような記事を一面トップに掲載している。東京電力擁護の論説も載せている。(p.213)

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