Sunday, January 23, 2011

『公安警察の手口』 鈴木邦男


  刑事は殺人犯や強盗、泥棒を追いかけ、

日本の治安を守っている・・・・それなのに

公安はロクに事件もないのに態度だけはデカイ
・・・「公安は優秀だし、エリートでしょう」と

(捜査で訪ねてきた刑事にむかって著者が)言うと、

「どこが優秀なもんですか」と刑事は憤る。

「出世が早いのは事実ですよ。でもそれは仕事が楽だし、

暇だからです。だから試験勉強する時間がある。

それだけですよ。」
・・・なるほど一理ある。・・・公安は暇だ。
「日本は俺たちが守っている」と大言壮語しても、

もう左右の過激派もいないから公安事件も少ない。

・・・そして昼間から喫茶店や図書館で勉強している。
(p.p.56-57)

 <ヒマな公安が考え出した“潜在右翼”とは?>

  (右翼の)街宣を聞いたり、庭で木刀の素振りを

したり、神社で祈ったりすることが「活動」と思われ、

潜在右翼のレッテルを貼られる。

・・・高校の剣道部の人だって、学校で練習する分には
いいが、公園や家の庭で練習したらダメだ。

潜在右翼かもしれないと内偵されてしまう。

  (他著引用)・・・このようにリストアップした者を

月に何度と決め、対象者が死ぬまで一生監視する。

・・・対象者がどこへ引越しても、その地元の所轄警察署に

引き継がれ、消されることはない。
公安にしてみれば、潜在右翼を一人発見すれば

警備部長賞がもらえ、実績はぐっと上がる。

(『オマワリさんの華麗なセカイ』山下寛)
(p.p. 106-109)


  あるとき、あまりに頭に来たので、こっちから
尾行しているやつに声をかけた。「何で尾行してるんだ。
名を名乗れ」と。尾行していた公安は、思わぬ逆襲に
たじろいだ。「いや、何も尾行なんかしてませんよ。
私は一般のサラリーマンです。たまたま行く方向が同じ
なだけです」と、しどろもどろに言う。
「一般のサラリーマンだというなら身分証を見せろ」
と服のポケットに手をかけた。
  その瞬間、彼は脱兎の如く逃げ出した。・・こうなると
こっちもいたぶってみたくなる。そして「ドロボーだ。
捕まえてくれ!」と大声で叫んだ。向こうは全速力で逃げる。
こっちも全速力で追いかける。警察官を追いかけるなんて
痛快だ・・・彼は何を思ったか交番に飛び込んだ。
・・「ドロボーだ。逮捕してくれ」と交番のお巡りさんに
交渉したがダメだった。公安だと知って匿ったのだろう。
こっちは暴力的に追い返されてしまった。
(p.p.183-184)

公安第三課は・・おおっぴらだ。名刺も渡すし、一緒に
飯を食い、酒も飲む。・・(たとえ尾行や張り込みでも)
顔を隠さない。堂々としている。これは立派だ。
・・名前を明らかにして仕事をしている。・・だが、
第三課だけが例外なのだ。他の公安は素顔をさらすことはない。
(p.195)


    (公安は)やりたい放題なのだ。・・・交通違反などで
右翼を捕まえても自分たちの得点にはならない。捕まえるなら、
もっと大きなことで捕まえたいのだ。
  その証拠に、スピード違反だって駐車違反だって公安は
チャラにしてくれる。捕まったときに・・切符を切られても、
この後に公安に電話をすると、「分かりました」といって
チャラにしてくれる。公安の意識のなかでは彼らこそが
国家なのだろう。
(p.34)


  (“民主主義”のはずの今日の日本で)たかが集会
(しかも警察の許可を得たもの)に出たくらいで公安に
一人一人顔写真を撮られるなどの思いをする。まるで
戦前のようだ。特高に狙われ、追われる共産党員のようだ。
公安は人間も金も余っていて、使い道がないから
こんなことをしているのだ。
 一方において凶悪犯罪は増える一方だという。
・・・昔はいかにも犯罪者らしい人が犯罪をした。
今は、普通の大学生、高校生が簡単に人を殺す。
(p.187)

公安の使命は「過激派を監視し、何かあったら
逮捕する(こと)」・・しかし、過激派が全滅して
しまったらみずからの存在理由も失うことになり、
元も子もない。・・・だから過激派に対しては
「生かさぬよう、殺さぬよう」に取り締まっている
のではないだろうか。
(p.150)
   公安がゴミ漁りしているという話は有名だ。
・・・(著者が)ゴミを出すと、ゴミ回収者が来る前にぼくの
ゴミだけ消えている。・・・共産党はそんなこと毎日やられている
・・・だったら、ゴミにだって細心の注意を払っているはずだ。
・・・(ある活動家逮捕の)きっかけはゴミだとしても、
公にできないやり方で(プライバシーが)分かったのでは
ないだろうか。
(p.127)


「公安こそが治安悪化の元凶」

  (浅間山荘の内ゲバのようにメンバー内に)疑惑の
種をまき、不信感を助長することこそが公安にしてみれば
成功なのだ。なぜなら疑惑はさらに疑惑を呼び、
疑心暗鬼になり、殺し合いを拡大させたからだ。
「(あいつは)公安(のスパイ)だからこそ我々の動きが
全てわかるのだ」「そういえば、A氏は逮捕されて
すぐに出獄した。スパイになったから釈放された
のではないか」という具合に・・・。
  公安がいるために日本の治安が守られている
のではない。逆に、公安が事件を起こし、治安を
撹乱させているのだ。・・・実際に党派間の争いを煽り、
内ゲバを引き起こすこともある。活動家をおだてて
事件を起こさせることもある。「公安は恐ろしい」
という幻影を与え、それに脅えて内ゲバをしたり、
暴走させることもある。それも公安の戦略なのだ。
(p.p.25-26)


(他著引用)「日常的にもガサ入れにつぐガサ入れを
受けるという生活だった。そうすると自分のなかにも
憎悪の感情が出てくる。・・・絶対勝ってやるんだ
という気持ちになって・・勝つための手段として、
だんだん目的と手段が転倒していき、本来とは
違うはずのあり方に自分がなってしまう」
     『テロと報復とコミュニズム』荒 岱

   1970年の「よど号」ハイジャックのときも、
実行犯の一人が「公安にあまりに弾圧されるので、
「一泡吹かせたい」と思い、それが大きな動機になった」
と言っていた。本末転倒だろうが、公安への<恨み>が
引き金となって起きた事件は多いのだ。
実はほとんど全部がそうかもしれない。
(P.168)

  ガサ入れの時・・・金属探知機をわざわざ持ってきて

(あるわけないと知っていて)「チャカ(拳銃)はないか」
「覚せい剤はないか」と大声で言い合っている。
隣近所に聞こえるように大声で言う。また、わざと
外に出て大声で警察官と話す。大家さんや近所の人は、
「どんな凶悪犯か」と思って見にくる。
  妻帯者はもっと大変だ。(関係ないとわかっていても)
奥さんの服や下着まで全部取り出して調べる。
    (P.178)

(裁判官は女には甘い判決になるというが)裁判官になる
ような人は子供のときから・・遊ぶ暇もなく勉強する
・・・だから女性に対してだけは性善説であり、年齢を
とってから不祥事(犯罪)を起こしたり、金や女の誘惑に
簡単に負けたりするのだろう。そして、警察の言い分を
真に受けて、ガサ入れ令状を乱発する・・・だから
・・裁判官には少し、「実習」をやらせたらいい。
弱い者、被害者の「痛み」を知ってもらうのだ。
・・実習としてガサを数回体験させる
・・・そうしたら、「こんなに大変なことか」と分かり、
令状を出すのも慎重になるだろう。
(p.180)

  公安のやり方は・・合法的に運動している人間を
徹底的に弾圧して、監視している。・・・一方、市民生活に
潜んでいる、過激な人間に対してどうかといえば、
何の手も打てない。無力だ。
(p.200)

「いくらなんでもスパイを使ったり、こんな汚い
やり方は嫌だ」と内心思っている公安はいるはずだ。
(しかし自省できたのは元公安の島袋修氏ひとりで
内部告発率はたった0.01%にすぎない。)
優秀な人材をいつまでも、ただの抑圧・弾圧・謀略
機関の一員として終わらせるのも惜しいと思う。
(p.201)

8 comments:

  1. 腐敗公安警察官の「犯罪」手口といえば、ご存知「転び公妨」がつとに有名でございますね。

    Reference video: 転び公妨
    http://www.youtube.com/watch?v=6C-vFbO7rIg

    さて公安警察官の選抜には、「転び公妨」実技試験でもあるのでしょうか?それとも中野の警察学校の教育課程に「上手な転び方教室」とかあるのでしょうか?階級が上のほうになると講師も一流どこでなきゃということで、ドリフの元メンバーが招待されたりするのでしょうか?

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  2. 公安警察の監視対象者の選定は、活動しやすく、そこで活動が長期に継続できることが第一条件とされる。例えば犯罪には縁のない単身サラリーマンなどで、なるべく弱そうな者が選ばれる。犯罪常習者などは不適。すぐ刑事などに現行犯逮捕されてしまっては、活動がそれで終わってしまう。それでは利権にならない。本物のテロリストや危険人物では、公安自身にも危険が伴うし、仕事がハードになる。しかし、長期に監視対象にし、出来るだけ多くの予算を得る為には、テロなどの特別な危険人物でなければならない。

    そこで、平凡な一般人を偽装「第一級危険人物」に祭り上げる工作が行われる訳である。
    そう言う理由から、公安の監視対象者の周囲では、公安警察官によるでっち上げ事件や、監視対象者の仕業に見せかけて行なわれる事件が多発する。この種の事件の特徴は、すべてが未解決事件となる。実際の刑事事件であっても刑事には捜査させないので(犯人自身が捜査を担当するのだから)解決する訳がない。
    そもそも、公安警察の活動から、自身の欲望による犯罪を取り除いたとしても、現行憲法下では、合法的な活動は、ほとんどない。こうした事情から、偽装「第一級危険人物」の監視拠点では、公安自身の欲望処理や組織の利益の為の犯罪が毎日のように行なわれているのである。公安の監視対象者設定の目的は、犯罪利権獲得である。

    しばらく張り付いていれば、対象者が危険思想の人物かどうかすぐ分かるはず。
    それなのに一般市民の範囲を出ない人間を[集団ストーキングの対象にして]長期監視して人権侵害、不利益を及ぼしている事実がある。

    これで恩恵を受けているプロ市民や企業関係者もいる。
    彼らは一般市民であるのに、被害者のプライバシーに必要以上に干渉し、 情報を共有しているため、「いやがらせ」とみられても仕方ないような「二次被害」が多数発生しているのが集団ストーカー。

    "ストーカーの正体は警視庁公安部"

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  3. 警備・公安警察は、情報収集活動においては非合法な手段を取ることも辞さない。私自身、警備・公安警察の経験者から「情報収集のために密かに他人の家に侵入したり、書類を盗み出したりした」という話を幾度も聞いたことがある。

    …彼らは、刑事を"泥ケイ"といって内心さげすんでいる。泥棒の一人や二人を捕まえたとしても、国の安全とはなんの関係もない。自分たちは、国の安全を守っている、という自負が彼らにはあるのだ。しかし彼らは事件の検挙に必要な実務能力という点では明らかにレベルが低い。

    原田宏二『警察内部告発者』

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  4. (シュタージ)「東ドイツの頃はアパートのドアにだって鍵をかける必要はなかった。」
    (著者)確かに必要なかったのだろう。いずれにしても家の中は覗かれていたのだ。
    (p.114)

    「シュタージが二十年にわたってリビングでの風景を監視しつづけていたある家族のファイルを見た時、わたしは自問しました。こんなことまで知りたがるなんて一体どんな連中だったのだろうと」(p.351)

      「建築現場で働いていた頃、わたしは怖かった。あまりに多くのことを知っていました。・・・運転中とか作業中に“事故”に遭うかもしれないし、そうじゃなくても他の方法で始末されると思いました。」「あそこに部屋があって一日中交替で務めていたのです。」と暗い屋根裏の窓を指す。 「この辺りで何が起きようと、あそこからなら全てを見張ることができました・・・誰もそんなことになっているとは知りませんでした。給油所の従業員は密告者でした。しかし彼らでさえ、あの上の部屋で何が行われているかまでは知らされていませんでした。」

     (本文に紹介されている実例)
     ・少なくとも二人の人間に民間人の格好をさせて配置
     ・ポケットに録音機 
     ・車のヘッドライトに隠しカメラ
     ・車中で行われている会話を拾える盗聴器 
     ・給油所にも隠しカメラ

     「・・・・バレることはまずありませんでした。」
    (p.209)

    『監視国家―東ドイツ秘密警察(シュタージ)に引き裂かれた絆 』

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  5. 当時の事務所がトタンぶきであることを知ると、深夜トタン屋根をはがして忍び込み、資料を収集したこともある。(中略)それ以外にも、登録を抹消されたナンバーを車に取り付け(中略)・・郵便ポストから共産党関係の手紙を粘着剤で吊りあげたり・・


    退職して、私ははっきりと悟った。自分が警察時代に果たしていた任務は、人間から人間らしい気持ちを奪い、
    犯罪者を作ることであった 、と。公安警察はペテン師集団、偽善者集団であった。

    島袋 修『公安警察スパイ養成所』

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  6. 悪名高い特別高等警察(当初は特別高等課)が警視庁につくられたのは、一九一一年(明治四四年)です。こちらは各種社会運動の取り締まりを任務にしたので「思想警察」ともいいました。…彼らはスパイを潜入させ、拷問を行い、法を乱用しましたが、それは当時の世界の警察では当たり前のことで、特別高等警察に限りませんでした。

     また、全国の特高を統制していたのは内務省警保局の保安課で、全国の特高課長人事を握り、全国一斉検挙などの指令を出していました。戦後、特高警察官は一斉罷免になっていますが、保安課長と所属員は内務事務官という名であって警察官ではなかったため、罷免には該当しませんでした。ただし、課長は自発的に辞職しました(のちに復活)。

    亀岡修、百瀬孝 『よみがえる戦前日本の全景』

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  7. Ⅷ.特高警察の「解体」から「継承」へ

    (特高が存在する法的根拠であった)治安警察法の廃止をめぐって・・内務省では(GHQにより既に廃止を指示されていた)治安維持法などの廃止に(治安警察法を)含めず、存続を決め込んだ。・・しかし・・このことを知ったGHQから廃止を指示されると、すぐ従うというみっともなさを露呈した。
    そのうえ(特高職員の)罷免はいかにも不徹底なものだった。・・特高経験長期にわたる者も不問にされた。(p.215)
    (一九)四六年五月一七日の『読売新聞』コラムには、「特高警察に属していたものが、名称だけは変わったが本質的には特高と変わらぬ仕事をやっている機構の中に潜り込んでいるというのが日本の警察の実情である」とある。(p.221)

    新特高「公安警察」

    一九四六年になるとGHQ参謀第二部(GⅡ)と管下の対敵諜報部隊(CIC)を後ろ盾に、「公安警察」の整備と強化が急速に進んだ。・・六月一二日には(ポツダム)勅令第三一一号「連合国占領軍の占領目的に有害な行為にたいする処罰等に関する勅令」が制定され、以後、絶大な威力を発揮していく。(p.p.224-225)
    警察・公安委員会についてのアンケート調査の返信用封筒の切手に印がつけられ、「匿名投書とは、ていのいい警察用語であって、(印の)何番はダレ(が出した)というように、はっきりわかるカラクリがかくされてあった」として「この不愉快な、否、悪らつな手口は、特高精神の発露だ」と断じている(『朝日新聞』一九四八年一一月二五日)。(p.226)

    こうした状況の下、1950年前後には、罷免・「公職追放」されていた旧特高警察官の多くが「公安警察」部門などに復帰し、かつての経験・ノウハウを活かしていく。・・加えて、戦前の「思想検察」を継承する「公安検察」の設置(五一年一二月)、治安維持法の再来といえる破壊活動防止法の成立(五二年七月)・・などを指標にとると、一九五〇年代半ばまでに戦後治安体制は確立したといえる。(p.230)

    荻野富士夫 『特高警察』

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  8. 日本の警察がコインテルプロ・プログラムを使用している可能性について

    任意取り調べにおける、ある警部補の脅迫的な発言


    (1)発言(録音)内容


    ICレコーダに録音されたある刑事課・警部補の脅迫的な取り調べが、TVやインターネットで公表され話題になった事がある。その時の取り調べで「脅迫的」とされた警部補の発言には以下の様なものがある。



    「殴るぞお前。手を出さへんと思ったら大間違いやぞ」
    「お前の人生むちゃくちゃにしたるわ」
    「悪いけど、嫌がらせはするで」


    「おまえの家も全部ガサ行くぞ」
    「お前の実家も全部行くぞ。」
    「お前の関係してるとこ全部ガサ行くぞ。」
    「奥さんや子供にも知られんでいいと思ってんねん、俺はな。警察きたら全部崩れるぞ。」
    「お前の息子や娘にそんな事言うねん、これから。」


    「お前の家族が全部で何回便所で水流したか、全部調べたるぞ。」

    参照:羊の太郎君のブログ

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