Saturday, October 23, 2010

『ストーカーからあなたを守る本』 高畠 克子 渡辺 智子

<抜粋>

ストーカーは
・相手に心の傷を刻み込む犯罪
「被害にあった者でなければ、その犯罪の残虐さ卑劣さ
は到底わからない」
・ストーカー行為を通して相手の心の脆い部分や繊細な
部分に忍び込み、癒しがたい傷を刻み付ける。第三者には
なかなかひがいの実態がつかめないのはこのため。
(p86

・被害者はたった一人で、自分の人格が侵害され、
徐々に破壊されていく現実に向きあい続けなければならない。
・加害者の異常性に巻き込まれながら、過剰なストレスに
さらされて、自分の心が意のままにならないもどかしさを
感じ始め、いつしか正常心を失っていくのです。
(p.87)

「学習された無力感」-- Double Bind
 –- 長期間、持続的な暴力にさらされることによって
起こる心の変化。・・つらいことや、不当なことにも
敢えて声をあげず自分の心の中に抑え込み感情をマヒさせて
身を守ることを覚えてしまうこと。
(迷路を通って正しい道を選びゴールに辿り着かせる実験で、
鼠に)正しくても誤っても電気ショックという罰を与えると、
どの迷路も走らなくなり、うずくまってしまう。
(人間も同じく)自分は何もできない人間、とるに足らない
つまらない人間だと思い込んで、極端に自己に対する評価を
低下させる傾向がみられる。
・・それに反比例して自分に暴力をふるう人間、つまり加害者の
イメージは大きく実力のある圧倒的な存在のように巨大化していく。
(p89)

ストーカーの存在やストーキングも、それをうまく表現する
言葉がなかったために、ずいぶん長い間、潜在化し、
表舞台に上がることがなかった。
(ストーカーという)「名前」がなかったために社会問題化
されてこなかったということは加害者が加害者として裁かれる
こともなく、また被害者が被害者として保障されることも
なかった・・・
 
 加害者の不気味なつきまといや執拗な暴力的行為に
日夜分かたず長期間傷つけられているのに、ある時は
「痴話げんか」ある時は「スキがある」・・・といった自分の
周囲の人たちからの心ない言葉によって、二重三重に
傷つけられることも少なくない。
 このような二次被害はレイプなどの性犯罪に今なお
根強くつきまとっている。
(p.11)

 相談しても「痴話げんか」「思い過ごし」「考え過ぎ」と
いってまともにとりあわない人がいる。(そのため被害者は
相談することで)かえって傷つけられる。一人で陰湿な被害に
傷つき悩んでいる現在進行形の被害者の数ははかり知れない。
(p.20)

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